THE イナズマ戦隊 INTERVIEW

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――まず聴いて思ったのが“この人達は変わらないなぁ”という安心感だったんです。もちろんサウンドは磨かれてるし、進化はしてるのだけど、中心にある熱さは変わってないんですよね。

上中(Vo):ああ、そう言ってもらえると、こちらとしても安心するところですね。

――はい。でも、聞けばどうやらここに行き着くまでに紆余曲折を経ているんだそうで、今作に辿り着いたのも簡単なことではなかったらしですよね?

上中:おぉ、よくご存知で! 最初、今回のアルバムを作るにあたり細かく話し合ったわけではないんですけど、“ライヴで再現できるものにしよう!”っていうのは全員の中に強くあったんです。それは何故かというと、実はその前のアルバムではね、色々と自分らなりに挑戦したんですよ。でも、挑戦したものは挑戦しただけに終わったというか。その達成感だけが曲として残ってしまって、ステージで“挑戦した結果こうなりました!”って表現できへんかったんですよね。だから今回は、挑戦したことを自分らなりに吸収して形に表わせるものを、なおかつ自分らなりにカッコいいと思える曲を作ろうってずっと思いながら完成を目指したんです。

――その挑戦というのは、新たなジャンルへの挑戦だったり個々の技術的な挑戦?

上中:そうです。バンドも何年か続けてきたら、新しいことに挑戦しないと何も変わらないんじゃないかって思った時期があって……しかも、それはメンバーよりスタッフがそう思ったりするみたいで、何となく周りがそういうムードになってたんですよね。で、きっとTHEイナズマ戦隊が好きなお客さんって、吉本新喜劇みたいな、バレバレな感じを求めてたりするんだと思うんです。かと言ってそこばっかりを狙っていっても、幅は広がっていかないじゃないですか? じゃあ、まず外枠を取り外すために新しいことに挑戦せんといかんなと思ったんやけど、むしろこっちがシラケてしまったんですよね。それをね、ステージで感じて。いやぁもう、それはいかんなぁと思ってねぇ~! 今いるお客さんたちを満足させる実力のある楽曲たちを、よりグレードアップさせて届けな意味がないんやな! と気づいたんですよね。

久保(Dr):前回のアルバムは、もうちょっと音楽的に聴きやすい、本当にいい曲だなぁと思える曲がいっぱい入ってて。アレンジにしてもギターを重ねたり、CDとして聴くときを考慮した仕上がりにしたんで、いざステージで演るにしても物理的に再現不能なことが多かったんですよね。

上中:僕らはライヴで育ってきたバンドなのにねぇ。それは許せない!とごっつ落ち込んで。

――ライヴと盤は別だと割り切ってしまえば楽なんでしょうけど、それができるバンドではないですもんね。そこでそれぞれの中に出た解決策というのは具体的にどんなものだったんですか?

山田(G):やっぱり初心に返るというか……1stアルバムに近い、もっと言えば僕が中学生のときにロックを聴いてガン!と魂を揺さぶられたような感覚を信じることだったんですよね。それこそが僕の武器なわけで、そこを詰め込めば僕も、作品を聴いてライヴに来てくれるお客さんも納得してくれると思ったんです。自分がカッコいいと思うこと、それを信じたんですよね。

上中:僕ら、上京して事務所に入ったときなんて単なる田舎者でしたから。「シングルって何スか?」みたいなとこから色々と学んでいって。売れるということとロックを続けるということ、ふたつの目標がある中で――例えば海外のアーティストが必ず日本で食っていけるのかって言ったら違うし、そこには自分の中で決着がついてる。ただ、俺らはようやくここで、そんなバカみたいに売れるよりも、ジャパニーズ・ロックのいいスパイスとして生きていける力をつけたいと思えるようになったんですよね。要は、自分らのスタイルとして再度きっちり折り合いをつけられたんやと思うんです。

――うん。だからこの3年間って、流行りの音楽に迎合したわけでもなく、魂を売ったわけでもなく、つまりちゃんと洗練されてきた期間ってことなんでしょうね。

上中:そ~なんですよ! んもう、100点! それ、そのまま絶対に書いといてください!

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