【インタビュー】冨岡 愛『愛’sCREAM』、“言葉ノート”から生まれるメロディーと物語のつくり方

2025.12.09 22:00

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interfmの音楽ラジオ番組「TOKYO MUSIC RADAR」に、冨岡 愛がやってきた。

「TOKYO MUSIC RADAR」は、日本はもとより、アジアから欧米…と世界へ羽ばたくべくグローバルに活躍するアーティストたちをゲストに迎え、その魅力を広く伝えることを目的としたミュージックプログラムだ。

アーティストを迎え音楽談義に花を咲かすのはMCを務めるmikakoで、渋谷系ハーモニーポップグループNagie Laneのメンバーとして活動する現役ミュージシャンならではの、ディープながらポップでキュートなトークセッションが魅力の番組だ。

冨岡 愛

──(mikako)冨岡 愛さんは、小さい頃はオーストラリアに住んでいらっしゃったんですよね?

冨岡 愛:そうなんです。4歳から15歳…中学3年生まで。

──(mikako)ということはオーストラリアで人格形成されたんですね。

冨岡 愛:そうですね、現地の学校に行っていました。

──(mikako)音楽活動を始めたのはいつ頃だったんですか?

冨岡 愛:ギターを触りだしたのが中学校2年生の時なんですけど、ちょうどテイラー・スウィフトの『レッド』ツアーの頃で、ライブ映像をYouTubeで観て「うわ、弾き語りってめっちゃかっこいいな」って思っていたタイミングで音楽の授業でクラシック・ギターの授業が始まったんです。

──(mikako)クラシック・ギターを手に取ったところから?

冨岡 愛:そうですね。そこからザ・ビートルズの楽曲のカバーを始めて。

──(mikako)いい授業ですね。

冨岡 愛:めちゃくちゃいいですよね。そこからずっとギターを触ってきた、みたいな感じですね。

──(mikako)テイラー・スウィフトきっかけだったんですね。その前から歌うことは好きだったんですか?

冨岡 愛:歌うこと自体は好きで、その頃ディズニー・チャンネルをめっちゃ観ていて『ハンナ・モンタナ』とか。

──(mikako)マイリー・サイラスね、「ザ・クライム」とか。(編集部註:テレビドラマ『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』の主題歌。主役を務めたマイリー・サイラスのヒット曲)。

冨岡 愛:「ザ・クライム」も大好きで、『ハンナ・モンタナ』を見て「歌うことってかっこいいな」って音楽に興味を持ち始めました。実際にギターを触りだしたのはその数年後の中学校2年生なんですけどね。その頃は洋楽が多かったです。アヴリル・ラヴィーンだったり。

左から、mikako、冨岡 愛

──(mikako)作曲を始めたのは?

冨岡 愛:日本に帰ってきて、そこからです。でも向こうで生活しながらも、お母さんが常にCDをかける人だったので、母の影響でaikoさんやZARDさんもよく聴いていました。洋楽にも洋楽なりの魅力がたくさんあるんですけど、邦楽の魅力って、きっと二言とかで言えることを3分間だったり4分間で丁寧に時間をかけて、綺麗な比喩をつかって表現していくところが素晴らしいなと思って、そういうところに作詞作曲の影響を受けたかなって思っています。

──(mikako)それが今に繋がっているんですね。

冨岡 愛:テイラー・スウィフトを見てから、「私もこうなりたい」っていう思いが強かったんですけど、中学生の時は曲がほんとに書けなくて、「書き方、何かあるのかな」と思っていたんです。なんかステップ・バイ・ステップ法みたいな方法で曲を書くのかなと思っても、そんな方法も見当たらないし。でもテイラー・スウィフトは絶対自分で自分の曲を書いてるよなってすごい悩んでいたんです。

──(mikako)ええ。

冨岡 愛:そんな時に、高校2年生で「プロム」っていうダンスパーティーイベントが学校であって、仲良かった男の子がずっと片思いしていた女の子に、告白の気持ちも込めてダンスパーティーに誘おうってことになったんですね。私も調子に乗って「いや、いけるいける」みたいに背中を押して手伝ったりしていたんですけど、悲しいことに振られちゃって、泣きながらショックを受けている顔を見て「いけるいけるだなんて、なんて無責任なことを言ってしまったんだろう」って私自身もすごい落ち込んじゃったんです。「かける言葉もないな」っていうその時に初めてオリジナル曲を書きました。その曲は学祭で披露したんですけど、それをきっかけに「自分の作った言葉だったり綴った言葉だったりメロディーで、誰かの心を動かせたらすごい幸せだろうな」と思って、そこから作詞作曲がスタートしています。

──(mikako)それは凄い原体験ですね。ちなみにその楽曲は、世に出ていたりするんですか?

