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キャンドルやお香の煙が彼女を導くように、Erykah Baduは滑らかで人を惹きつける歌声と魅惑的なステージでの存在感によって、すぐにリスナーを引きつけた。'97年にデビューアルバム『Baduizm』をリリースしてからたった数ヶ月後、このソウルフルな歌姫は、全く無名のシンガーから、ミリオンセラーを生み出す大スターに変身したのである。R&Bとトップ40、両ジャンルのリスナーの賞賛も手に入れていた。

Baduの歌声は、よくBillie Holidayと比較される。彼女いわく、このことが「一番の誉め言葉」。新人アーティストにとっては恐れ多いことだが、このスリムな歌手にとってはもっともな比較であった。

Baduはテキサス州ダラスで、大物ソウルアーティスト(Marvin GayeやStevie Wonder、Chaka Khan)の音楽と接しながら育った。ダラスのHigh School Of Performing And Visual Artsに通っていた彼女は、そこではMC Appleとして知られており、ライミングとラップを練習していた。また、彼女はダンスの訓練も受けていて、舞台の勉強のために、ルイジアナの黒人専門の大学に通った。'93年にダラスに戻ったBaduは、従兄弟であるRobert “Free”Bradfordと共にヒップホップの曲作りを始め、街中で演奏した。

ジャズを変形させた“On & On”のデモテープが大手レーベルUniversal Recordsの目に留まった時には、地元では口コミで知られていた。契約の条件は、Free抜きのErykah Badu。彼女はこの条件を飲んだが、一方で新人アーティストとしてもR&Bのアーティストとしても、驚くほどの自由を手にした。『Baduizm』は、19曲のデモと、彼女が選んだミュージシャンと、彼女独自のアイデアから生まれた。(売り込みも少なかった新人としては)驚いたことに、BillboardのR&Bアルバムチャートで2位に入り、リリースされてたった数ヶ月後にはミリオンセラーとなっていた。

彼女が幼い頃に聴いていたソウルフルなアーティストを思わせる、彼女の感情こもった声を聴いていると、スーっと催眠状態に入ってしまいそうだ。『Baduizm』の収録曲は、“Touch A 4 Leaf Clover”を除いてはすべてBaduによるオリジナル曲である。これらの作品は、洗練さと古臭さ、精妙さと未熟さ、力強さと女性らしさを兼ね備えている。もし、テーマがあるとすれば、明らかにそれはアフリカ系アメリカ人と女性に対する社会政治的な問題だろう。しかし、Baduは、愛や宗教についても歌っている。

たった1枚のアルバムだけで、独特のジャズの歌姫となったBaduは、あっと言う間に全世界を打ちのめしたようだ。絶えることのないロウソクやお香をよそに、彼女の堂々としたブルース、自由な魂と真実を見極める心が、彼女をR&Bの人気者にしたのである。盛大なクラブ・ツアーを終えたBaduは、George Clinton、Brand New Heavies、Cypress Hillらと共に、Smokin' Grooves Tourに参加した。

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