【インタビュー】逹瑯(MUCC)、悪役を意味する新曲「VILLAINS」に「自分の正義に徹するダークヒーローの色気」

2025.09.10 11:00

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MUCCの逹瑯による約1年ぶりのソロシングルCD「VILLAINS」が9月10日にリリースされる。3rdフルアルバム『COLOR』と1stミニアルバム『MONOCHROME』で、ソロとしての楽曲表現の幅を大きく広げ、色鮮やかな曲たちを武器として携えて出発した2025年1月のツアーでは、しっかりと新たな逹瑯ソロのスタイルを作り上げた。

◆逹瑯(MUCC) 画像

それから8ヶ月。『MONOCHROME』リリース時のインタビューで、「いざライヴでやったら、きっとまた“これが足らないな、あれが足らないな”って思い始めるんだろうけど」と語っていたとおり、彼は次なる“足らないもの”に向かって歩き始めていた。最初のキーワードは“VILLAINS”。いわゆる“悪役”を意味する言葉を冠し、きらびやかなサウンドでダークな世界を描く1曲だ。新曲「VILLAINS」に込めた悪役愛から、MUCCメンバー完全プロデュース生誕公演 2025<逹瑯四十六大祭『宿儺』>の裏話、ソロのスタンスまで、逹瑯のリアルな現在地に迫った。

「VILLAINS」Digital

   ◆   ◆   ◆

■1曲目で世界観を作り込めるタイプの曲
■「VILLAINS」はそこから始まりました

──まずは、MUCCとして<Lucky Fes’25>出演、おつかれさまでした。3年連続出演しているアーティストは少ないですし、メンバー全員水戸出身ですし、<Lucky Fes>に欠かせない存在になっていると思いますが、振り返って今年のステージはいかがでした?

逹瑯:楽しかったですよ。年々楽しくなってるな、会場もバックステージも。

──ステージでは客席に向かって「茨城!」っておっしゃってました。

逹瑯:うん。これからさらに、茨城の新しいフェスとして楽しくなっていってくれたら俺もうれしいです。

──当日は他のステージを見たりも?

逹瑯:全然行けなかったですね。本当は水カン(水曜日のカンパネラ)を観に行きたかったんですけど、時間が早かったから諦めました。

──水カンは詩羽ソロと合わせて1日2ステージでした。その前日は西川貴教さんがT.M.Revolutionと合わせて1日2ステージでしたが……

逹瑯:…え、俺もMUCCとソロでってこと(笑)?

<Lucky Fes’25> 8月11日@国営ひたち海浜公園

──それこそ8月21日の逹瑯さんバースデーに開催されたMUCCメンバー完全プロデュース生誕公演 2025<逹瑯四十六大祭『宿儺』>は、MUCCと逹瑯ソロのツーマンでした。バンドとソロのツーマン企画はなかなか珍しいと思いますが、やってみてどうでした?

逹瑯:大変でした。身体的にも脳味噌的にも疲れましたね。みんな楽しんでくれるかな?と思って提案して、MUCCメンバーも“面白そうだし、いいんじゃない?”って感じだったんですよ。自分としてはワンマンにちょっと毛が生えたくらいの疲れ方でいけるんじゃないかなと予想していたんですけど、やっぱり全然違う。結果的に、しっかりワンマン2本分の疲れ方でした。頭の切り替えもあるし、間に30分のインターバルが挟まることによってリセットされるんですよ。だから疲れ方が全然違いましたね。

──MUCCを観に来たお客さんの前でソロのライヴをするという意味ではどうでした?

逹瑯:言うても、逹瑯ソロは観たことないという人も多いと思うので、“こんな感じでやってますよ”という楽しさを見せられたらいいかなと思ってました。結果的に、みんなに楽しんでもらえたんじゃないかな。

──MUCCのメンバーさんは逹瑯さんのソロのライヴをご覧になってたんですか?

