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スケートボーダーとして成功するかわりに(少なくてもメンバーの1人は、ユタ州でのコンサート後、Black Diamondに乗っているところを目撃されているが)、Filterはいわゆる“dude”の仲間達だけでなく、ハードロックやインダストリアルのシーンでも、ファンの心をがっちりとつかんでしまった。それも、たった1曲のたった1フレーズ――“Hey Man Nice Shot”で。

この曲は1995年に大ブレークし、これを含む11曲入りのデビューアルバム『Short Bus』は、プラチナヒットとなった。

Filterは当初、本質的には1人のバンドだが、実作業は2人という形態だった。現在では、複数人からなるバックバンドを率いた1人のバンドである。この1人、Richard Patrickは、曲づくりを手がけ、『Short Bus』の共同プロデュースまでしてしまうクリエイティヴな天才で、アルバムに含まれる全曲のヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、そしてプログラミングまでやってのける。また、ライヴではギターを弾き、すべてのヴォーカルを担当する。

しかし、そんな彼も、(当初は)プログラマーとして知識豊富なBrian Liesegangの助けなしにはやっていけなかったようだ。2人はTrent ReznorのNine Inch Nailsのライヴ要員として、Patrickがギター、Liesegangがプログラミングを担当していた頃に出会う。

その後、NINというねぐらを去った2人は、1990年代半ばにFilterとして音楽活動をともにするようになるまでは、それぞれソロとしてレコーディングをしていた。2人のバックグラウンドを考えると、『Short Bus』のサウンドが、少なくとも部分的にNINと似通っているのもうなずける。

1995~1999年の間にFilterとして発表された新曲は、すべて映画のサウンドトラックに含まれている。1996年には『Songs In The Key Of X』に“Hey, Bro”が、『The Crow: City Of Angels』に“Jurassitol”がそれぞれ含まれ、1997年の“(Can''t You) Trip Like I Do”は『Spawn』のサントラに、そして1998年6月リリースの『X-Files』のサントラには、Harry Nilssonの“One”(Three Dog Nightの1960年代ヒット曲)のクールヴァージョンが収録されている。

クリーヴランドからシカゴへと拠点を移し、メンバーの顔ぶれも一部変わった(Liesegangも1997年にグループを脱退)。心機一転したFilter(というかPatrick)は、『Title Of Record』で、よりスタイリッシュに、より幅広い音楽に挑戦。前作と同様、Patrickが自宅スタジオで自らプロデュースしたこのアルバムは、1999年の夏にリリースとなった。

2002年~2007年まで活動休止後、アルバムを3枚リリース、活動を続けている。