冨岡 愛:いや、出ていないです。いつか出したいなとは思ってますけど。

──(mikako)発表されるのを楽しみにしています。そんな冨岡 愛さんといえば「恋する惑星「アナタ」」という楽曲が大きくバイラルヒットしたわけですが、その時のことは覚えていますか?

冨岡 愛:実は「恋する惑星「アナタ」」をリリースしたのは2月のバレンタインデーで、バイラルヒットというか世に届いたのはその数ヶ月後の夏だったんですよね。朝起きた時にふとスマホを見たらコメント数とかが増えていたりして、それは素直に嬉しいなっていう気持ちでした。

──(mikako)この楽曲はどのように作られた曲だったんですか?

冨岡 愛:実は「恋する惑星」っていうウォン・カーウァイ監督の映画のポスターを見たときに、「「恋する惑星」ってワード…すごく残るな」って思って、そこをきっかけに1曲作り上げたっていう感じなんです。

──(mikako)その言葉がインスピレーションのもとだったんですね。

冨岡 愛:そうです。きっと恋する瞬間だったり誰かを好きって思う時って、きっとその人の惑星にいるような気分になるというか、その人のリズムに自分の生活もゆっくりと寄り添っていったり、相手の重力がなんか自分に押しかかってきているような気がしたり…みたいな、それを表現できたらと思って書き上げた作品になります。

──(mikako)普段はどういうところから刺激を受けることが多いですか?

冨岡 愛:その映画のポスターもそうですけど、結局、言葉が好きで、常に言葉ノートはつけているんです。映画を観た時のセリフだったり、本を読んだ時に引っかかったフレーズだったり、街を歩いていても気になる広告とか、パッと目に入るような言葉にアンテナを張っているかなって思います。

──(mikako)楽曲自体はどのように作っているんですか?

冨岡 愛:メロと歌詞は同時タイミングが結構多いんですけど、ギターを持って自分の好きなコードを弾いて、それこそ自分の言葉ノートを開いて「この言葉使いたいな」とか、タイトルを決めてそこから作り出すパターンもあります。

──(mikako)パッと書けるほうですか?それとも時間がかかるタイプですか?

冨岡 愛:ほんとに曲によるんですけど、「恋する惑星「アナタ」」は1日で書いた曲ですし、「グッバイバイ」という曲は30分ぐらいで書きました。ただ、すぐ書ける曲って割と自分の中でも伝えたい思いが明確に決まっていて「こういう言葉を伝えたい」とか「こういう言葉を明確に届けたいんだ」っていうメッセージがはっきりしているものが多いんです。けど、アルバム『愛’sCREAM』の楽曲にはちょっと時間をかけて書いたものもありますね。

──(mikako)11月12日に発売された『愛’sCREAM』は、待望の1stフルアルバムですよね。

冨岡 愛:自分の1stアルバムなので今までの集大成というか、自分の楽曲がまとまった作品が世に出るっていうのは、嬉しい気持ちでいっぱいですね。

──(mikako)『愛’sCREAM』というタイトルには、集大成という意味も込められているとか。

冨岡 愛:自分が生きてきたこの23年間の愛に対しての様々な価値観だったり、感じてきたものをひとつひとつ作品に落とし込んでまとめたものになるので、自分の名前も愛なので「愛の叫び」って言ったらあれですけど、自分の叫びともかけて少しポップ目に自分らしく表現したのが『愛’sCREAM』です。

──(mikako)アルバムを制作する過程で、行き詰まったり悩んだところとかは?

