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──まずは、タイトル曲「Crusin’」について。これはどんな感じの曲?
「キャッチ-で聴きやすいものかなって。この前の1stアルバム『THE INFLUENCE』が夜型の曲が多かったから、今回は昼下がりから夕方に似合うものを作ったつもり」
──これは、最近のUSヒップホップの流れを意識した、クールなグルーヴのトラックだね。
「これは1stアルバムにもトラックを提供してくれているBLが作ってくれたもの。彼にメロウでライトな感じを出してほしいというリクエストをして、出来上がったものを聴いたらヤベぇ~、ってなった」
──特にオープニングの口笛がイイよね。まるでハードボイルド映画みたいな感じで。
「そう。すげぇヤバいよね! みんなに言われる」
──そんなハードボイルドなオープニングなんだけど、途中から夏っぽい開放感がたっぷりで、思わずどこかに出かけたくなる気分になる。このリリック、スフィア自身がドカッと休みを取りたいっていう願望からきたものでは?
「確かに。俺がエスケープしたくって、それが反映されたっていう話(笑)。とにかく煮詰まってたんだ。休みつくんないと、どうにかなりそうって状態で作ったよ。そんな状況だったのにも関わらず、すげぇポジティヴな仕上がりになったよね」
──また、この曲にはJAMOSAというヴォーカリストをフィーチャ-してるけど?
「彼女は今、インディーズ・シーンで活躍しているんだ。初めて知ったのがクラブでのパーティでさ。彼女、20歳なんだけど、すっげー筋が通っていて。“私はこれしか歌わない!”っていうソウルがビシビシ伝わってくるんだ。さらに話してみると俺と同様、海外でいろんな経験をしているから、共感できる部分も多くって。一緒に曲作ろうよ、ってことになった。やってみて間違いなかったね」
──確かに。2人の持つヴァイヴがピッタリ合っているのが分かる1曲だね。そんな「Crusin’」のカップリング曲「Dancin’ Queenz」は一転、シタールとかインド楽器を用いた、オリエンタルな雰囲気だね。
「HIROSHIMAが作ってくれたトラックのなかで、一番インパクトがあったのがこれ。キックがすごく好きで、まさにオリエンタルって感じ。だからフックもインド調にしよう、さらにはコーラスもインドにすべきだろ(!?)ってことでAIを呼んで「お前、インド人だ。インド人を意識してコーラスやれ」って参加してもらった。彼女はインド人になりきってコーラス入れてくれてね。とにかく楽しかったよ」
──そんなヴァラエティに富んだシングルを聴いて、ますます2ndアルバムが楽しみになった。
「既に半分以上は完成しているんだ。いろんなフレーヴァが入っているよ。前作と違うところは、ドラッグの話だったり、お金の話、戦争のことだったり社会的、ポリティックなことを伝えているトラックもあるし、マイクリレーものもあったり。いろいろあるよ。楽しみにしてほしいね」
──さて、話は変わって。先日、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPANでRUN-D.M.C.のDMCと共演してたけど、どうだった?
「最初はすげぇ緊張して。何話していいのかわかんなかった。で、勇気出して話し掛けたらいい人で、ダチみてぇな感覚で接してくれたんだ。そしたら、向こうから“曲をガンガン作ろう、一緒にいろんなコトやろうぜ”って言ってくれたのがスゲェ嬉しかった」
──その経験はスフィアにどうフィード・バックされた?
「あそこでDMCと共演できたことで、一区切りついた気がするね。また新しいことをやりたい意欲が生まれたよ」
──では。これからどんなことをやっていきたい?
「これからはレイドバックだな。今までは目立ちたがりスフィアだったけど、これからは落ち着いた大人な部分を出せればカッコいいなって」
取材・文●松永尚久
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