【インタビュー】ES-TRUS、進境著しいバンドの今を描いたサマーソングに素顔のメッセージ「大丈夫、肩の力を抜いてゆっくりしよう」

名古屋発のES-TRUSが7月9日、デジタルシングル「oneday」をリリースした。紅一点のkyoka (Vo)による圧倒的な歌唱力と、バンドのメインコンポーザーへ進化したAito (G)、テクニカルなプレイで観客を魅了する風児 (B)によって紡ぎあげられる緻密にしてダイナミックなバンドサウンドが、早耳な音楽リスナーの間で話題を呼んでいる。
結成は高校時代。以降着実に歩みを進め、2021年7月にZepp Nagoyaで主催イベントを開催したほか、同年12月にはZepp Tokyoにて無観客配信ライブを実施。加えて、<イナズマロック フェス2022><JOIN ALIVE 2023>といった大型フェスへの出演で知名度を高めてきた。2024年5月末にメンバーの脱退劇があったものの、その壁を乗り越え、翌6月には早くも新制ES-TRUSとして現メンバーで活動をリスタート。2024年9月リリースのデジタルシングル「弱虫Fate」MVが100万回再生を突破するなど上昇スパイラルが止まらない。
そしてリリースされた「oneday」はES-TRUSが放つ2025年第一弾シングルだ。BARKS初登場となるメンバー3人に、新曲についてはもちろん、出会いからバンド結成、大きな転機を経て現在に至るまでの道のりについてもたっぷりと語ってもらった。
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■本気で音楽を志すなら
■この人とバンドをやるしかない
──BARKS初登場ということで、まずはバンド結成の経緯を教えていただけますか?
kyoka:もともと私と風児が同じ高校出身なんです。当時二人とも軽音部で、風児は一つ上の先輩だったんです。ある日、私が教室でギターを弾いていたら風児がやってきて「俺のバンドでギターを弾けよ」って声をかけてくれたのが始まりで。
──おお! なんだかドラマチックですね。
kyoka:本当は私のクラスの別の子に声をかけようと思ってたらしいんです(笑)。その子は私よりずっとギターが上手いんですけど、人違いで私に声をかけてしまって、そのままバンドを組むことになったという(笑)。
風児:正直、”やべぇ、ミスった”とは思ったんですよ(笑)。でも「あ、ごめん。君じゃなくて、こっちの人なんだ」とか言えないじゃないですか。しかも、そのコピーバンドでの初ライブとしてライブハウスにエントリーしちゃっていたので引くに引けない状況で。
kyoka:蓋を開けてみたら、ギターのすごく下手な女が入ってきた(笑)。
──ということは、kyokaさんは最初、ギタリストとしてバンドに入ったんですね。
kyoka:そうなんです。ギターとコーラスをやらせてもらっていて。当時はコピーバンドだったんですけど、そのバンドで出演したイベントにAitoも出ていたんですよ。ONE OK ROCKのコピーをしていて、それがまた“本物がいる!”って思うくらいギターも上手いし、パフォーマンスもカッコよくて。そのライブをきっかけにAitoと仲良くなったんです。

