要注目! へヴィロック・シーンの次代を担う新世代バンド 

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要注目! へヴィロック・シーンの次代を担う新世代バンド 

2000年に発表されたデビュー作『Gift』で一躍、ヘヴィロック・シーンの新世代バンドとして注目を受けたタップルート。彼らが2ndアルバム『Welcome』をリリースし、2月に来日公演を果たした。ヘヴィロックをポップやエレクトロニカなどさまざまなサウンドに織りまぜて聴かせる彼ら。2ndは、その変幻自在なサウンドに磨きをかけたのはもちろん、バンドの核心的な部分も伝わってくる骨太でいて繊細な渾身作だ。そんなアルバムについて、またバンドについてジャロット(Dr)とフィリップ(B)に話を訊いた。

取材/文●松永尚久

「タップルートのクールな所は、どんな音をやっても別に変にならないコト」 

2ndtアルバム

Welcome
ワーナーミュージック・ジャパン 2002年11月07日発売
AMCY-10057 2,079(tax in)

1 Mine
2 Poem
3 Everything
4 Art
5 Myself
6 When
7 Fault
8 Sumtimes
9 Breathe
10 Like
11 Dreams
12 Time
13 Free
14 Tranceparent




ジャロッド&フィリップ
ビデオ・インタヴュー
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──まず、2ndアルバムとなる『Welcome』はどんな内容のアルバムなの?

ジャロッド:作り始めた頃はコンセプトらしいものはなかったんだ。何もないところから曲を作っていこうとと思ってね。『ギフト』をリリースして、ツアーなどで世界をあちこち見て、音楽もたくさん聴いて、いろんな経験を積んだ。その経験のなかで得たものをありのまま表現したのさ。

──『Welcome』のなかでお気に入りの曲は?

フィリップ:俺が特に気に入っているのは「ブリーズ」。なぜなら、今まで使ったことのなかったフレットレス・ベースを初めて使用した曲で、なんか“俺の曲”って感じがするから。演奏してて……イェーって感じなんだ。

ジャロッド:俺は「マイセルフ」が最高だね。俺がこの曲のパートを録り終わった頃はまだ歌詞がついてなくて、数カ月後まで完成したものを聴く機会がなかったんだ。で、完成したものを聴くと“まさに必要なものが加わった!”って感じでさ。“ウワーッ”っていうコーラスとか、真ん中のパートの聖歌隊みたいなメロウな雰囲気とか。とにかく良い曲だよ。

──さて、4人とも個性的なキャラクターですが、メンバーのことを教えてください。例えばココが長所、短所みたいな……。


ジャロッド(Dr)
2人:爆笑

ジャロッド:フィリップに長所なんかないよ。冗談だけどね(笑)。俺とフィルは昔からの友達同士なんだけど、フィルは一緒に遊ぶのには最高の人間さ。一緒にいるのも楽しいし、笑わせてくれるし、俺を笑わせようと一生懸命シャレを考えてくれるし。で、欠点は……まず、普通に午後3時くらいまで寝ていること。だから、例えば一緒にメシを食おうとか何かしようと思っても、朝10時には起きる俺はヤツが起きるまで待ってなきゃいけないんだ(笑)。で、他に誰がいたっけ?

フィリップ:マイク(G)は出かけるのがあんまり好きじゃないヤツ。何もせずにじっとしていたり、部屋でコンピューターの前に座っているのが好きだね。

ジャロッド:ヤツはバンドのクリエイティヴな面を担っているよ。曲も作るしね。常にバンドのことを気にかけてる。ヤツにとってバンドが人生の全てなんだ。とてもアーティスティックな人間だよ。
スティーヴン(Vo/G)は、独特だね。ヤツと議論になったらもう大変。絶対自分の意見を曲げない。頑固なんだよね。その反面、ユーモアのセンスもあって。俺を笑わすツボをよく分かっているよ。

フィリップ:ジャロッドは、とにかく喋りすぎ。写真を見ると結構おっかなくて恐い人のようだけど、ヤツの笑い声を聞くと、みんな打ち解けるね。一緒にいるのが楽しいよ。唯一の短所は……怒ってる時かな。怒りに火がつくと何時間も怒ったままで手がつけられないから、放っておくしかないんだ(笑)。

──さまざまなキャラクターの4人だけど、今後、どんなサウンドを作っていきたい?

ジャロッド:タップルートのクールな所は、どんな音をやっても別に変にならないコト。 例えばメロウな曲もいっぱいあるから、レディオヘッドみたいな音をやっても変じゃないし、よりスローでデスメタルっぽい曲をやっても、クレイジーと思われないんだ。あらゆる音楽ジャンルを取り込むように心がけているからね。言葉にするのは難しいけど、『Welcome』で俺達はあらゆる境界線を取っ払おうとしたんだ。その意思は達成できてると思う。次も同じような方法でいくと思うよ。


フィリップ(B)
フィリップ:実は『Welcome』の制作前、30曲くらい持ってスタジオに入ったんだ。だけど、結局そこからの曲はほとんど使わなかった。スタジオで1から作ったものがアルバムになったんだ。それだったら今、曲を作るよりは、自分達の求めているものにじっくり集中できるときに作ったほうがいいと思う。次も同じ方法を試して、どうなるか見てみたいね。

──タップルートを知らない人に、タップルートはどんなバンド? と訊かれたら、どう答えます?

ジャロッド:う~ん。難しい質問だね。例えば、俺達のやってる音楽についての知識が全くない、誰かのパパやママに説明する場合を想定するなら、基本はヘヴィなんだけど、聞いたら頭から離れないような良いメロディも沢山あるし、聴き込める音楽ってところかな。歌詞もポジティヴで、内省的で、スティーヴンが彼の人生において経験したことにどう取り組み、どう乗り越え、そしてポジティヴな解決を見出したかについての曲もある。そこが音楽的にクールな部分だね。あともう1つ俺がよく使うのは、エモーショナルで知的ってことかな。なぜなら、聴く人の予想もつかない曲にしようと一生懸命努力しているから。常に流れるような展開になるように心がけつつ、面白味を出すためにちょっとしたヒネリを入れるようにしているよ。


ブレイク寸前の要注目バンドを紹介するイベント「ニュー・ブラッド」の第3弾として、グッド・シャーロットダットサンズに続いての登場となった彼ら。アーティスト写真を見ると、その容姿からちょっと華奢なイメージが浮かぶが、とんでもない。Voのスティーヴンはかなり骨太なヤツで、吠えまくり暴れまくりのパフォーマンス。しまいには客席に乱入、売店でビールを頂戴し、それをスタッフに手渡すというお茶目ぶりを発揮するなど、オーディエンスを盛り上げる方法を体得しているようだ。その一方で、マイクはクールにギターをかき鳴らし、フィリップはライヴが楽しくてしょうがないって様子。ジャロットは複雑なリズムも難なく叩き出すなかなかのテクニシャン。と、ステージ上の4人はさまざまなのだが、プレイするサウンドは不思議と息があっていて、彼らが繋がっているロックという名の鎖は、かなり強固とみた。緩めるところはユルく、締めるところはガッチリと、鎖を絶妙に調整しあっているからこそ、彼らにはエモーショナルで知的なサウンドが作れるのだろう。

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