【インタビュー】BAND-MAID、「まだまだ止まらない私たちの成長過程を観て欲しい」

2025.07.18 19:00

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◾︎ツアーファイナルはとんでもないことになるんじゃないかな

──今回は、演奏面についても同じようなことが言えるんじゃないでしょうか?

AKANE:そうですね。この曲のビートは四つ打ちの結構シンプルなものなんですけど、そこで意識したのは、重さでした。やっぱり四つ打ちの場合、軽くなってしまいがちなんです。そこで重さを大事にしようってことについては、レコーディング前の段階からKANAMIと一緒に話を詰めていました。しかもそこで、メキシコの3姉妹バンド『The Warning』とのコラボレーション楽曲「SHOW THEM」をレコーディングした時の経験を活かすことができたんです。あの機会を通じて、音の深さとか太さについてすごく学べていたこと、自分が吸収できていたことをこの曲に反映させることができたのは自分としても嬉しかったですね。そうやって自分を出し切ることができたというか。確かに新しいことというのは違うわけですけど、SAIKIと同じように、これまでに培ってきたものを封じ込めることができたな、という満足感があります。

MISA:ベースに関しては、サビ以外の部分では結構、土台を支えることに徹しつつ、サビではボーカルをいつも以上に意識して引き立てることを考えました。ヴォーカルの動きに呼応するような動きのベースラインになっているんですけど、実際そういうものにしようと意識して作っていきましたね。私自身も、新しいことに挑むというよりは、これまで培ってきたものを出しきる、という感じではありました。

──面白いですね。さきほど言ったように、いちばん新しいシングルが最新曲というわけではないというジグザグな時間の流れ方をしているわけですけど、その間に経てきたさまざまなことが確実に反映されている。

小鳩ミク:そうですっぽね。あと、歌詞のことでひとつ捕捉をしておくと、今回、曲調とか歌詞の内容については特に具体的な先方からの要望というのはなかったんですけど、「エンディング主題歌の歌詞は桃太郎視点で書いて欲しい」ということだけは言われていたんですっぽ。そこが小鳩の中ではいちばんの悩みどころでしたっぽね。鬼側であるならば強さというか、追いやられてきた鬼たちの「頑張って今度こそ自分たちの道を切り開いていくんだ」という気持ち、復讐心に近い動機を誇示していくことになると思うんですけどっぽ、正義の側とされているはずの桃太郎サイドの人たちの中にも悩みはあったはずだし、「果たしてこれが本当に正義なのか?」「本当にこれでいいのか?」と自問自答しながら戦っていたところがあるだろうと思うんですっぽ。実際、物語の中にも「正義とは?」と考えるシーンがよく出てくるので、歌詞的にもそこをいちばん強く打ち出したいと思ったのですが、そこで“正義”という言葉を使うと響きとしても強すぎるなと感じたので“justice”という英単語を使うことにして、タイトルも「What is justice?」にしたんですっぽ。だから今回はタイトル部分とサビの内容から先に考えて、そこから膨らませていった感じでしたっぽね。

──トレーラー映像の中でも「正義の味方じゃねえのかよ」という象徴的な台詞が登場していますが、まさにそこが重要だったということですね?

小鳩ミク:そうですっぽね。桃太郎といえば正義の味方と言われてきましたけど、そうじゃない部分、「これでいいのか?」というところを入れていきたいなと思いましたっぽ。

──今、解き明かされる桃太郎の苦悩と葛藤、みたいな(笑)。実際、昔話の『桃太郎』についてはともかく、この物語は実は社会的なものとも重なるところがあるわけですよね。それこそ戦争や紛争の類いというのがそうであるように。アニメひとつでそういうところまで考えさせられるという部分にも興味深いものがあります。さて、全国ツアーのFIRST ROUNDで「Ready to Rock」が育ってきたことを考えると、SECOND ROUNDではこの“What is justice?”の登場を期待したくなりますが……?

SAIKI:ご明察!(一同笑)。もちろんSECOND ROUNDではこの曲をやりますよ。だから今、みんな震えてるんです。特に私が(笑)。

──この曲、再現することの難易度ではなく、カッコ良くやることの難易度が高そうな気がするんですよ。

AKANE:確かに。これはカラオケでは歌えないかもしれない。

SAIKI:ホントに歌えないと思う。意外と歌と楽器と密接になっていたりもするので、ちょっとでもズレたら気持ち悪くなる部分が多いんです。その意味でも「Zen」とか「Ready to Rock」に比べると緊張感を求められる曲ですね。特にサビの頭の部分とかはカッチリと合っていないとスカスカになってしまう。リハの段階からそれはすごく感じてました。

小鳩ミク:リハの時から感じていたのは、とにかくSAIKIにとって大変な曲だってことなんですっぽ。ただ、その大変さがカッコいいんです。

KANAMI:もうみんな、リハーサルで合わせた時点で「SAIKIカッコいい!」ってなっちゃってたよね?

