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James BrownやKraftwerkに次いで、世界で3番目にサンプリングされているアーティストArt Of Noise。しかし、その革新的なスタイルとは裏腹に、彼らはほとんど顔も知られていない。クラシック音楽と鍛錬を重ねたテクニックを、パンクというレンズを通して映し出すArt Of Noiseは、芸術と音楽の領域を広げ、仮想の草原に咲く言葉の花を聴き手の目の前につきつける。

Anne Dudley、Gary Langan、J.J. Jeczlikという3人のメンバーは、それぞれが優れたソング・ライターである。YesのアルバムをプロデュースしていたTrevor Hornの手で引き合わされた3人は、“Beat Box”というタイトルのダンス・ナンバーを制作。これがイギリスのチャートで大ヒットとなった。しかも、インタヴューを1本も受けず、写真すら1枚も発表しなかった彼らが、'83年度優秀黒人音楽アーティスト賞の第2位という座まで獲得してしまったのである。既に、Paul McCartneyやFrankie Goes To Hollywood、Wham!、London Symphony Orchestraといった人々と一緒に仕事をしてきた彼らは、この賞もありがたく受け取ることにした。作曲だけではない。Bugglesの大ヒット曲"Video Killed The Radio Star"で、彼らはビデオの制作まで手がけている。

サンプリングに利用される頻度で証明されているように、彼らは最も革新的なバンドの1つだ。しかし、中にはArt Of Noiseのことを、奇をてらっているだけだ、という人もいる。だが、いくらうるさい評論家でも、クラシックのテクニックとパンクの現代性、そして民族音楽のリズムの原始的な衝動を、1つにまとめあげる彼らの手腕は認めないわけにはいかないはずだ。