| ──マドンナのレーベルと契約できたときどう思った? ターシャ:とにかくシュールな経験だったわ。マドンナにも会えたし、すごくうれしい一方で信じられない気持ちもあった。興奮もしたし。でも自分たちの夢を実現できたし、とにかくうれしかった! の一言ね。 ──マトリックスなど有名なプロデューサーとの仕事はどうだった? ターシャ:すごくいい経験をしたわ。いろんなことを勉強させてもらったし。曲の構成、音の作り方。プロツールズの使い方も覚えたしね。今まで何も知らなかったから。たくさん勉強できてうれしかった。それに、それぞれ全く個性が違う色々なプロデューサーと仕事をして、色々なやり方を見ることができた。それがすごく参考になったのよ。素晴らしかったわ。 ──「It's about time」は共感できるすごくいい曲だと思いました。どんな風に書いたの? ターシャ:わあーうれしい! キム:サンキュー! ターシャ:あの曲を書いたときアルバムはほとんど完成してたの。もう10曲できていたんだけど、マヴェリックからあと2、3曲だけ作って欲しい、それで完成だって言われたの。でも、レコーディングのための時間は3日間しかなかったの(笑) で、スタジオでジャムでもしようかって、集まったのね。“time creeping behind me”って歌詞は昔書いた別の曲の一部なの。それでレイシーが新しい曲に入れてみたらぴったりだったの。最後はぜんぜん違う曲に仕上がったのよ。短期間でいい曲ができてハッピーだったわ。 ──ジャムって曲を作ることが多いの? ターシャ:うーん、そうでもないかな。基本的には別々に曲を作る方が多いわね。あたしとレイシーは一人で作業をするのが好きだし。後から持ち寄り合ってコラボするの。プロデューサーと一緒に曲を書くのはちょっと苦手ね。メンバー同士でやるのが好き。今回のアルバムはカヴァー曲(「What I Like About You」(The Romantics)もあったし、プロデューサーと共同で書いた曲もいくつかあるから、次のアルバムはもっと自分たちだけでやってみたいと思ってる。 ──「Promises」はすごく悲しい失恋の曲だったけど、これは個人的な経験? ターシャ:そうなの、これは実際に自分が経験したことで、高校生のときに付き合ってた彼氏とすごくうまくいって、幸せな日々を過ごしてた。ところが、ある日突然「君とはもう一緒にいたくないんだ」って言われたの。そんなこと経験したことなかったし、すごく辛かった。ほら、高校生ぐらいのときって、恋人といろんな約束するでしょ? まあその約束が破られて傷ついたんだけど、そのことを歌った歌よ。 ──彼は今ごろ後悔してるかもね? ターシャ:そう、彼は大きなものを失ったのよ! せっかくのチャンスを逃したんだから(笑)。 キャハハ! ──アルバムにはへヴィーで速いギター・サウンド、アコースティックでスローな曲いろいろあったけど、ギターへのこだわりは? ターシャ:ギタリストとしてはね、ぶ厚くてディープな音が好きよ。個人的にはね。ライヴとレコーディングではだいぶ設定が違うんだけど。自分でトレモロつけてみたり、いろいろ試してるわ。 キム:ライヴのときはけっこうメタルっぽいわよ、あなた(笑) ターシャ:あはは、そうなの。ヘヴィで低い音が好きなのよ。レコーディングのときはマーシャルとメサブギ使ってるんだけど。とにかくギターが好きなのね。アコギも弾くし、単にギターを弾いてることが好きなのよね。 ──'70年代の音楽に囲まれて育ったということだけど、影響を受けたバンドとかある? ターシャ:うん、とくによく聴いたのはビートルズ、クイーン、スーパートランプ 、レッド・ツェッペリン、シン・リジィ、それにニール・ヤング……うーんもう全部言い切れない! たくさんたくさんあるわ! 最近のだと、アニー・レノックスの新作は気に入ってる。あとはレディオヘッドも! キム:私は'70年代を聴き込んでるってわけじゃないのよね。でもラモーンズは大好きよ! ドラマーとしてはTOTOのジェフ・ポーカロ、それにスティーブ・ジョーダン(グルーヴマスターの異名を取る天才ドラマー。プロデューサーとしても活躍)には影響を受けたわ。ジョン・ボーナム(レッド・ツェッペリン)もね。最近のバンドだとザ・ユーズド、ザ・サウンズが気に入ってるわ。あと、これはライヴを見て感銘を受けたんだけど、ロラパルーザで見た少年ナイフのパフォーマンスはすごかったわ。 ターシャ:あ、あとニルヴァーナも好きよ! キム:そうそう、デイヴ・グロールもね。フー・ファイターズも好きよ。 ──お姉さんと家でも仕事でも一緒なのってどう? ターシャ:今は自宅で暮らしてるから家でも仕事でもお姉ちゃんと一緒よ。すごく多くの時間をお姉ちゃんと過ごすわ。家から離れている時間が多いから寂しくなくていいわよ。もう姉妹ってよりは親友って感じ。楽しくていいわよ。 ──喧嘩なんてしない? ターシャ:しないわね。まあ、たまーにはあるけど、基本的にすごく仲がいいのよ。 ──じゃあホームシックになんてならない? ターシャ:そんなことないわよ。家には妹もいるし。 キム:私も小さい妹がいるの。ホームシックになるわよ。 ──カナダの森に囲まれた小さな町で生まれ育ったそうだけど、どんな町だったの? ターシャ:そうね、ちょっとレッドネック的な、小さな町よ。周り中が山と木々で囲まれていて、みんなアイス・ホッケーが大好きなの。日本と同じように四季によって自然が移り変わってすごく美しいの。夏は暑いし、冬は雪が降る……すごく寒い。秋は紅葉もあるし。すごく小さいけど素敵な町。地元に帰ると地に足がつく感じがする。もっと若いときは退屈だと思うこともあったけど、今では本当にいいところに生まれたなあと思ってる。 取材・文●末吉靖永 ライヴ・レポート編 11/1(土)掲載予定!! | |