SAIKI:AKANEはそこで拍手してくれたりして。「ちょっと、照れくさいからやめて!」みたいな(笑)。

AKANE:リハの時はSAIKIが私の目の前にいるわけなんですけど、大きく反り返りながら歌う姿が実際すごくカッコ良くて。

小鳩ミク:きっと、全身を使って歌わないと対応しきれない曲なんですっぽね。

AKANE:その様子を見ていて、リハなのにライブ感がすごく感じられて、こっちまで気分が上がりました。最後のロングトーンとかにも痺れましたね。

小鳩ミク:さらっと歌える曲じゃないんですっぽ、これは。

──確かに直立不動のままでは歌いにくい曲だろうと思います。

SAIKI:動かずに歌えって言われるのがいちばん辛いかもしれないですね、この曲は。リハの時はあくまでリハ仕様で歌ったりするものなんですけど、この曲ではそれが不可能なんです。全力でしか歌えない曲だから、リハでも1回しか歌えない。だから一回歌ったら「もうここで終わりにしましょう」ということになるんです(笑)。

──こうやって段階を踏まえながら展開されていく中で、新しい武器となる曲が増えていく面白さもあるツアーになっていますが、SECOND ROUNDではどんなことが起きることを期待していますか?

小鳩ミク:どんなことがあるんでしょうかっぽね。でもセットリストもSAIKIが今考えてくれていて、「また変わるよ」というのも事前に聞いてますし、いろんな部分に新しい変化がまた出てくる予感はありますっぽ。そして、それに向けての覚悟もしていますっぽ。

AKANE:どんなセットリストになるのか、ドキドキしますね。でも、とにかく乗り切るしかない(笑)。実際、SECOND ROUNDでは演奏内容もガラッと変わるだろうと思うし、FIRST ROUNDを観に来てくれた人たちでも新鮮な気持ちで楽しめるはずだと思います。だからもう全公演、すべてのお給仕を観に来て欲しいくらいですね。

MISA:このインタビューの最初のほうで、私、体力的な不安が全然ないみたいなことを言ったと思うんですけど、今さらながら、ちょっと強がった言い方になっちゃってたかな、と思ってるんです。改めて本当のことを言うと……

小鳩ミク:いや、あれはあれで本当の話だっぽね?

MISA:本当のことだし、確かに知らず知らずのうちに体力が付いていたというのは確かにあるんですけど……実は私、ちょっと前に、お給仕とはまったく関係のないところで、寝違えたか何かで首を痛めてしまってたんですね。それを結構長く引きずることになってしまって……。ツアー中だったこともあって、処置が遅れたせいでもあるんですけど。だからSECOND ROUNDには万全な体制で臨みたいと思っているんです。ちゃんと筋トレとかもして。

SAIKI:今の発言は、MISAの真面目さが出ましたね(笑)。

小鳩ミク:べつに誰も強がったとは思ってなかったし、大丈夫っぽ。

AKANE:真面目なんです。嘘がつけないんです。

──それもいわば、正義ですよね。このツアーは酷暑との戦いにもなりそうですけど、それを経た先にはFINAL ROUNDも待っていますし、いろいろと楽しみにしていますよ!

SAIKI:そうですね。今回のツアーをこうして3回に分けているのは、まだまだ止まらない私たちの成長の過程をその都度観て欲しいというのもあってのことなんです。だから実際、ツアーファイナルの東京ガーデンシアターではとんでもないことになるんじゃないかなと思ってますから、みんな……期待しておけばいいさ!(一同笑)

取材・文◎増田勇一
写真◎尾藤能暢

「What is justice?」
2025年7月18日(金)配信リリース
配信リンク: https://BAND-MAID.lnk.to/What_is_justice

<BAND-MAID TOUR 2025>
FIRST ROUND
5月10日(土) 東京 LINE CUBE SHIBUYA SOLD OUT
5月17日(土) 広島 CLUB QUATTRO SOLD OUT
5月18日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM SOLD OUT
5月25日(日) 静岡 浜松窓枠 SOLD OUT
5月31日(土) 新潟 LOTS SOLD OUT
6月20日(金) 大阪 ゴリラホール SOLD OUT
6月21日(土) 大阪 ゴリラホール SOLD OUT
6月28日(土) 宮城 仙台GIGS  SOLD OUT

SECOND ROUND
7月12日(土) 東京 豊洲PIT  SOLD OUT
7月26日(土) 北海道 札幌ファクトリーホール
8月2日(土) 熊本 B.9 V1  SOLD OUT
8月3日(日) 福岡 DRUM LOGOS  SOLD OUT
8月8日(金) 愛知 DIAMOND HALL
8月9日(土) 愛知 DIAMOND HALL SOLD OUT

FINAL ROUND
10月24日(金) 大阪 なんばHatch
11月1日(土) 神奈川 CLUB CITTA’
12月7日(日) 東京 東京ガーデンシアター

・FINAL ROUNDオフィシャル二次抽選先行受付中
受付対象公演:10/24大阪〜12/7東京ファイナル
ローソンチケット・プレリクエスト先行
受付期間:7月12日(土)0:00~7月27日(日)23:59
国内:https://l-tike.com/bandmaid/
海外:https://l-tike.com/st1/bandmaid2025

・SECOND ROUND(札幌・8/8愛知公演)一般発売中
https://bandmaid.tokyo/contents/738220