【速レポ】<CROSS ROAD Fest>、2日間の大トリはLa’cryma Christi「最高のフェスティバルになったね」

1990年代から2000年代にかけてのヴィジュアル系を牽引したバンド達の、奇跡の復活劇を生み出した<CROSS ROAD Fest>。その中でも、あの時代を象徴する崇高な存在として君臨していたLa’cryma Christiが、このフェスへの出演を告げたときは、Xのトレンド1位を獲得するほど世の中に大きな激震が走った。当時を知っている人、さらには解散後に彼らの存在を知った人たち、誰もが“もう一度ステージへ”と願ったLa’cryma Christiが12年ぶり、亡きメンバーKOJIの魂とともに、幕張へ降臨。
紗幕が下りたまま、本編では演奏予定のない「Blossom」を演奏し、サウンドチェックからファンを驚愕させる。その後、ライブはいよいよ本番へ。荘厳なSEが流れると、SHUSE(B)はKOJI(G)のギターを持ってステージに現れ、客席に向けてギターを掲げ、上手にアンプの上にセット。この瞬間、天空からKOJIもきっとステージに舞い降りたに違いない。小柄な体型からは想像もつかないプレイでラクリマサウンドを支えるLEVIN(Dr)は、FANTASTIC◇CIRCUSのサポートに続いて、2回目のステージとなる。

そのLEVINのカウントから、TAKA(Vo)が当時と変わらない透き通るようなエレガントなハイトーンヴォイスを放つと、ライブはKOJI作曲の「未来航路」で幕開け。SHUSEは冒頭からベースを持って当時のようにジャンプをしたり回転して、ド派手なパフォーマンスを繰り広げる。LEVINはおなじみのスティック回しを見せ、HIRO(Gt)とともに、この日はKOJIとも交流があったサポートメンバーのSHINOBU(Gt)が、彼らのツインギターサウンドを再現していく。ラクリマにこんな未来があったのかと、客席にはすでに感動の笑顔と涙に包まれる。
そうして、HIROのギターフレーズに導かれ「Warm Snow」からはいよいよあのラクリマワールドが全開に。ミドルテンポで重厚なサウンドに幻想的な雰囲気が重なり、どこか寓話的な物語をTAKAが歌で描き、HIROとSHUSEはファンタジックなコーラスを響かせる。このコーラスワークも彼らの魅力なのだ。


「ただいま幕張。みんな待ってた? 心の奥底から待ってた? そのわりにはラクリマのTAKAを呼ぶ声が小さいな」──TAKA
TAKAが鉄板の挨拶を入れて、待っていてくれたファンを喜ばせる。そして「この大きな大きな幕張メッセ、あの小さな一点から懐かしい風が吹いてきました」と伝え、場内が真っ赤な照明に染まり、始まったのは「偏西風」だった。楽器隊が変拍子によるオリエンタルな風を巻き起こすと、オーディエンスの手も左右に柔らかく揺れ、TAKAがロングトーンを放つ。HIROのギターでさらに熱を持った風をドラマティックに巻き起こしてみせる。


「Forest」では神秘的な森の中へと誘う。長らくバンドの代表曲として君臨したこの曲は、中盤から雰囲気がガラッと変貌。そこから観客を神秘的な迷路へ迷い込ませていった。卓越した歌の表現力、絶妙に絡み合うアンサンブル、複雑な構成で展開していく創造性の高い楽曲で、誰も見たことがない風景や絵画的な音像をドラマチックなサウンドで描き出す。
ラクリマ飛躍のきっかけとなった「With-you」では、パッフェルベルの「カノン」の旋律を盛り込んだフレーズをHIROが弾くと、LEVINが笑顔とともにマーチングドラムを高らかに鳴らす。サビでポップなメロディーにのせて“もう君なしじゃ生きられない”とTAKAが歌うと、客席には笑顔が溢れ、場内いっぱいに多幸感が広がった。

「サンキュー幕張。こんな素敵なメンバーと一緒にライブができて、とっても嬉しいです。背中を押してくれたのは、数年前に亡くなったKOJIです」と観客に語りかけたTAKAは、このあと、KOJIが夢の中に3回も出てきて「身体を持ってるんだったら歌って、みんなを喜ばせてあげて」と言われ、それがきっかけとなって、いまステージに立っていることを打ち明けた。
メンバー紹介に続いて、「このステージに立ってる6人と、集った全員でLa‘cryma Crisiです。オーライ、盛大に月まで行こう!」と言い放つと、LEVINのドラムからドライヴ感に満ちた爽快なロックチューン「月の瞼」がスタート。TAKAはヴァースの “YOKOHAMA”を当時と同じように、ご当地の地名“MAKUHARI”に変えて歌唱。LEVINの前に自然とメンバーが集まり、その中央でHIROがソロを奏でると場内は最高潮の盛り上がりに包まれた。


「サンキュー幕張。まだいけるのかい?」とTAKAが煽り、そこにさらなるポップチューン「THE SCENT」を投下。ゴールドのカラーテープが客席の前後から放たれて舞い降り、幕張はいっそうゴージャスにきらめきだす。TAKAがジャケットを脱ぎ捨て、SHUSEがこの曲でおなじみのトーキングモジュレーターを使って会場を沸かせ、最後は会場全体を照明が照らし、オーディエンスが溢れんばかりの笑顔に包まれたところで、ライブは終了した。
奇跡の復活劇を観た観客たちからは、すぐにアンコールを求める声が上がり、それに応えて5人が再びステージに登場。TAKAの提案で「KOJI」の名前を観客たちが叫びながらウェーブをバッチリ決めてみせると「よかったね、KOJI」といいながら、TAKAが「嬉しくなった」といってサングラスを外し、これには観客が絶叫。そして、最後にオーディエンスの体と心をさらに温めるよう「南国」をパフォーマンスした。楽器隊がエンディングを奏でる間、再び観客が一丸となってウェーブを繰り出し、メンバー全員がセンターに集結したところでライブはフィニッシュ。

「集ってくれてどうもありがとう。最高のフェスティバルになったね。みんなの魂、喜んでる? じゃあ隣の人と手を繋いでみて。3・2・1、GO!で手を上げるよ」とTAKA。観客とメンバー全員(LEVINはKOJIのギターを持って)が繋いだ手を高く上げて、La’cryma Christiは2日間のヘッドライナーのステージを大団円で終えた。
「またワンマンライヴで会おうね」という言葉を残して、ステージから姿を消して彼らは、このあと年末から2026年にわたり、各地でワンマンライブを開催していく。
取材・文◎東條祥恵
撮影◎緒車寿一/今元秀明
■セットリスト
1. 未来航路
2. Warm Snow
3. 偏西風
4. Forest
5. With-you
6. 月の瞼
7. THE SCENT
encore
8. 南国
■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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