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LuckyFes
多くの作品を重ねていく過程で辿り着いた“素の強さ”=『ITSELF』
2003.05.07 00:00
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多くの作品を重ねていく過程で辿り着いた“素の強さ”=『ITSELF』
収録曲「ROWPOWER」「破壊と創造」「SHARPEN’S YOU UP」についての話で、さらにマイカデリックの奥深くまで迫ってます!
「僕らも商品になって初めて知ったんですよ。デザイナーのモックロックがアルバムを聴いた感想として、このフレーズを載せたいと思ったらしいんです。まあ、誤解されやすいですからね、僕ら。文章にすると楽なことってあるじゃないですか、“ああ、マイカデリックね”って片付けられることが多かったかなと思って。結成当初から“暑苦しい奴らね”とか、そういう枠に入れられてきた、苦渋の歴史に対する反抗声明です。ジャケットにしても、今まで敢えて情報過多にしてきたんだけど、ウチら的なイメージとしても簡単にいこうよっていうのがあって。『Itself』っていうタイトルにしても、アルバムが出来ていく中で、何となくシンプルにしようって言ってたよね。特に変な先入観無しに、ポンと音から楽しんで欲しいなって」(ダースレイダー)
真田人のコメントにもある通り、確かに『Itself』からは予めの着地点を想定して制作されていったような感触は極めて稀薄であり、衝動に任せて作られていった曲を単に一枚のアルバムとしてまとめ上げたような、そんな生々しい手応えが濃厚だ。ビートのヴァリエーションの多さはその裏付けにもなるだろうし、その様はあたかも、彼らがヒップホップの自由度の高さに改めて驚き興奮し、喜びを感じているようでもある。
これまでマイカデリックが“変態ラップ”をやってきたのだとしても、今回のアルバムで彼らが"変態ラップ"をやめたという印象を受けることはない。が、それでもアルバムの随所からは、どこかすっきりとしたニュアンスを聴き取ることができる。
「別に“変態ラップ”をやめてはいないと思うんですけど……なんていうのかな、プレゼンの仕方が変わったんですね、多分。ここはこれくらいのパワーでやった方が逆にちゃんと言ってることが聴こえるとか、ここは少し言葉を抜いた方が面白く言えるみたいなのが身に付いてきたというか。だから、意識してすっきりさせようと思ったのではなくて、体が覚えてきたなみたいな。元々計算して音を組み立てるタイプではないし。俺個人に関して言えば、常々ファンキーなものを作りたいというのがあって、その結果、最初の頃作ってたのは、細々と再発されてるようなマイアミのファンク・バンドみたいな、ゴチャゴチャしたやつだったんですよ。それはそれで好きなんですけど、今回はオハイオ・プレイヤーズも入れてみましたって感じですかね」(ダースレイダー)
『ITSELF』 Happy House 2003年04月23日発売 VICL-61107 2,730(tax in)
1 ハイパーヘビー級 2 アン ドウ トワ 3 激空間プロラップ 4 52年度通信カーリング部同窓会 feat. アルファ 5 マハラジャ 6 BBQ feat.Q, 人間太鼓腹, HEAVY-Q a.k.a. DJ PLATINA 7 SHARPEN’S YOU UP 8 地球最後の日 9 しゃくなげスタイル 10 RAWPOWER 11 BRUSQUE BLUES 12 Z斬 feat. HUNGER 13 月夜の晩に君さえいれば・・・ 14 破壊と創造 15 M&M feat.MANKIND MARKER
「今回は“こう見せてやれ!”みたいな、そういう下心が無いのかもしれない。例えば、初めてのデートの時とかって“俺はこういう男だぜ!”みたいなのを見せようとするじゃないですか、俺はこういう人だって。そういうの無しに、いつもの状態ででかけた感じ。"こういう自分たちに見られたい!"みたいなのを、音にしてもライヴにしてもあまり狙わないみたいな……まさに『Itself』な感じなんです」(ダースレイダー)
取材・文●高橋芳朗
フレッシュな世代のヒップホップ・イベント<FUNKY FIESTA VOL.3>