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本名をモーリス・ヤングと言うトリック・ダディはフロリダ州マイアミの出身。
マイアミのヒップホップと言えば、何と言っても80年代末~90年代初期にかけてヒップホップ・シーンで一大ムーヴメントを巻き起こした“マイアミ・ベース"を代表するグループであり、超エロエロな歌詞&行動で数多くの騒動を起こした伝説のグループ=2ライヴ・クルーの名が真っ先に挙がるが、トリック・ダディのデビューも彼らに深く関係していた。

2ライヴ・クルーのリーダーだったルーク・スカイウォーカーが1996年にリリースしたソロ・アルバム『UNKLE LUKE』からのシングル「SCARRED」においてTRICK DADDY DOLLARS名義で参加したのがトリック・ダディの輝かしいキャリアのキッカケとなったのである。

マイアミ周辺ではスマッシュ・ヒットとなったこの曲のおかげで彼に対する注目が高まり、地元のコンサート・プロモーターとして有名だったテッド・ルーカスが新たに設立したレーベル“SLIP'N'SLIDE"と見事契約を結んだのだった。

このSLIP'N'SLIDEレーベルから97年に『BASED ON A TRUE STORY』(TRICK DADDY DOLLARS名義)でデビュー。

98年には名前をトリック・ダディと短くして『WWW.THUG.COM』をリリース。
このアルバムから、後にこちらも全米屈指のフィメール・シンガーに成長するレーベルメイトのトリーナをフィーチャーしたシングル「NANN NIGA」がマイアミを起点に南部でスマッシュヒットを記録。

このヒットにより遂にATLANTICとメジャー契約を結んだのだった。
2000年にはメジャー第1弾『BOOK OF THUGS』、2001年には『THUGS ARE US』を立て続けにリリース。

サグ道まっしぐらなキャラクターも相まって“ダーティー・サウスの超新星"として話題をさらった。
全米アルバムチャート初登場4位を記録した『THUGS ARE US』からは「I'M A THUG」というヒット曲を生み、全米シングルチャートでも17位まで上がる大ヒットとなった。

続く2002年に通算5作目の『THUG HOLIDAY』を矢継ぎ早にリリース。
全米初登場6位を記録したこのアルバムはアウトキャストのビッグ・ボーイをフィーチャーした「IN DA WIND」などのヒット曲を生み出し、結果的にゴールドセールスを達成。

その完成度の高いサウンド・プロダクション&ラップ・スキルも大絶賛され、あのネリーも2002年のベスト・アルバムにこの作品を挙げる程であった。

こうして1作ごとに着実にステイタスを上げて来たトリック・ダディ。
彼が全米を制覇する日もそう遠くはないだろう・・・
サグ(=thug)とは?・・・元々は「悪漢、暴漢」を表す言葉で、ヒップホップ界では「ギャングスタな生き様」を意味する言葉として使われる。

日本語で言うと「極道」が近い。今は亡きラッパー=2PACの代名詞でもあった