【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.163「野外ロックフェス ROKKI RAIKAA TAMPERE に行ってきた」

8月になりそろそろ秋の気配を感じることもあるフィンランド。北欧の短い夏を思いっきり楽しもうって感じで6月初めから毎週末どこかで何かしら野外フェスが開催されているが、今年の夏のフェスシーズンもそろそろ終わりに近づいてきた。

その数多くある夏フェスの中から今年初めてタンペレで2日間開催されたROKKI RAIKAA TAMPEREに行ってきた。このフェス昨年フィンランド北部のオウルで初めて開催され、今年はオウルの他に南部のタンペレでも開催となった。この夏開催された数多くのフェスの中でラインナップがかなり自分の好みだったのは行く大きな決め手となった。その今年のラインナップはこちら。
7月24日(金)
Amorphis、Stratovarius、Sonata Arctica、Klamydia、Poets Of The Fall、H.E.A.T.、Kotiteollisuus、Eläkeläiset
7月25日(土)
Apocalyptica、Cemetery Skyline、Tarot、Turmion Kätilöt (名前が伏せられていて当日ステージの幕がおりてわかるミステリー出演者)、Lost Society、Steve ‘n’ Seagulls、Marko Hietala、Michael Monroe
<1日目>
Eläkeläiset:
会場はHakametsän jäähall(ハカメッツァのアイスホール)の庭。初めて行く場所で、少し迷ってしまい会場についたらトップバッターのEläkeläisetが始まっていた。彼らのバンド名の意味は”定年退職者”だ。初めて観たが、メンバーはまだバンド名ほど高齢には見えなかった(笑)。なんでこのバンド名なのかはなぞ。ジャンルはHumppa(フンッパ)と呼ばれるフィンランドのダンスミュージックらしい。サークルモッシュのフィンランドダンスバージョンだろうか?曲によっては観客が輪の列を作って楽しくダンスしながら周っていた。彼らはロックメタルの往年のヒット曲のカヴァーをフィンランド語で演奏もしていて、今年のドイツのWacken Open Airにも出演しているのを知ってびっくりだった。

Kotiteollisuus:
いくつかのラジオヒット曲を持つ歌詞フィンランド語のキャリアの長いメタルバンドで、やっぱり誰もが知ってるヒット曲があるのは強い!昔ラジオでよく聴いた曲のメロディが耳に入ってくるとサビの部分ついつい一緒に口ずさんでしまう。


H.E.A.T.:
この日唯一国外、お隣のスウェーデンから個人的にも大好きなメロディックハードロックバンドH.E.A.T.が出演!メロディックでハードなサウンドにヴォーカルのケニーがステージ狭しと動きまくり、ゲンコツを振り上げる。終始楽しくてあっという間に終わってしまった感じだ。この日はヘッドライナーを除いて他の出演者は持ち時間1時間。ちょっと短すぎて早くまた単独公演を観たい気持ちが高まった。


Poets Of The Fall:
このバンド2006年にリリースされたセカンドアルバム『Carnival of Rust』で大ブレイク!今年そのアルバムの20周年記念ツアーを行っている。ちょっと哀愁あるサウンドで、そのアルバムがリリースされた2000年代後半よく聴いていたバンドだ。近年の活動はあまり知らなかったものの、久々に生で聴いたそのアルバムからのヒット曲、すごく懐かしくてノスタルジーな気分になった。哀愁漂うフィンランドのサウンドが好きな方はチェックして聴いてみてほしい。


Klamydia:
次に登場したのはキャリアの長いベテランパンクロックバンドKlamydiaだ。
歌詞がフィンランド語というのは、観客も歌いやすいのだろう。サビの部分やおなじみのヒット曲ではマイクを観客に向けるとみんなが一斉に歌う。近年若手のパンクバンドがあまり目立ってないものの、パンクは死んでないぞ!って貫禄を感じたライブだった。


Sonata Arctica:
そして日本でもメタルファンにはおなじみのSonata Arcticaが登場!パワー・メタル とか メロディック・スピード・メタルと言われているが、北欧らしい叙情的な美しいメロディが感じられる曲も多く、それに疾走感が加わり心地よく響く。演奏時間が短かったからだと思うが、大好きなバラード曲「Tallulah」がなかったのは残念だったが、「Last Drop Falls」でヴォーカルのトニー・カッコはステージのふちに座って、前に集まったカメラマン一人一人にポーズをとるというお茶目な面もあった。