冨岡 愛:アルバムをリリースすると決まった時点で、タイトルはもう決めていたんです。ずっと前から1stアルバムは『愛’sCREAM』にしたいと思っていて、ジャケットもアイスと一緒にポップに撮りたいって思っていたので。いろんな曲を選んで、新しい曲を作ってレコーディングしていく上で、表題曲の「愛’sCREAM」っていう曲も収録されているんですけど、アルバムの中で1番最後にできたのがこの楽曲なんです。自分が何を伝えたいのか、このアルバムで1番表現したい心の叫びは何なんだろうって思いながら作った楽曲ではあったので、初めてピアノで作曲したっていうのもあって、メロの面でも作詞の部分でも少し時間がかかった楽曲ではありましたね。

──(mikako)表題曲「愛’sCREAM」は、自分自身に対して思ったことを歌っているんですね。

冨岡 愛:そうですね、自分に向けて書くことなんてほとんどなくて、そもそも誰かに向けて書くというのもないんです。誰かのことを思って書くことはすごくあるんですけど、誰かに向けてという楽曲はあまりない。そんな中で、この曲は自分自身に向けて、「いつか振り返った時に、きっとどこにいてもこの楽曲を聴いたら、今のことを思い出せるんじゃないかな」って思って、そういう意味でも自分のために書いた楽曲にはなりますね。

──(mikako)未発表の新曲は他にも「831」と「デジャヴ」がありますが、「デジャヴ」はかっこいいベースラインから始まって、クールでシャープな部分が見える楽曲ですよね。

@tomiokaai

こんな元カノいたら嫌だなと思うかもだけどこれがリアルよね。#デジャヴ #冨岡愛 #aitomioka #おすすめ #fyp

♬ original sound – 冨岡 愛 (Ai Tomioka) – 冨岡 愛 (Ai Tomioka)

冨岡 愛:この楽曲はちょっと恥ずかしいんで「実体験」ってあんまり言いたくなかったんですけど(笑)、実体験多めの楽曲で「デジャヴ」というフレーズも言葉ノートに書いていた言葉なんです。元恋人が自分を思い出すときに、「ちょっとデジャヴに感じてほしいな」「忘れてほしくないな」という感情かな。その人のことを好きなのかって言われたら全く別の話なんですけど(笑)、なんか爪跡残したいみたいな、今何してんのか気になるみたいな、好きではないけど誰と付き合ってんのかなみたいな、ちょっと絶妙な…でもきっと共感してくれる方多いんじゃないかなっていうものを、少し尖ったフレーズとかも入れて作り上げたいって思って書いた曲です。なので「共感していただく方がいてくれたら嬉しいな」という思いを込めて、シャープな歌声だったり、少しトゲが刺さったような楽曲にしたいなと思って作り上げました。

──(mikako)私も女子なので、すごくわかります。爪痕は残したいですよね(笑)。花の名前を当時の彼に教えておくと、その花を見るたびに自分のことを思い出してくれる、みたいな。

冨岡 愛:映画『花束みたいな恋をした』にあるシーンですね。

──(mikako)そういうことを、しっかりやりますよ(笑)。

冨岡 愛:素晴らしい(笑)。ちょっと歪んでいると思われるかもなんですけど…私は、別れる場所をすごく考えるんですよ。絶対に潰れない場所を選びたいんです。潰れちゃったら思い出せなくなるじゃないですか。それでベストな場所を思いついたんですけど、紹介していいですか?

──(mikako)教えてください。

冨岡 愛:答えは皇居のベンチです。皇居って絶対なくならないじゃないですか。

──(mikako)素晴らしい、絶対なくならないわ(笑)。女子のみんな、参考にして。新曲の「831」もラブソングですよね。


冨岡 愛:「831」って隠語でI LOVE YOUなんですよ。『ゴシップガール』でブレアがチャックに「I LOVE YOU」と伝える代わりに、「8letters,3words,1meaning」ってフレーズを言うんです。「8文字、3つの言葉、1つの意味」=I LOVE YOU。これすごいなと思ってこれで1曲作りたいと思った時、『愛’sCREAM』のアルバムの中にまっすぐな純愛というか「あなたのことが好きだよ」って伝えられるような楽曲が1曲あってもいいんじゃないかなって思って書き上げたのが「831」なんです。

──(mikako)真っすぐに目の前の人を思っている歌だなって思いましたけど、「こっちだけ見ててほしい」っていう絶妙に揺れている感じに、共感する女子は絶対多いなと思いました。「831」「愛’sCREAM」「デジャヴ」が未発表新曲となったわけですが、意識して作り上げた3曲になりますか?

