ザ・フー、メンバーの死を乗り越えて北米ツアーをスタート。初日ライヴレビュー:1

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「今夜はJohn Entwistleのためにプレイしたい」。7月1日(月)、ロサンゼルスのHollywood Bowlで行なわれたThe Whoの北米ツアー初日の夜、ヴォーカルのRoger Daltreyはそう語った。

先週の6月27日(木)、ラスヴェガスでバンドの結成メンバーのEntwistleが睡眠中に亡くなり、ファンとメディアはDaltreyとシンガー/ギタリストのPete Townshendがどのようなパフォーマンスを行なうのか注目していた。

数週間前に行なわれたバンドのリハーサル風景を映したビデオが終わると、最初の曲が始まる前に1万8000人以上のオーディエンスがスタンディング・オベーションでバンドを迎えた。その後、新ベーシストのPino Palladino の名前が紹介されると、オーディエンスは暖かく彼を受け入れた。

バンドが「I Can't Explain」「Substitute」「Anyway, Anyhow, Anywhere」といった'60年代初期のシングルでオープニングを飾った後、DaltreyがEntwistleについて触れ、「彼こそ真のロックンロール・スピリットだった。彼は俺たちがプレイする音楽の中に生き続けている」と語った。そして、バンドは猛烈な勢いでシグネチャー・ソングのひとつである「Who Are You?」をプレイした。

DaltreyとTownshendの2人は黒い衣装に身を包み、Daltreyはジーンズとボタンアップのシャツ、TownshendはブラックパンツにTシャツを着て、最初の数曲はサングラスをかけていた。また、Palladinoも黒の衣装で、かつてのEntwistleのようにステージサイドでストイックにじっと立っていた。ツアーバンドのメンバーは他に、Ringo Starrの息子でドラマーのZak Starkey、Whoの長年の仲間でキーボーディストのJohn 「Rabbit「 Bundrick、Townshendのいちばん下の弟でアコースティックギター/ハーモニー・ヴォーカルのSimon Townshend。

この2時間のコンサートで、TownshendとDaltreyはおそらく、これまでになく互いに信頼しあい、自信に満ちた力強いパフォーマンスを行なった。Daltreyはマイクのコードを投げ縄のように振り回し、放り投げてはキャッチするという数十年来のアクションを見せ、Townshendはいつになく叩き切るような強烈なギターを披露し、躍動感とともに胸を締めつけるエモーショナルなソロを展開した。

Townshendは「何年も俺たちについてきてくれたファンにとって、これはとても辛いことだろう。それは分かっている。大したことないと自分を偽るのはやめよう」と語った。また、その一方で、ところどころで昔ながらの軽いノリも見せた。彼はHollywood Bowlの球状の音響面と、うねりながらカーブしている内壁を見上げ、「子宮みたいだ。白いヴァギナに、精巣工場だな」とジョークをとばした。(2へ続く

Darryl Morden, Los Angeles (C)LAUNCH.com
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