新世紀のダンス・ディーヴァ、大ヒット作『ビリーヴ』以降、3年ぶりのニューアルバム

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新世紀のダンス・ディーヴァ、シェール
大ヒット作『ビリーヴ』以降、3年ぶりのニューアルバム


浮き沈みの激しいショウビズ界において、実に37年ものキャリアを誇る大ベテラン、シェール
'98年には、それまでのイメージを覆すようなダンス・ポップ・ナンバー「ビリーヴ」を発表し、この曲が'99年のビルボード誌年間トップ100シングルで堂々1位に輝くという快挙。
同タイトルのアルバムも全世界で1100万枚のセールスを記録し、彼女は新世紀のダンス・ディーヴァとして君臨することとなったのだった。

そして、遂に完成させたニュー・アルバム『リヴィング・プルーフ』。

これがまた、前作をも上回る、全編パワフルかつアッパーなダンス・アルバムに仕上がっている。
この圧倒的なパワーは、一体どこからくるのか。また、50代にしてダンス・ミュージックに覚醒した理由とは?
シェールに話を聞いた。

取材・文●内本順一

長い間歌ってきて、自分の声がこんなに新鮮に聞こえたのは初めて

最新 Album

『LIVING PROOF』

ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-10923
2001年11月28日発売 2,079(tax in)

1 The Music's No Good Without You
2 Alive Again
3 (This Is A) Song For The Lonely
4 A Different Kind Of Love Song
5 Rain Rain
6 Love So High
7 Body To Body,Heart To Heart
8 Love Is A Lonely Place Without You
9 Real Love
10 Love One Another
11 You Take It All
12 When The Money's Gone
13 The Look


――新作『リヴィング・プルーフ』のパワフルなサウンドとエネルギーに満ちた歌声を聴いて、圧倒されました。このようなパワーは、どこから湧いてくるのでしょうか?

シェール:
自分ではまったく分からないわ。とにかく音楽が心の底から好きで、歌うたびにティーンエイジャーのような気持ちになるの。そして、少し反抗的で、自由な気持ちが湧いてくる。不思議よね。中でも一番好きなのは、やっぱりステージに立つことね。自分がもっとも得意とすることだし。ステージを走り回って歌っていると、自分の背がうんと高くなったような気分になるの。大きな声が発せられると、こんな普通のサイズのカラダから、どうしてこんなに大きな声が出るんだろうって、奇妙に思えたりするのよね。そして、それはとてもグレイトな気分なの。

――今作を作るにあたって、まず最初にどのようなものを作りたいと考えていたのでしょうか? 『ビリーヴ』を超えるものにしたいという気持ちは、ありましたか?

シェール:
『ビリーヴ』の時と同じことをやりたかったの。それはつまり、今回もベストな曲を選んで、自分にとって意味のあるアルバムを作るということ。前作に対しての競争心というようなものは全くなかったわ。

――「ビリーヴ」のヒット以降、ヴォコーダーを使ったダンス・ナンバー……例えばダフト・パンクに代表されるフィルター・ハウスなどがシーンに急浮上してきましたよね。そうした最近のダンス・ミュージックを、あなたも普段から好んで聴いているのですか?

シェール:
ダフト・パンクもクレイグ・デイヴィッドも、とてもクールだし、ヒップだと思うわ。そうした音楽も聴くけど、普段はどちらかというとブルース・スプリングスティーンのようなロックを聴くことが多いかしら。とはいえ、私はディスコの時代の出身なわけで、昔はディスコに行って踊るのが大好きだった。考えてみれば、今までダンス・ミュージックをやる気にならなかったことが不思議よね。レコード会社に薦められても、ずっと断ってきたの。若い人たちにどう思われるか、不安だったのね。今ごろダンス・ミュージックの流行にのるなんて、軽薄で調子がいいって思われるんじゃないかって。そうやって自分自身で限界を作っていたわけ。だから、『ビリーヴ』は私にとって大決心だったのよ。

――でも、やってみたら、想像以上に楽しむことが出来たと。

シェール:
そうなの。やり始めたら楽しくてしょうがなくなっちゃって。ダンス・ミュージックって、エネルギーが満ちてくるような音楽なのよね。すっかり夢中になってしまったわ。

――今作では、「ピリーヴ」も手掛けていたメトロ(マーク・テイラー)に加え、シケイン、スターゲイト、エクレクティックといった先鋭たちがプロデュースで加わってますね。こうした人たちとの仕事は、あなたにどのような刺激を与えましたか?

シェール:
彼らはみな、新しいサウンドを作ることにかけて、最前線にいる人たちなの。アメリカの音楽シーンにはないような音を生み出しているわ。また彼らは、若い世代のシーンにおいて今何が起こっているのかを把握している。彼らと仕事することで、私もそれに触れることができるし、いろいろ試してみて、いろんなことを学ぶことが出来るの。それは、とても楽しいことだわ。なにしろ、今までこれだけ長い間歌ってきて、自分の声がこんなに新鮮に聞こえたのだって初めてなんだもの。私は自分の声に飽きていたのね。それをヴォコーダーによるヴォーカル処理で、新しいものにしてくれた。それって、すごくエキサイティングなことだったわ。

――歌詞の面で、今回特に伝えたかったメッセージは、どんなことですか?

シェール:
どんな苦境に立つにことになっても、希望を忘れないで…ってことかしら。無意識のうちにそういう曲ばかりを選んでいたわ。ニューヨークのあの事件を思い起こさせる曲もあるかもしれない。でも、夢は壊されても、必ず救いはある。私の音楽にはいつもそういうメッセージが込められていたと思うのよ 。
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