冨岡 愛:アルバムをひとつの作品として見た時に、こういう感情の曲はあるな、曖昧な片思いの曲はここにある、あの可愛いカップルの曲はこれ、別れそうなカップルの曲はこの曲…となった時に、やきもちの感情だったり、元彼に対しての思いだったり、あまり人間的に綺麗じゃない感情を歌っているものとか自分に向けた楽曲みたいな、アルバムの中で足りていない感情を見つけて作り上げた3つの曲になるんです。その中で純愛が「831」ですね。

──(mikako)なるほど、この12曲全部で今の冨岡 愛の『愛’sCREAM』だということですね。

冨岡 愛:私自身、やっぱりまだまだ何も分かってなくて、歌の中では「永遠なんてあるのかな」とか「ないだろう」とか、愛とか恋とかいろんなことを言っちゃってますけど、ほんとにまだまだわからないことばっかりの中なんです。ただ、自分が感じてきた感情は全部本物だし、きっと聴いてくださっている方々が感じたものも全部リアルではあるので、自分の心の叫びをひとつひとつ音楽という形で昇華していく中で、皆さんの心の叫びもちゃんと聞こえてるよって言ってあげられるような音になってくれたら嬉しいなって思っています。

──(mikako)『愛’sCREAM』が完成したことで、曲作りに対する考え方や姿勢などに変化はありましたか?

冨岡 愛:楽曲作りという上では、ひとりで永遠と部屋にこもって絞り出して書くみたいことも、もちろん楽しいんですけど、例えば「beat up」や「831」などはスタジオに入ってプロデューサーさんとコライトという形でメロディーを探ったりもして、そういう違う作り方の楽しみも生まれました。「愛’sCREAM」ではピアノで初めて作ったことでギターの手癖がなくなったというだけで新たなメロディーが生まれたり。作詞に関しても、自分が歌いたかったものをより形にできたと思ったので、今後もその気持ちを大切に作詞はしていきたいなって思っています。

──(mikako)次の冨岡 愛がどんなステップを踏むのか楽しみですね。

冨岡 愛:「愛ってなんなんだろう」とか愛に対しての価値観だったり、それによって生まれてきた矛盾をすごく考えて曲にしたり、感じてきたものを音に変換していくことが私の音楽の永遠のテーマでもあるし、「まだわからないことばっかり」って言いましたけど、きっとこれは何歳になってもわからないんじゃないかなって思ってます。ただ、1年ごとに変わっていくものでもあると思うので、そういうものを絶妙に届けていけたらなって思うので、やっぱり次も愛のアルバムじゃないですかね(笑)。

──(mikako)キャリアを積んで、また新たに見える愛の形があるかもしれないですね。まずは最新の『愛’sCREAM』をチェックしてほしいですね。

冨岡 愛:2025年11月12日、冨岡 愛の1stアルバム『愛’sCREAM』が発売されました。是非たくさん聴いていただきたいです。よろしくお願いいたします。

インタビュー◎mikako(Nagie Lane)
文・編集◎烏丸哲也(BARKS)

<TOMIOKA AI LIVE TOUR 2026>

2026年5月9日(土)福岡 BEAT STATION
2026年5月16日(土)心斎橋 BIGCAT
2026年5月17日(日)名古屋 DIAMOND HALL
2026年6月6日(土)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
ファンクラブ先行予約:2025年11月13日(木)12:00~ 11月27日(木)23:59

『愛’sCREAM』

2025年11月12日(水)発売
通常盤 [CD] VICL-66102 / ¥3,300(税抜価格 ¥3,000)
VICTOR ONLINE STORE限定セット[CD+トートバッグ+特製フォトブック] ¥8,800(税込)
VICTOR ONLINE STORE 完全生産限定アナログ盤[クリアピンクカラーヴァイナル 仕様]¥5,000(税込)
購入:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VICL-66102.html
配信:https://tomiokaai.lnk.to/_aiscream
1.あなたは懐メロ
2.恋する惑星「アナタ」(Netflix シリーズ『恋愛バトルロワイヤル』挿入歌)
3.愛 need your love
4.delulu
5.アイワナ
6.デジャヴ
7.劣り
8.beat up(フジテレビ系TVアニメ「デジモンビートブレイク」エンディングテーマ)
9.MAYBE
10.831
11.愛’sCREAM
12.グッバイバイ
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