Stratovarius:
その後は同じくメロディック・パワー・メタル/メロディック・スピード・メタルのStratovariusへと続いた。長いキャリアを持つ彼らも日本のメタルファンにはよく知られた存在だと思う。今年10月日本で開催される「FULL METAL JAPAN 2026」に出演が発表になっている。ギターとキーボードが高速で絡み合い、クラシカルでメロディアス、どことなく北欧の空気を感じさせてくれるサウンドだ。最後のシメは大ヒット曲「Hunting High and Low」で、会場盛り上がらないわけない。


Amorphis:
初日のトリを飾ったのは、フィンランドが誇るメタルバンドの一つAmorphisだ。グロウルとクリーンヴォイスの使い分けが素晴らしい!ヘヴィなサウンドでありながらちょっと叙情的でフィンランドの民族音楽をも感じさせ、北欧らしい哀愁も漂う。ステージ中央に設置された鳥の大きな頭蓋骨とヴォーカルのトミ・ヨーツェンの衣装が何とも独特の雰囲気を作り上げ、会場に集まったメタルファンを最高に沸かせて初日終了となった。話は変わるがトミの名字ヨーツェン(Joutsen)はフィンランド語で白鳥の意味である。


<2日目>
Michael Monroe:
2日目のトップバッターはフィンランドが誇るロックスターMichael Monroeバンド!今年リリースされたニューアルバム『Outerstellar』からの曲はもちろんながら、おなじみのHanoi RocksやDemolition 23.の曲など、始めっから終わりまで、息つく暇がないほどエネルギー爆発のロックンロールショーをみせてくれた。帽子をいろいろとりかえ、マイケル自ら赤いサクソフォーンを演奏する曲も。ステージに立つメンバー皆楽しそうで、観る側も楽しくなってくるあっという間の1時間だった。


Marko Hietala:
次に登場したのはNightwishの元ベーシストでよく知られるマルコ・ヒエタラだ。脱退後少し活動休止したものの、今はソロ活動をしている。最初にリリースしたソロアルバムは歌詞フィンラン語だったものの、英語ヴァージョンもリリースし、2作目は1曲を除き英語だった。ライブではフィンランド語、英語両方取り揃えたセットリストになっていた。サウンド的にはメタル、ハードロック、プログレ、フォークロックを感じる曲もあったりで、彼独自のサウンドを作り出してる印象を受けた。


Steve ‘n’ Seagulls:
観てみたいと思いながらまだ1度も観たことなかったバンドが彼らだ。往年のロック・メタルのヒット曲をブルーグラスヴァージョンで披露するカントリーロックバンドだ。バンジョー、アコーディオン、マンドリンとかロック・メタルのライブでは珍しい楽器で、この日もIron Maiden、Deep Purple、Gary Moore、AC/DC、Metallicaなど誰もがなじみのヒット曲を楽しく演奏してくれた。


Lost Society:
2010年バンド結成当時はスラッシュメタルバンドだったものの近年はモダンにグルーヴ・メタル、ニュー・メタル、メタルコアっぽく変化を遂げてきたLost Societyが登場!ヴォーカルのサミー・エルバンナは今年再結成されたChildren Of Bodomのヴォーカル&ギタリストでアレキシ・ライホの代役を務め高い評価を得て人気急上昇。アレキシの代役に抜擢されるほどギターの腕前は抜群で、ギターソロがとにかくかっこいい!彼のスクリームは迫力あるが、クリーンヴォイスの最後の曲「Awake」は感動もんだ。


Turmion Kätilöt (ミステリー出演者):
次はバンド名があかされていないミステリーな出演者で、ステージ前にカーテンがひかれた。ところが発表されているラインナップにないバンド名がフェスのTシャツにプリントされていたのに気がついた人がいて、事前にミステリーの出演者の予想がついてしまっていた。さてカーテンが落ちて現れたのは、、、、予想的中!ディスコ・メタルバンドTurmion Kätilöt が現れた。歌詞がフィンランド語なものの来日公演もしたことがあり、日本盤もリリースされたことがあった。ヘヴィなメタルとディスコのビートが彼ら独特のサウンドを作り出し、白塗りの顔でのパフォーマンスも印象的だ。先月ギタリストのボビー・アンダーテイカーが癌と診断され、幸い早期発見で完全に治療可能とのことで、早急に手術が必要になり、しばらくBeast in Blackの元ギタリスト、カスペリ・ヘイッキネンがギターを務めることが発表になった。気になったのは白塗りしてるかどうか?で、してませんでした。


