自分を信じること。自分がやってることを正しいと信じること
自分を信じること。自分がやってることを正しいと信じること |
ヤードバーズのレコードを買いに走ってから35年間、その活動を追い続けた“私のギター・ヒーロー”が、眼の前にいる。 珍しくジェフが取材に応じると聞き、胸を躍らせてロンドンにやって来た私だが、本当に会えるのかどうか、今の今まで半信半疑だったのだ。 訊きたいことは山ほどあった…。 |
Jeff Beck JAPAN TOUR 12月1日、2日、4日、5日 東京国際フォーラムホールA 【問】03-3402-5999 ウドー音楽事務所 12月7日 Zepp Sendai 【問】022-215-4455 仙台放送エンタープライズ 12月9日 パシフィコ横浜 【問】045-664-6969 ウドー横浜 12月10日、11日 大阪厚生年金会館大ホール 【問】06-6341-4506 大阪ウドー音楽事務所 12月13日 福岡サンパレス 【問】092-771-8121 ブレインズ 12月14日 広島郵便貯金ホール 【問】082-249-3571 夢番地広島 12月15日 名古屋市公会堂 【問】052-241-8118 CBC事業部 (※全公演 S席:8,500 A席:7,500税込) | ロンチ・ジャパン:昨年10年ぶりに出た前作『Who Else!』には、大きな喜びと衝撃を受けました。続けざまに『You Had It Coming』のリリース、どういう心境の変化が? Jeff Beck: 『Who Else!』を作って“現在のジェフ・ベック”という存在を自分の中に作り上げたという満足感が凄くあってね、115回もツアーをやって、バンドもエネルギーが充満してた。だから、休んでしまうとせっかく作り上げた現在の自分が、エネルギー・ダウンしてしまうような気がして、すぐに次のアルバムの制作に入ったんだ。 ロンチ・ジャパン:そう。そのエネルギーってやつ、聴く方にもストレートにビンビン伝わって、胸がドキドキするほどのスリルを感じましたよ。 Jeff Beck: それはある種のフラストレーションから来てると思う。昔は、バンドがスタジオに入って練習してる間にエネルギーを失うということがよくあったけど、現在は、テクノロジーが発達してるから、アイディアが出たらすぐ曲にして、そのままレコーディング出来る。その瞬間的なクリエイティヴなエネルギーがアルバムにも宿ってる。 ジェフが、快活に胸を開いて話をしてくれる態度を見て、私はずっと謎だった質問をぶつけてみた。 ロンチ・ジャパン:その前の(ほとんど活動を停止してた)10年間、一体何をしてたんですか? Jeff Beck: ウーン・・・(と、少し考えて)、色々理由はあるけど、休む癖がついて、活動するエネルギーを失ってた。それに'90年代の音楽やファッションの流行が、自分には合わない気がしてね。その前の'89年にやった『ギター・ショップ』のツアーが、自分たちとしては凄くいい感じで、そのまま3、4枚アルバムを出そうかという位前向きだったのに、結果が出なかった。それでガッカリして、10年間も尾を引いたという部分もあった。 「今日は何でも話すよ」という雰囲気が伝わって来た所で、一番聴きたかった質問を。 ロンチ・ジャパン:Rockという潮流の変化の激しい世界で、35年間もやり続けられた理由は何だと? Jeff Beck: まずは、ボクは凄くラッキーだったこと。ヤードバーズという人気のあるバンドに入ったことから始まって、音楽というのはローラーコースターみたいに、アップもあればダウンもある。肝心なのは、自分を信じること。自分がやってることを正しいと信じること。いい事といやな事では、勿論いやな事の方が多いけど、いい時の自分を強く印象づけて、それを思い出しながら演る、それが長く続けられた理由じゃないかな。 ロンチ・ジャパン: 現在のジェフ・ベックのもう一つの原点とも言える初のソロ・アルバム『ブロウ・バイ・ブロウ』('75年)について。 Jeff Beck: アヴァンギャルドとロックの結合というテーマは、ずっと胸の中にあった。それをシンプルに、なおかつ極端にやろうとしたのが、あのアルバム。ジョン・マクラクリンとかヤン・ハマーとか、そういう音楽に言葉にならないほど強い衝撃を受けて、そういう方向性を手探りで作って行った。そうした音楽は、将来的にも希望のあるフォルムだと思ったしね。それから『ギター・ショップ』という3ピースのアイディアもクリエイティヴで、凄く生き生きしてやれたんだ。でも、ビジネスの部分で方向性を失ってしまってね。 ここで、いかにも「日本的な」質問。 ロンチ・ジャパン:ギターとは? あなたの「ギター道」とは、一体何ですか? Jeff Beck: ギターは…人生を変えるもの。金持ちにもさせるし、貧乏にもさせる。悲しませたり、怒らせたり、感性を引き出すツールでも在るし…少なくともボクにとっては、人生を変えたもの、ボクのすべて、かな。 ロンチ・ジャパン:最近、50代のミュージシャンたちの活動、人気が非常に高まっていますが。 Jeff Beck: 嬉しいことだね。音楽に情熱を持って、結果もだせるということは、ボクにも勇気を与えてくれる。年齢がいっても、いい作品が出来て、普通の人たちをも楽しませることが出来るのは素晴らしいことだ。ボクは、ジミ・ヘンドリックスのギターに凄く影響を受けて、今でも彼からエネルギーを貰ってギターをプレイしてるけど、同じ思いを持ってるエリック・クラプトンとサンタナ、ボクの3人で、来年6月からアメリカでツアーをやる計画が進んでるんだ。 最後に思いがけないビッグ・ニュースが、ジェフの口から飛び出した! このツアーは、なんとしても見なければ、と誓いながら、最後の質問に入る。 ロンチ・ジャパン:ニュー・アルバム『You Had It Cominng』に続いて、日本公演に対する抱負を聞かせて下さい。 Jeff Beck: とにかく日本のファンの前でプレイ出来るのが、楽しみで仕方ないね。昔からのファンだけでなく、若いファンも沢山聴いてくれる。それが嬉しいんだ。ジェフ・ベックという名前や評判より、実際にCDを聴いて、実際のライヴを見て、ボクというギタリストを“自分自身の感性で”判断して欲しいね。 |
インタヴュー嫌いとして知られていたジェフ・ベックが、柔らかな笑顔で、ジョークを交えながら語ってくれた1時間。 “Rockを聴き続け、Rockを書き続けてきてヨカッタ!”…心底そう思い、胸が熱くなった。 by Yu Itami |
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