【レポート】yonige、自身二度目のビルボードライブで最新曲「芽吹くとき」初披露も「ハプニングだらけの今を愛してる」

2026.03.22 19:00

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yonigeが3月20日(金・祝)、神奈川・Billboard Live YOKOHAMAにてビルボードライブ<yonige “Something Blue” at Billboard Live YOKOHAMA>を開催した。

バンドにとって約1年半ぶりのビルボードライブ公演となったこの日は、3月9日にソニー・ミュージックレーベルズからのメジャー再デビューを発表して以降、初めてのワンマンライブ。彼女たちは、47都道府県を巡った全国ツアー<Homing tour>で何倍にも膨れ上がった筋肉を、二度目となるビルボードの地へ示すと同時に、再び戦いの場へ身を置くことを決めた現在の前傾姿勢を提示してくれた。ここでは1stステージと2ndステージの双方のオフィシャルレポートをお届けしたい。

“花嫁が身に着けると幸せになれる”なんて言い伝えから命名されたという同公演のタイトルにちなみ、ドレスコードの青色に染まった客席。すると、黒を基調としたフォーマルな衣装でドレスアップした牛丸ありさ(Vo, G)が、1コードを何重にも重ねていく。遠方から土器大洋(G)のギターが押し寄せ、ホリエマム(Dr)が掻き回すシンバルもさらさらと鳴り出す。オープニングナンバーは「対岸の彼女」だ。微々たる震えを孕んだそのボーカルには、もしかすると押しかかったプレッシャーが表れていたのかもしれない。しかし、アンニュイやニュートラル、平熱といった形容が相応しい牛丸の歌唱は元来リラクシングな形質を備えているわけで、普段よりもアダルトで落ち着いた今日によく似合う。メンバーによって革靴で刻まれるカウントが、コツコツと聴こえてくるのもこの会場ならではだ。

“新しい場所に”の1ラインでギュッと拳を結んだ牛丸の風姿に新たなフィールドへ歩みだそうとする気概が滲んでいた「walk walk」を終えると、一度目の分岐点へ。1stステージは「最終回」から「あのこのゆくえ」「ワンルーム」、対する2ndステージは「悲しみはいつもの中」から「リボルバー」「アボカド」と、後者のほうがわずかに情と恋心のベクトルが強い形に。とはいえ、ここで改めて驚かされるのは、yonigeの眼を通じて見ることができる世界の圧倒的な解像度の高さだ。はしゃぎまくる酔っ払いに混ざり切れない虚しさと苛つき、セクシュアルな対象から逸脱したいという突飛ながらも切実な懇願、見慣れた部屋の見慣れない箇所に目をつけ、他者の存在にふと気づく生々しいほどの恥ずかしさ。マーカーだらけの教科書よろしく、どこを抜き出しても名文だらけの詩世界は、いずれも日々の小さなズレと不和、違和感を発端としているわけで、言われてはじめて“あぁ、確かに”と気づきを獲得するような感覚さえも与えてくれる。そして、そのリスナーをドキリとさせる鋭さは、牛丸よりもわずかにひんやりとした性格を携えたごっきん(B, Cho)のコーラスワークで補強されているものと言えよう。

ごっきんが“牛丸のディーバタイム”と命名した古舘佑太郎(G)とDAIKI_AWSM.(Key)を迎えた6人編成での中盤戦では、リリース以降、時を重ねるたびにより馴染む形へと姿を曲げてきたyonigeのトラックたちをさらに拡張していった。例えば、1stステージで披露された「顔で虫が死ぬ」は原曲よりもテンポを落とし、アコースティックのさらさらとした音色や春の終わりを思い浮かばせるピアノの旋律で、生来有している不穏さを儚い孤独感へ変換。あるいは、2ndステージで演奏された「どうでもよくなる」では、鍵盤ハーモニカを加え、引越し直後のソワソワとした感触にも類する少し腑の抜けたご機嫌なベクトルを強めていく。

“ゴーン”なんてオノマトペを授けたくなるほどに深くベースが潜り込んだ「Exorcist」、ミラーボールが揺らめく最中、牛丸のローな歌唱がベッドルームミュージック的な空間を生成した「Club Night」を終え、中間ブロックを締め括ったのは「沙希」。深い青の光が舞台へと注ぎ、ピアノがしずしずと鳴らされると、ストリングスにも似た響きを宿したギターが重なっていく。ワインレッドのカーテンに投影される斑ら模様は、“ヘッドライトの光天井を泳いでった”の一節と重なり合い、吐息を感じるくらいの親密な空気へフロアを染め上げていった。

「最初に思ってた未来と現状が違うことってあるじゃないですか。私にとっては、まさにyonigeの活動がそうでした。でも、ハプニングだらけの今を愛してる。そういう気持ちを込めました」──牛丸ありさ

