【ライブレポート】Nikoんはなぜ怒るのか? a flood of circleと共に守り抜いたロックバンドの矜持「死ぬ気であんたたちの人生を変えられるように頑張ります」

2026年1月13日(火)、東京・渋谷 CLUB QUATTROにてNikoんが自主企画<新春!謝罪会見>を開催した。
小林祐介とケンゴマツモト、Hedigan’sをゲストアクトに招いた2025年の第1回から丸1年。新年恒例のイベントとしての定着をも予感させた今回は、a flood of circleと共に、身に降りかかる理不尽へと噛みつきながらも、かけがえのない人たちを守り抜くロックバンドとしての風格を見せつける一夜となった。
◼︎a flood of circle

ただの1度も色を変えず、一瞬たりとも点滅しなかったライティング。それはa flood of circleの素材をダイレクトに物語っていた。
おもむろにステージへ現れた佐々木亮介(Vo, G)が、ただ独り歌い出す。0時過ぎのシャッター街に響くミュージックを喚起させる物哀しい質感を含んだ歌唱が、集まってきたメンバーたちによって色彩を付与されると「FUCK FOREVER」へ。《おはようクソくだらない世界》の1行からは、数カ月前この地で指をぶっ立てていたオオスカ(G, Vo)の様子が浮かんでくるのだけれど、ここで勘違いしてはならないのは、決して両者は斜に構えているわけではないこと。むしろ彼らは、汗をまき散らして歌い抜く佐々木の姿から読み取れる通り、何一つ切り捨てることなく、ほんのわずかでも愛せるエリアを探そうとしているし、ひたすらに性善説を信じているようにも思える。だからこそその分、些細なことで心を折られたり、見て見ぬふりで得られる平穏や名声に怒りをぶちまけたりするのではないか。


であるならば、「音楽はセイを取り込むために必要でしょう。じゃなきゃもうダメなんだよ」と披露した「キメラファンク(FLY! BABY! FLY!)」の翼をプレゼントする言葉たちは、くそったれかもしれない世界を自由自在に飛翔するためのものだったはず。性であれ、政であれ、正であれ、やさぐれと反抗の影に素直さが弾けるゆえに、a flood of circleは憎めやしないバンドなのだ。


《俺とよく似た野良犬が2匹いる》とアレンジを加えたリリックでNikoんへの共感を暗示した「月に吠える」や、フロアに乱入し、マイクを指揮棒代わりに振り回した「理由なき反抗(The Rebel Age)」で、荒れ放題の孤独感が決して君だけのものじゃないと告げれば、ピリオドには「白状」を。《湯船に浸かると浮かんでくるのは つまらん昨日の嫌なわたし》と、徒労感に苛まれる様子をカメラに収めた「fragile report」とも通底するような、《もう疲れたんだ》なんて独白を歪なキーボードに乗せるこの曲。両の手で握ったギターと眼前のマイクの重みと向き合い、最後に《これが生きる理由だ》というマニュフェストをぶち込む彼らの背中は、愛も夢もバンドもロックンロールも続いていくのだと信じさせてくれるロマンで満ち満ちていた。ロックバンドを貫き通す先輩から贈られたその宣言は、Nikoんを勇気づけるものだったに違いない。
◼︎Nikoん

ライブ終盤、オオスカは「最近、舐められていると感じた出来事があった」という旨を口にした上で「悲しかった」と言葉を継いだ。そこには怒りではなく、途方もない虚しさが鎮座していたのだけれど、そのMCを耳にして「なんて優しいバンドになったのだ」と、「人のために激怒できるバンドになったのだ」と思った。というのも、その悲しみは自身を軽視されたことに由来するものではなく、「ここにいる人間を、馬鹿にされた気がした」からだというのだ。

考えてみれば、こんな台詞が湧き出てくるのも、彼らがひたすらに“あなた”1人と向き合ってきたからだろう。にわかには信じがたいほどのライブ本数を重ね、CDを手渡し、オンラインだろうがオフラインだろうがあらゆる意見を受け止めてきたNikoんの活動は、ファンとバンドの結びつきという単純明快な、しかし最も重要な要素に変換されていたのである。それゆえ、リスペクトするオーディエンスを下に見られたとき、悲しくなるのは至極当然。右も左も分からないままに各所へアンチテーゼを突きつけるのではなく、大切な音楽や信頼や仲間を守るために矢面へ立てるバンドへと成長を遂げた2人は、「死ぬ気であんたたちの人生を変えられるように頑張ります」という断言を美辞麗句ではない本心として伝えられるようになったのだ。

こうした説得力の増幅やa flood of circleとも重なる反骨心は、開幕を飾った「とぅ〜ばっど」から滲みまくっていたもの。呪術的な不気味さを孕んだマナミオーガキ(B, Cho)の歌声とズシンと沈んだギターが発破をかけ合い、止揚へと発展していくスリリングな演奏も、「(^。^)// ハイ」に見られた夕方色のライティングと共に夏のひぐらしを連れてきたファルセットも、よりタフに、より開放的に変身しているよう。さらに、「こんにちは、Nikoんです。ハッ!」と一言で目を覚まさせる彼女の相貌には、既にフロントマンとしての責任が宿っている。テクニックもメンタリティも凄まじい成長速度だ。『fragile Report』の取材にて、「バンドの中心メンバーがいた上での自分というよりも、自分がいてのNikoんですっていう気持ちに変わっていった」と話してくれた変化は、もはや目に見える形としてのみならず、Nikoんのストロングポイントとして機能していく。

