恋愛観も見え隠れした自然派ソングライターのインタビュー

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長谷川都の歌は“湧き水”のように切なく温かい。
動物の咽喉を潤しつつ、土に戻り植物を育む―
彼女の歌にはそれに似た“癒し愛”が満ち溢れている。
「動物と草むしりと食べることが好き」という24歳のソングライターは、
言葉をひとつひとつ紡ぐように、恋愛のこと、人生のこと、音楽のこと、
そして最新アルバム『折々』について語ってくれた。


「曲のカケラが今いっぱいある状態なんです」

最新アルバム

『折々

ポリスター/プライエイド・レコーズ

2002年8月28日発売
PSCR-6064 3,000(tax in)

1 はなうた~明日が思い出になるまえに~

2 すてきなふたり
3 この街のどこかに
4 わたしはおんなのこ
5 風の音がきこえたら
6 道
7 あしたのゆめ
8 愛のかたち
9 大事なのは強く思うこと
10 ほんとうの恋のお話



都ちゃんからメッセージが到着♪
下記の写真をクリック!


☆☆☆ライヴ情報☆☆☆

インストア・ライヴ
2002.09.07(sat) start 14:00
@新星堂横浜ランドマークプラザ店


".ミュージックシティ天神 アコギ de SHOW2"
2002年9月29日(日)
15:30開場 16:00開演
@福岡 DRUM Be-1
出演:
長谷川都、柴田淳我那覇美奈
アナム&マキ、森山直太朗
問い合わせ:
キョードー西日本 TEL:092-714-0159

☆☆オフィシャルホームページ☆☆

Miyako Hasegawa
http://www.smile-co.co.jp/miyako/


――最新アルバム『折々』の中へ収録した楽曲って、都さんの心の揺れがリアル に伝わってくる歌ばかりじゃないですか?

長谷川都(以下、長谷川):
私、いろんな事件が起こったり何かを感じたりしたときの発散場所として音楽を使ってるぶん、気持ちの揺れってそのまんま歌の中へ表しちゃいますね(笑)。

――都さんって、小さい頃から気持ちを歌へとぶつけてた人だったのですか?

長谷川:
楽曲を作り始めたのは高校生になってからなんですけど。小学生の頃は、何かしら思ったことがあったら日記に書いて たし。同じよう中学生の後半頃からは、 気持ちの揺れを詩にはしてました。

――何故、書き留めるという手段を取り始めたのですか?

長谷川:
その時にいろいろ思ったことを、“あんとき何を思ったんだっけ~”と思い返せないのって悲しいじゃないですか。だ から書き残してた。じつはこの間、引っ越しをしたんですけど、ちょうど昔の日記や詩が出てきて。それを読んでたら、“あの頃はこんなちっぽけなことで悩んでたのか~”と思えちゃったけど(笑)。


――でも、そうやって気持ちを発散させる場所があるって良くないですか?

長谷川:
うん、(創作を通し)自分を救ってるところはある。とくに歌を作り始めてからは、 だいぶ心のバランスが取れるようにもなってきた。

――『折々』の中へ収録した楽曲って、 幾つのときの歌が多いのですか?

長谷川:
18歳から20~21歳頃に作った作品ばかりを集めてる。確かに今、振り返れば、 “もうチョット違う言い方があったろう” と思うことがあるんですけど。でも、その頃の自分の気持ちを凄く大事にしたくって、あえてその辺を詰め込んだんです

――その年代って、チョットしたきっかけで凄く気持ちに変化が出る頃ですよね。

長谷川:
そう! 自分でも“あの頃って感覚がとんがってたな~”と思う。だって、18歳の頃の自分の気持ちがお味噌汁の色だったとしたら。20歳の時の気持ちは、ドロドロに煮込みまくったビーフシチューくらい濃くなってたもん(笑)

――それだけ“濃い恋の経験”をしてきた?

長谷川:
波瀾万丈な(笑)。けっこう順風満帆な時期があまり無くって。かならず何時も何か(傷つく事柄)がある…なんか、 今までそういう風に歩いてきてます

――けど『折々』に入ってる「はなうた」や「すてきなふたり」とかは、とても幸せな歌ですね。

長谷川:
この2曲は“今はすごいしあわせ”って歌だけど。“すっごい楽しい”とか“すっごくしあわせ”って思える気持ちって、 “すっごくつらい”とか“すっごい苦しい”と思ったことのある人ほど際立って感じれる気がしてて…。なんか“しあわせな裏には、切なさや悲しさがいつも表裏一体でいる”ようなっていうか…。

――それを知ってるからこそ、いろんな深い想いも出てくると。

長谷川:
いつも満たされたり、しあわせが続いてると、その(しあわせな)感覚が麻痺しちゃうでしょ。たとえばスイカやお汁粉にお塩を入れると甘味が増すのと同じよう、苦しさや悲しみって、しあわせを感じれるためのスパイスのような気がしてる。

――たとえば最近の気持ちを綴った楽曲を収録しようとは、今回思わなかったですか?

長谷川:
アルバムの最後に入ってる「ほんとうの恋のお話」は23歳の時に作った歌なんですけど。なんか作った当時って、(題 材の)渦中にいるぶん、まだ自分の歌と して消化しきれてなかった。だからこそ、 時間が経った今の方が客観的に捉えられ るというか。今の私自身とも重ね合わせて歌えるぶん、より“自分の歌”になってる実感を覚えてるんですよ。 もちろんライヴでは、最近作った楽曲も 歌うし。このアルバムにしても、最初は 新しい楽曲も収録しようと思ってたん だけど。でも、“あの頃の気持ちも凄く 大切にしてあげたい”。それこそ1曲ご とに怨念が籠もってるぶん(笑)、一度 作品として昇華し、その当時の気持ちへ 決着をつけようと…。それを演った後に 新曲を形にしても遅くはないかなって。

――今でも“気持ちが揺れる”たびに、 新曲がどんどん生まれてきてますか?

長谷川:
“どんどん”じゃなく、“どん”くらいですけど(笑)。今でも気持ちが揺れ動くたびに楽曲のカケラ達がいっぱい生まれてきてるので、そろそろその結晶たちをひとつの想いにしなきゃって感じです。

――そんな都さんにとって、この『折々』はどんな意味を持った作品になりましたか?

長谷川:
がむしゃら感は凄くあるけど、“その気持ちは今でも間違ってないな~”と思ったり。楽曲を飛ばすことなく全部聴けるアルバムにもなったし。自分の歴史を 改めて感じれる作品にもなってるし…。 正直に作ったばかりの頃は“とても聞けない”し、“とても唄えない”し、“いい歌とも思えない”自分がいたんだけど。 時間を経過した今だからこそ、“この歌凄くいいじゃん!”と思えたり。そうい う熟成期間があったおかげで、凄く良い楽曲やアルバムになりました

――それこそ煮込みまくった…。

長谷川:
そう。煮込んだおかげで味が染み通った ビーフシチューな感じのアルバムです。

取材・文●長澤智典

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