こんな牛丸の言葉からドロップされたのは、バンドにとって初めてのアニメ主題歌となる、TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』のオープニングを飾る新曲「芽吹くとき」だ。ミドルハイの音域を駆け回るベース音と彼女たちの作品群の中では比較的アッパーなBPMに、MCで語った通りの思いを隅々まで詰め込んだ同曲は、おそらく過去のyonigeのままだったら生み出せなかったものだろう。しかし、封印していたというラブソングを解禁したことを筆頭に、自身の帝国へ凱旋したアルバム『Empire』を産み落とし、各所で漏らしてきたライブに対する苦手意識を全国への挨拶周りで克服した今なら、何も怖いものはない。楽曲のクライマックスで牛丸が放つ極太のロングトーンは、そんな自信と決意で漲っていたのである。

1stステージでは「さよならアイデンティティー」を、2ndステージでは「さよならプリズナー」を披露し、自身の暮らしからあなたの存在をベリベリと引き剥がす痛みや、いつまでもあの日に囚われている情けなさと健気なまでの恋の残滓を言い抜くと、ラストは再び6人で「Without you」を。アンコールに据えられた「Super Express」が「出発進行」という4文字が脳裏によぎるくらいのエネルギーと疾走感に満ちていたことを踏まえれば、「Without you」を最後に置いた理由は明らか。“without you 癒えてない傷を隠すのはもうやめた”──彼女たちは挑戦に破れた日々も、最悪なラブストーリーに打ちひしがれた過去も受け入れて、ここまで出会ってきた君と共に歩みを進めていくに違いない。

こうして終幕を迎えた二度目の<Something Blue>。ビルボードという場だからこそ浮き彫りになった彼女らの健全な成長は、“なぜ、今yonigeは再びメジャーシーンへと舞い戻ったのか?”という疑問に対する確かな返答となっていた。4月にライバルたちと正面衝突する東名阪ツアー<Make up my mind>を控えたyonigeは、まだまだのたうち回りながら、面白い方へと走っていく。

取材・文◎横堀つばさ
撮影◎Masushi Watanabe (@massu_wa)

 

■<yonige “Something Blue” at Billboard Live YOKOHAMA>3月20日(金/祝)@神奈川・Billboard Live YOKOHAMA セットリスト
【第一部】
01.対岸の彼女
02.walk walk
03.最終回
04.あのこのゆくえ
05.ワンルーム
06.顔で虫が死ぬ
07.Exorcist
08.催眠療法
09.Club Night
10.沙希
11.芽吹くとき
12.センチメンタルシスター
13.アボカド
14.さよならアイデンティティ
15.Without you
encore
en1.our time city
en2.Super Express

【第二部】
1.対岸の彼女
2.walk walk
3.悲しみはいつもの中
4.リボルバー
5.アボカド
6.どうでもよくなる
7.Exorcist
8.催眠療法
9.Club Night
10.沙希
11.芽吹くとき
12.スクールカースト
13.ワンルーム
14.さよならプリズナー
15.Without you
encore
en1.our time city
en2.Super Express

 

シングル「芽吹くとき」
2026年5月27日(水)発売
予約URL:https://VA.lnk.to/mebukutoki
【期間生産限定盤(CD+BD)】
ESCL-6249~6250 ¥2,500(tax in)
※初仕様はスリーブケース仕様
▼CD収録曲(初仕様/通常仕様共通)
1.芽吹くとき
2.Don’t
3.Wet
4.しがないふたり(re-arrange ver.)
▼Blu-ray収録内容(初仕様/通常仕様共通)
TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』
ノンクレジットオープニングムービー

●店舗別購入特典
・yonige応援店:『芽吹くとき』オリジナルはがき
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・楽天ブックス:オリジナル缶バッジ
・セブンネットショッピング:オリジナルアクリルカラビナ型
・TOWER RECORDS全店(オンライン含む/一部店舗除く):オリジナルスマホサイズステッカー
・アニメイト:オリジナルましかくブロマイド
※数に限りがありますので、なくなり次第終了となります。
※上記店舗以外での配布はございません。
※各オンラインショップにつきまして、カートが公開されるまでに時間がかかる場合がございます。
※Amazon.co.jp、楽天ブックス、その他一部オンラインショップでは「特典対象商品ページ」と「特典非対象商品ページ」がございます。予約の際は、希望される商品ページであることをご確認ください。

 

■<yonige presents「Make up my mind」>
4月10日(金) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
 GUEST:ハルカミライ
4月12日(日) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
 GUEST:Age Factory
4月14日(火) 東京・渋谷Spotify O-EAST
 GUEST:Hump Back
チケット:https://eplus.jp/sf/detail/1901530001?P6=001&P1=0402&P59=1