【音楽と映画の密接な関係 2002 春休み Special!】選りすぐりの映画を大紹介!
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音楽と映像の密接な関係・2002年春休みSpecial 花粉症もふっとばせ~ってな、春休み特集。でも、犬やネコも花粉症になるらしい…。 で、2002年春は、オリンピックとワールドカップの間に挟まれたブレイク・ポイント。 この間に映画でも観ておきましょ。 |
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』 |
●2/23より、シネマライズ他全国順次公開
| 派手な衣装をまとい、身を削って歌うロックシンガー、ヘドウィグ。もうこのヴィジュアルだけでインパクト大で目が離せない! ドラァグクイーン風なルックスのイメージどおり、情に厚くて純粋な彼…というか彼女。そう、共産主義時代の東ドイツから自由の国アメリカへ渡る手段として、見初められた男と結婚して性転換を試みるのだけど、その手術が失敗して“アングリーインチ”が残ってしまっている、という人物のお話だ。 主人公ヘドウィグの人生経験はこの上なく特殊だけど、情感は痛いほど伝わる作品。彼女が激しく歌い、熱くシャウトしても、なぜか切なくて痛い。そんな手触りを感じさせる映画だ。 この話はもともと'94年からオフ・ブロードウェイで上演され、回を重ねるたびに大きな会場へと移動するという人気舞台で、マドンナやデヴィッド・ボウイも大感激したというロック・ミュージカル。 この監督・脚本・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルと、ストーリー上重要な位置を締める楽曲の制作担当したスティーブン・トラスクはそのままに、今回映画化されたというもの。元ネタはミュージカルだけど、映画のほうは通常ストーリーに、歌を織り交ぜている仕上がりだ。 当然サントラも◎。たった1回のライヴを2001年12月20日渋谷AXで行なったMean Machineのオープニングにもオンエア。そのちょい前に試写でたった1回だけこの映画を観ていた編集部Hもすぐに「ヘドウィグの曲だ!」と判ったくらい、キャッチーで切なくて、胸躍るサントラ(もち即購入)。Mean Machineをはじめ、音楽業界でも早い時期から注目していたこの映画、ズバリお薦め! |
『エネミー・ライン』 |
主人公クリス・バーネットはアメリカ海軍に所属するパイロット。飛行機事故で亡くなったレイナード・スキナードやバディ・ホリーを痛み、“あれはパイロットの腕が悪かったせいだ、俺が海軍を辞めたらブリトニー・スピアーズのプライベート機のパイロットになってやる!”といった音楽好きで鼻っ柱の強い若者だ。 この役をオーウェン・ウィルソンが好演。加えて、クールだけれど人情味あるレイガード司令官役をジーン・ハックマンがナイスな渋い声を響かせて、演じている。 現在テロやその報復政策などで攻守攻防はあるものの、幸い大規模な戦争が起こっていない。それでもやはり、和平のためには微妙なバランスを保ち、地味ながらも“戦闘”というものが存在する……そんなことを痛感する映画だ。 撮影場所にはスロバキアのカルパチア山脈を中心に、アメリカ国防総省からのホンモノの航空母艦を借り出し撮影されたシーンもあり、これはリアリティーたっぷりでお薦め&見どころだ。 | ●3/8より、全国東宝洋画系にて公開
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『モンスターズ・インク』 |
●3/2より全国公開中!
| 出てくるキャラはどれもアクが強いけどカワイイし、ストーリーもツッコミ入れたくなるような無理やりなところがなく、老若男女楽しめることウケアイ! ある平和な街に、ある事件が起きちゃって、そこにはお決まりのイジワルなライバルが出現して、で、すったもんだの山場を経て最後はハッピーエンド……という定番なストーリー展開だけど、細部が今までにありえないシチュエーションで◎。
そして、この映画の前に「フォー・ザ・バーズ」という最高に笑えるキュートな短編映画付き。加えて「モンスターズ・インク」のエンディングにはモンスターたちのNG集が…!(アニメなのにNG! つまりはこのためにNGシーンを製作したってこと。これまたユニークなシーン多し)。だから、劇場が明るくなる最後の最後まで席は立たないでね! |
『とらばいゆ』 |
とにかくなんだか痛い作品なのだ。主人公の女の子のイライラの側面を切り取って、そこから話がスタートするから、始終「そんなにイライラするなよ…」「そんなに旦那さんにあたるなよぅ」と声をかけたくなる。
女流棋士という特殊な職業だけど、それが「恋よりも仕事」と頑張ってしまう女性をイヤミなく描いていて○。あと、インテリアやファッションがキュートなので、そこらへんも含め、女性に観てもらいたい作品だ。 | ●3/23より、テアトル新宿にて公開!
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『Jazz seen/カメラが聴いたジャズ』 |
●3月2日よりシネ・アミューズにてレイトショー
| ジャズの持つクールでカッコよくて、でも人間が奏でる暖かい音…、それを写真で見事に表現しつづけたカメラマン、ウィリアム・クラクストンを描いた映画。ん~、彼の写真、一度はみんな観たことあるはず。 この「ジャズメンっちゅーのはなんだかクラスが違うなぁ」と観る者(特に我々アジア人)にイメージを植え付けた立役者について、本人はもちろん、ジャズミュージシャンやカメラマン、はたまたジャズ愛好家のデニス・ホッパーまでがスクリーンに登場して語っている。 とにかく、このウィリアム氏が天真爛漫でシャレ者。大物ミュージシャン相手に様々な格好やしぐさをさせて「その形が目的じゃなくて、“そうして”と頼んだときの、彼らの反応や表情が撮りたいんだ」という。だから映画そのものもジャズのサウンドに負けず劣らずクールでウィットに富んでいる。 ドキュメンタリーだけど作られたようなセットやロケーションがオシャレで、ジャズを知らない人でも楽しめる、そんな内容だ。
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