とはいえ、Nikoんはマナミだけが牽引するバンドではないわけで、コンクリートジャングルを彷彿とさせる冷たさが特徴的なオオスカの歌唱も健在。オオスカのボーカルに軸を置いた1stアルバム『public melodies』も、マナミが全編で歌唱を担った2ndアルバム『fragile Report』も定着した今、彼らは2人の歌唱にもフォーカスしているようで、上行系のリフが開放感を演出する新曲「Tokey-Dokey」や「親愛なる隣人に捧げます」と届けたa flood of circleの楽曲「I’M FREE」のカバーからは、両者の掛け合いによる手札の増加がハッキリと感じられた。

冒頭に記したMCを経て、クライマックスへとアクセルを踏み込んだ1曲は「nai-わ」。ここでMCの流れよろしくオオスカが歌い出すのではなく、彼の感情を汲んだ上でマナミが鬱憤をぶちまけたポイントに現在のNikoんの関係性が反映されていたのではないだろうか。時にずっこけようが、どれほど不器用だろうが、2人は悲喜交々を分かち合い、1人の感傷をNikoんの、そしてフロアに集う各々の、ささくれた思いへ拡張できるようになったのである。

この日発表された通り、Nikoんの次なる目標地は、3月21日(土)に東京・渋谷O-EASTにて開催される2ndワンマンライブ。『fragile Report』の購入者を無料でライブハウスへ招待したツアー<アウトストアで47>、各エリアの集大成と銘打たれた<Re:TOUR>、そして<fragile Report RELEASE TOUR>の3つのツアーが1つに結ばれるこの日まで、彼らはまだまだドサ回りを続け、挨拶を交わし続けていく。なお、YouTubeでは、この日のNikoんのステージが全編公開中。彼らはまだ見ぬあなたの存在と肉声を、その扉を開け放って待っているようだ。
文◎横堀つばさ
写真◎雨宮透貴
◾️<fragile Report RELEASE TOUR>


・2026年2月22日(日) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK
w/ FINLANDS、神々のゴライコーズ
・2026年2月23日(月•祝) 宮城/仙台 enn 2nd
w/ ポップしなないで、神々のゴライコーズ
・2026年2月28日(土) 広島 ALMIGHTY
w/ LIGHTERS、神々のゴライコーズ
・2026年3月01日(日) 香川/高松 TOONICE
w/ BUGY CRAXONE、神々のゴライコーズ
・2026年3月07日(土) 北海道/札幌 SPiCE
w/ iVy、神々のゴライコーズ
・2026年3月11日(水) 愛知/名古屋 CLUB UPSET
w/ 板歯目、神々のゴライコーズ
・2026年3月13日(金) 福岡 Queblick
w/ Etranger、神々のゴライコーズ
・2026年3月15日(日) 鹿児島 SR HALL
w/ チリヌルヲワカ、神々のゴライコーズ
・2026年3月20日(金•祝) 大阪/心斎橋 ANIMA
w/ レイラ、MIGHTY HOPE、神々のゴライコーズ
・2026年3月21日(土) 東京/渋谷 Spotify O-EAST(ワンマン)
前売り:¥3,500(ファイナル東京・ワンマンのみ:¥2,500)
イープラス:https://eplus.jp/nikon/
ぴあ:https://w.pia.jp/t/nikon-retour/
ローソン:https://l-tike.com/niko-n/
◾️リリース情報
・2ndアルバム『fragile Report』
・1stアルバム『public melodies(メジャー盤)』
2025年9月24日(水)リリース(いずれも、CD ONLY)
価格:2,750円(税込)
各EC販売:https://nikon.lnk.to/fragile_report


※2nd Album「fragile Report」は、前代未聞の初回限定封入特典「47都道府県ツアー招待券」付き
▼特設サイト「バンドって、なあに?」
https://fragilereport47.jp/
8/27の渋谷クアトロ公演会場とHOLIDAY! RECORDS限定で実施した「限定予約会」の特典CD(アルバム全曲を先行試聴できる白盤)を入手した方々から届いた『熱血レビュー』を批判も含め全文掲載中
■<「fragile Report」購入者特典LIVEツアー「アウトストアで47」>
※インフォ&申し込み:https://fragilereport47.jp/
【九州シリーズ】
・2026年1月25日(日)長崎県 / 長崎 STUDIO DO!
・2026年1月26日(月)佐賀県 / 佐賀 RIDE
・2026年1月28日(水)福岡県 / 福岡 public space 四次元
・2026年1月29日(木)熊本県 / 熊本 NAVARO
・2026年1月30日(金)大分県 / 大分 AT HALL
・2026年1月31日(土)宮崎県 / 宮崎 LAZARUS
・2026年2月1日(日)鹿児島県 / 鹿児島 WORD UP STUDIO
【東京ファイナル & 沖縄】
・2026年2月15日(日)東京都 / 渋谷 WWW
・2026年2月20日(金)沖縄県 / 那覇 AZAT FANFARE
※ 各会場、定員に達し次第〆切 / 先着申し込み順
※ 申込方法などの詳細は、CDの封入チラシに記載
関連リンク
◆Nikoん オフィシャルX