逹瑯:どうなんだろ? ソロの後にMUCCだったから、MUCCのライヴの準備もしてたはずだし、ちょっとわからないですね。

──当日はお互いの曲のカバーをやっていて、逹瑯ソロでのMUCC曲カバーが「2.07」だったことにミヤさんが不満そうだったと漏れ聞きましたけど。

逹瑯:ははははは! いや、ソロのリハ日程が1日しかなくて。新しいバンドメンバーがいたり、初めてやる曲があったりする中で、1日という限られた時間で演奏の完成度を高めていこうと思うと、MUCCのカバーを用意する隙がなかったんですよ。だってコピーじゃダメだから。やるならソロならではのアレンジを入れないと意味がない、となったときに中途半端に「大嫌い」とか「蘭鋳」をやるんだったら、振り切って「2.07」でパーッとお祭り騒ぎにしちゃうかって。その選択肢しか残ってなかったんです。

MUCCメンバー完全プロデュース生誕公演 2025<逹瑯四十六大祭『宿儺』>

──ただ曲をやればいいというものでもないですもんね。

逹瑯:しかも、「お互いのカバーとかやらないの?」ってポッと言われたのが7月26日(ミヤバースデーライヴ)のステージ上で、もう本番まで1ヶ月切ってたから。でも、お客さんの前で話が出て「イエーイ」なんて盛り上がられちゃったら、やらないという空気が一番サムいじゃないですか。もう大変でしたよ(笑)。

──逆にMUCCで逹瑯ソロ曲の「壊れたピアノ」をやってみた感触はどうでした?

逹瑯:あれは逆に、俺は完全にノータッチだったので。吉田トオルさんという作曲者もいるし、スタジオで勝手にアレンジがどんどん進んでいって、それに乗っかって歌うだけでした。だから、すごくMUCC節にはなりましたよね。

──歌うときの感覚も違いましたか。

逹瑯:全然違ったな。MUCCはバンドが引っ張っていく中に乗っかるかたちだから、自由度があるんです。逆にソロはバンドが引っ張ってくれないから、自分が引っ張っていかなきゃいけなくて自由度がない。改めてその違いを感じて。そこをどうにか改善したいな、どうすっかなーって考えているところですね。次は、ちょっと同期を流すのを減らしてみようかな、とか。バンドの空気感を作っていく方向でいろいろ試そうとしてます。

──両方やってみての気づきがあったんですね。でも、ソロが始動したばかりの頃だったらMUCCとのツーマンという発想は出てこなかったでしょうし、逹瑯ソロの世界がMUCCと対バンできるくらいに固まってきた実感があったからこそなのかなと。

逹瑯:いやいや、全然全然! 逆に、何が足りないんだろう? 何が違うんだろう?っていうことを肌で感じてみたかったのが大きいです。全然並べられないけど、違いは何なのかを明確にしようっていう。

MUCCメンバー完全プロデュース生誕公演 2025<逹瑯四十六大祭『宿儺』>

──なるほど。前作『MONOCHROME』のインタビューの際、ツアーをやったらきっと“これが足らないな”と思い始めるんだろうとおっしゃっていました。実際ツアーが終わったあと、どういう感触が残っていましたか。

逹瑯:もっとライヴのバリエーションを増やしたいなって感じでした。世界観を作りたいと思ったときに、もっと曲の選択肢がほしいと思って。セットリストのこういう場面に入る曲がこれしかない、となると、何回ツアーをやっても同じライヴにしかならないじゃないですか。そこから脱却したいんですよね。衣装が違うだけで同じライヴになっちゃったら、たくさんライヴをやる理由もないから。

──MUCCの<LuckyFes’25>ステージ上では「400曲ある」とおっしゃってましたが、ソロはまだそこまでの曲数がないわけですし。どうしても序盤にやりがちな曲、後半にやりがちな曲、って固まってきますもんね。

逹瑯:そうそう。ちょっとずつは増えてますけど、もっとほしいんですよね。だから、今回の「VILLAINS」は、1曲目で世界観をがっつり作り込めるタイプの曲がほしいというところから始まりました。

──たしかに、イントロからグッと惹き込まれるアレンジです。

逹瑯:いつもどおり足立(房文)と曲を作っていく中で、最初にこっちから出していたイメージとは違うテイストの曲を足立が提案してきて。その間奏部分に使われてたリフをイントロに持ってきたんです。リフの空気感がいいから、これをイントロに持ってきて曲を広げていこうって。音色もそのままだし、イントロのリフは結構気に入ってますね。

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