──ちなみに風児さんとkyokaさんのバンドはどんなアーティストをコピーされていたんですか。
風児:僕らもONE OK ROCKですね。東京事変のコピーもしてました。
kyoka:RADWIMPSもやってたよね。あと、ボーカロイドの曲とかも。
──Aitoさんはお二人に初めて会ったときのことを覚えていらっしゃるんですか。
Aito:う〜〜ん……うっすらと(笑)。kyokaがギターを弾いていたのは覚えていて、風児も高校生にしてこんなベースが弾けるんだっていう印象を受けたのは覚えてます。
──その出会いからES-TRUSに至るまでというのは?
kyoka:とにかく私が風児とバンドをやりたかったんです。風児から「kyokaはギターよりボーカルのほうがいいんじゃない?」って言われたのもあって、だったら私がボーカルをやるから、高校を卒業しても一緒に本気でバンドをやってほしいって伝えて。最初は渋ってましたけど、「絶対カッコよくなるから大丈夫!」って口説き落として、高校を卒業してからES-TRUSとして活動を始めたんです。
──そもそもkyokaさんはなぜそこまで風児さんと一緒にバンドをやりたかったんですか。
kyoka:当時から、軽音部だけじゃなく対バンした人たちも全員「風児のあのベースはすごい」って一目置く存在だったんですよ。この人について行ったらどう考えてもいいバンドになるはず、本気で音楽を志すならこの人とバンドをやるしかないと思って。なので「一緒にやりましょうよ」ってとにかく言い続けたんです。
風児:もう、何度断ったことか(笑)。
──でも、最終的に一緒にやると決めた何かがあったわけですよね。
風児:それはやっぱり覚悟ですかね。僕はもともとスタジオミュージシャン志望だったんですよ。表舞台に立つというよりは、アーティストのバックでなんでも弾ける、そういうベーシストになりたかったんです。なのにkyokaはまったく諦めず、会うたびに「バンドやろう」って言ってきたんですよね。裏方をやるにしてもバンドで一回売れてたら箔がつくでしょ、とか言って。そこまで一緒にやりたいと思ってくれてるなら、じゃあやろうか、と。

──kyokaさんにはそれだけ強くバンドをやりたい、音楽で生きていきたい気持ちがあった。
kyoka:そうですね。もともとギターを始めたのは兄の影響だったんですけど……私、あんまり勉強が好きじゃなかったこともあって高校には行きたくなかったんですよ。ただ、中卒で音楽をやっていくのはさすがに現実的じゃないし、就職するにしても高校には行っておいたほうがいいんだろうなと思って。もし行くなら軽音部に入ろう、そこでいいメンバーと出会えたらちゃんとバンドをやりたいって考えていたんです。そうしたら、まんまと風児に出会って。バンドや音楽のいろんなことを教えてもらいましたし、「これはもう絶対にバンドでやっていきたい!」って風児に思わされたところもあるので、責任取れよ、じゃないですけど(笑)、そういう気持ちもありましたね。
──じゃあリーダーは風児さん?
kyoka:リーダーとかは別に決めてないんですよ。最初は風児がバンドマスター的にいろんなことを仕切ってたんですけど、曲作りやデザイン周りのことを私がやるようになっていくにつれ、私の「あれやりたい」「これやりたい」にメンバーがついていくしかない状態になったって感じですね(笑)。
──Aitoさんも最初からメンバーだったんですか。
kyoka:AitoはAitoで高校卒業してから他のバンドをやってたよね。
Aito:うん、専門学校に通いながら。
kyoka:そのバンドが解散することになったタイミングでES-TRUSのライブを観に来てくれたんですよ。そのあと風児にLINEが来たんだっけ?
風児:そう、急に。当時のES-TRUSはギター難民バンドというか、ギタリストがなかなか見つからないバンドだったんですよ。脱退した前メンバーのゆうきくんも最初は対バン仲間で、サポートギターを経て正式に入ってくれたんですけど、僕のなかではツインギターでやりたい気持ちがずっとあって。そんなときにAitoから「俺が入ったらES-TRUSはもっとカッコよくなると思うんだけど、入れない?」ってLINEがきたんです(笑)。おお強気だなと思いつつ、みんなに意見を聞いたら、あっさり「いいじゃん!」って。
──Aitoさんはどんな想いでそのLINEを? やっぱりES-TRUSのライブに魅力を感じたからでしょうか。
Aito:正直に言うと、自分のバンドが解散することになって、ギターを弾かなくなる期間を空けたくなかったんですよね。なので、すぐに入れるバンドはどこだろうなって考えたときに「あ、あいつらまだやってるじゃん」って思って(一同爆笑)。
風児:ナメてた(笑)?
Aito:いやいやいや(笑)。それで、とりあえずライブを観に行ったんですよ。でもライブ自体はカッコよかったけど、サウンド的に物足りなさを感じたし、俺だったらこういうギターを入れるだろうなって自然とイメージが浮かんだので、「俺が入ったらもっとよくなるよ」って伝えてみたんです。
──結果、大正解でしたね。
風児:そうなんです、ちょっと悔しいんですけど(笑)。