Tarot:
マルコ・ヒエタラがお兄さんのザカリー・ヒエタラと結成したメタルバンドTarotが登場で、この日マルコは2度目の出演となった。Tarotとして活動始めたのが1985年ということで、途中活動がない時期もあったものの息の長いバンドだ。マルコのソロと比べるとこのバンドの方がヘヴィでスピード感のある曲もある。


Cemetery Skyline:
2日目最後から2番目に出演したのがフィンランドとスウェーデンの実力派メンバーで結成されたスーパー・バンドCemetery Skylineだ。メロデスバンドのメンバーが多いもののこのバンドはゴシックロックバンドだ。メランコリーで哀愁感漂うゴシックなサウンドにはまさに北欧を感じる。Dark TranquillityやThe Halo Effect でデスヴォイスでおなじみのミカエル・スタンネがこのバンドではすべてクリーンヴォイスで歌い、このバンドのサウンドとぴったり合って聴いててうっとりするほどだ。夏とはいえ7月も終わりに近づいてくると夜10時ごろには日が暮れかかってきて、ステージから放たれたレザー光線が映えてすごく奇麗だった。彼らは9月に来日公演が決まっているのでお見逃しなく。


Apocalyptica:
2日目の最後、今回のフェスのトリを飾ったのがチェロでメタルを奏でるApocalypticaだ。3人のチェロ奏者とドラマー構成で、チェロならではの美しい音色に力強いドラムの音が組み合わさる。ロン毛の2人はヘッドバンしながらヘヴィに演奏するのもお手のもの。Metallicaの曲のカヴァーアルバムでデビューした彼ら、オリジナル曲のヒット曲も多いものの、近年のライブはバンドの原点に戻ってということで、全曲インストゥルメンタルでMetallicaのカヴァーを演奏していて、この日もメタリカの曲で集まった観客を魅了させた。


今年の出演者、知らなかったけど気になるバンドがいたらぜひチェックを!
ステージ前のエリアの横は小高い丘になってて頂上にバーがあり、芝生に座って観たり休憩することも可能だった。

反対側のエリアには食べ物の屋台が多くでていて、長イスやテーブルがたくさん置かれていて、スクリーンを観ながら食べたり休憩も可能。究極のエクストリームスポーツに興味あれば、つり上げられたカゴから2人で飛び降りるタンデムバンジーを体験することもできた。他に会場でピアスやタトゥを入れることも可能だった。


飲み物の持ち込みは不可なものの、500ml以内の透明の空ボトル持ち込み可能で、会場内に給水場所Vesipisteがあるので空ボトルに無料で飲料水を入れることも可能だ。このVesipisteは他の野外フェスでもたいてい設けられている。

簡易トイレは多く用意されていて、ソープと水で手も洗えペーパータオルも用意されていたのと、水洗トイレチケットがあり、それを購入すれは会場横のアイスホールの水洗トイレ使用も可能だった。

ちょっと値段の高いプライオリティ(Priority)チケットもあり、専用バー、専用トイレ、イス、テーブルが設置されている専用エリアがあるものの、そのエリアはステージ前ではない場合がほとんどで、このフェスもプライオリティ・エリアはステージ前の横で、座ってゆっくり観たい場合はステージに一番近い場所といえる。

フィンランドの野外フェスではたいていの場合傘の持ち込みは禁止されているので、お天気悪そうな場合はレインコート持参をお忘れなく。持ち込み禁止の物を持っていた場合はたいてい入り口にクローク(たいてい一般チケットの場合有料)があるので預けることも可能だ。
このRokki Raikaa Tampere 来年も7月23~24日に開催されることが発表になった。まだ来年のラインナップは発表されてないが、チケットは時々お買い得のセールもでるが早く買う方がお得なことが多い。百夜の季節のフィンランドの夏フェス、機会があればぜひ体験を。ただ夏とはいえ夜は10℃前後ぐらいまで冷え込むこともあり、半そでTに夏用のジャケットでは寒いこともあるので、天気予報チェックはお忘れなく。
文&写真◎Hiromi Usenius