【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2025>ハルカミライ「どうやったらああいうふうになれるかなって、ひとつの目標だった」

2025.09.21 21:14

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ステージからのスポットが強烈な光を客席に放つ中、そのステージ上にシルエット状で姿を現わしたのはハルカミライ。直後、橋本 学(Vo)はフロアに降り、観客と同じ目線になって、こう叫んだ。

「サンキュー、G-FREAK FACTORY! 今日は自由にやるぞ。やろうぜー!」

そのままフロアのフェンスに立ち上がって「君にしか」を歌い出した。さらに曲が続く中で関大地(G)もフロアに降り、フェンスに片足を乗っけてギターを弾きまくる。ハルカミライは、いつだってバンドや音楽や楽器を始めたいと思ったときの衝動を持っている。しかも一点の曇りもない。嬉しそうな顔つきで歌い、演奏する4人だ。だから曲は活き活きとしながら観客の気持ちを直撃する。荒々しいほどのパワーもエネルギーも放ちながら、心をつかんでくれるポップさだって常にある。また激しいライブパフォームは、何をしでかすか分からないぐらいのヤンチャさも持ち合わせている。

「10周年という節目に俺らを必要としてくれて、すごく誇りに思います!」

嬉しそうにそう叫びながら曲をたたみ掛けるハルカミライ。彼らの歌は、同世代、あるいは世代は関係なく、ちょっとした迷いや不安を抱えた人たちを救い出し、応援歌としても響く。ライブ序盤こそ大暴れしながら楽しむ観客だらけだったが、曲が進むたび、暴れるのも忘れて、歌に気持ちを持っていかれて、何かを噛みしめるように聴き入ったり、共に歌う観客も。だからハルカミライの曲は愛されている。

そしてラスト。みんなが心から元気になってくれたことを確かめるように、勢いあるナンバー「エース」を叩きつけた。冒頭の煽りじゃないが、まさに自由に楽しむ姿がフロアに広がっていくばかりだ。

「あっぱれだったぜ、<山人音楽祭>!」

顔をクシャクシャにほころばせるハルカミライと、確実に明日への力を受け取った観客たちだった。

   ◆   ◆   ◆

──10周年を迎えた<山人音楽祭 2025>への出演オファーがG-FREAK FACTORYの茂木さんから来たときの心境は覚えていますか?

橋本学(Vo):今年も呼ばれてホッとした(笑)。良かったぁ〜、という。

須藤俊(B):バンドマン主宰フェスってそういう節があるんです。「イェー、呼ばれたぜ!」っていう感じの嬉しさ。

小松謙太(Dr):確かに。

須藤:誘われたのは、ライブの日じゃないよね?

関大地(G):返事したのは岡山のとき。直接、返事しちゃおうって。

須藤:この前のG-FREAK FACTORYのツアーで対バンしたときのライブ中に返事しました(笑)。

──もともとG-FREAK FACTORYとは、何がきっかけで知り合ったんですか?

小松:<京都大作戦>でG-FREAK FACTORYのライブを初めて観た気がする。

須藤:誰かの主宰フェスで楽屋裏とかで会ったり、ライブを観てくれていたりして、G-FREAK FACTORYのツアーに呼んでくれて。そこから深まった気がするんです。もしかしたら<山人音楽祭>が最初の説って可能性もある。

橋本:あるかもね。対バンという意味では。でも出会いのきっかけは、ざっくり言うと、誰も覚えてないっていう(笑)。

──きっかけを忘れるぐらい今では交流が深まっているということでしょう。

関:そうですね。いつの間にか一緒にいましたね。

──世代も違えば、音楽スタイルも違うじゃないですか。G-FREAK FACTORYというバンド、そしてメンバーをどう感じていますか?

須藤:バンドも人も懐が深くて、俺らが言うのもなんですけど、頼りになる兄貴みたいな。

橋本:こうやって地元を背負ってフェスをずっとやるのは、めっちゃエネルギーいるなと思う。うちのメンバーで小松は街出身だけど、それ以外の3人は超田舎出身で。自分の町とかに重ねると、地元でこんなフェスを開催して続けるなんて、できねーなと思うんですね。G-FREAK FACTORY、凄い。

須藤:<山人音楽祭>が、まだ<GUNMA ROCK FESTIVAL>という名前だったとき、僕は遊びに行ったことあるんですよ。18歳か19歳だったとき。群馬に来ましたよ。そのときはバンドをまだ本気でやっていなかったんですけど、<GUNMA ROCK FESTIVAL>はバンドをちゃんとやるひとつのきっかけにはなった。

──自分が前に進むいろんなエネルギーを、10代だったときに受け止めていたんですね。今日のライブを観て思ったんです。ハルカミライの曲にはいろんな人を救い出すようなメッセージもあるから、みんな、暴れるだけじゃなく、噛みしめていたんですよ。そして次へ気持ちを向かわせてくれる。そういうことはG-FREAK FACTORYと通じるかもしれないな、と思ったんです。

橋本:茂木さんの惹きつける力みたいなものは、俺は若いときからG-FREAK FACTORYを観てて、凄いな、どうやったらああいうふうになれるかなって、ひとつの目標だったんです。そして自分のものを見つけ出すってことが。

──今日、橋本さんが歌っていて感情を振り切ったとき、その表情がどアップでスクリーンビジョンに映ったんです。観ていたみんな、動きが止まってましたよ。確実にいろんなものを感じ取っていました。

橋本:今日は俺、いい感じでしたね。身体から何かが出てました。

──<GUNMA ROCK FESTIVAL>を観に来て本気でバンドを始めた須藤さん、将来的にハルカミライの主宰で何かをやるとか、そんな計画はないんですか?

須藤:隠しているとかじゃなくて、本当にまだその気持ちがないんです(笑)。いろんなフェスに出ているがゆえ、俺らがもしやるとしたらどうやってオリジナリティを出せるかなって。それが見つからないですね。

橋本:1個、光るものが見つかったら…。

須藤:ひらめいたらやるかもしれない(笑)。

──<山人音楽祭>はどういうふうになっていってほしいですか?

小松:“山人”っていうぐらいだから、G-FREAK FACTORYっぽいなってバンドがいっぱい出てきたらいいですよね。

関:髭が生えてるとか(笑)?

小松:そうそう(笑)。

須藤:そういう意味の“G-FREAK FACTORYっぽい”ってこと? それ、1回目にやることじゃん(笑)。11回目にやることじゃないだろ。

小松:G-FREAK FACTORYを観てバンドを始めましたって人が、どんどん出てきたらいいよね。

須藤:それ、いい。若手バンド枠とか、郡馬の地元バンド枠とか、メインステージのオープニングに出てもらうとか。

──偶然にも昨日、終演後に茂木さんはそういう話もしてくれました。

小松:おぉーっ!

須藤:でもいいよね。10周年までは自分たちの力で来て、11年目からは未来を目指していくというのが。

小松:<山人音楽祭>に出るのが夢だったんです、っていう若いバンドと。いいですよね、そういうの。

須藤:まだ“山人”になりきれていない、“草人”みたいなのをだんだんと…。

関:そう、草人を今度は木にして、次に森にして。

須藤:芽が出たばかりのバンドたちを引っ張り上げて。そういうのもいいよね。オーディションとかやって、オープニングアクトを決めているバンドマン主宰フェスとかもあるから。でもFOMAREはオーディションからやり直してほしいですね(笑)。

小松&関&橋本:アッハッハ…(笑)!

──それは書いておきます(笑)。最後に<山人音楽祭>を率いているG-FREAK FACTORYに、普段は直接言っていないと思うので、メッセージをいただけますか?

須藤:2バンドで打ち上げしたことがあんまりないので、今度群馬観光がてらゆっくり飲みいきたいですね!

関:僕は原田さんから得たものがけっこう多いんで。機材を紹介してもらったり、原田さんのプレイを見て盗んだところもあったりとか。本当にお世話になっているんです。今後も盗ませてもらいます。

橋本:G-FREAK FACTORYはずっとカッコいいバンドでいてくれるから、何も心配していないんで、好きなだけやってください。

小松:その背中を追いかけて、今後も1本1本、本気で勝負させていただきます。ヤーマン!

取材・文◎長谷川幸信
写真◎淵上裕太
ライブ写真◎HayachiN

■G-FREAK FACTORY主宰<山人音楽祭 2025 ~10th Anniversary~>
9月20日(土) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
9月21日(日) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
〒371-0035 群馬県前橋市岩神町1-2-1
open9:30 / start11:00 / 終演20:00※予定

▼9/20(土)出演者
Age Factory / ENTH / かりゆし58 / 氣志團 / KOTORI / G-FREAK FACTORY / SHANK / 上州弾語組合 / SKA FREAKS / 高木ブー / DJダイノジ(大谷) / 10-FEET / TOTALFAT / 花冷え。 / HAWAIIAN6 / The BONEZ / locofrank / ROTTENGRAFFTY(※五十音順)
“能登半島応援企画 MAKE A PROMISE TO NOTO (Tokyo Tanaka×バカビリー×高橋ちえ)”
▼9/21(日)出演者
片平里菜 / G-FREAK FACTORY / J-REXXX BAND / JUN SKY WALKER(S) / 上州弾語組合 / 四星球 / 竹原ピストル / NakamuraEmi / バックドロップシンデレラ / ハルカミライ / Hump Back / BANYAROZ / 04 Limited Sazabys / FOMARE / BRAHMAN / HEY-SMITH / 山嵐 / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS(※五十音順)

『山人MCバトル×戦極MCバトル』※開催は9/21(日)
Armadillo / bendy / DOTAMA / FCザイロス / GOMESS / KOOPA / 溝上たんぼ / NAIKA MC / 歩歩 / risano / Sitissy luvit
DJ:R da Masta
司会:K.I.G

『上州弾語組合』
9/20(土) 清水 明夫 / KIE Anderson / garb / 16号。 / 横山 ナオ / 上原梅弦
9/21(日) 高平 悠 / 山口 貴大 / 茂木 拳 / 鹿山 音楽 / ジュンペイ / 藤井 トモカズ

▼チケット
・各1日券 9,500円(税込)
・2日券 18,000円(税込)
・駐車場付 1日券(9/20)※SOLD OUT
・駐車場付 1日券(9/21)※SOLD OUT
・駐車場付 2日券 ※SOLD OUT
(問)DISK GARAGE https://info.diskgarage.com
主催:DISK GARAGE/BADASS/上毛新聞社
企画・制作:DISK GARAGE/BADASS