――百回くらい質問さてれていると思うのですが、バンド名の由来を教えてください。
トク the D(Vo): 本当に百回くらい聞かれてますね~。今や、由来は何だったっけ?ってカンジなんですけど(笑)。とにかく最初はスパニッシュみたいなのがいいねって言っていたんですよ。メキシカンR&Bみたいなのを演っていこうって思ってたから。それで適当に語呂で付けちゃった。でもね、これは60’sガレージのバンドがチャイニーズ・ジャズとか、自分たちの音楽性を適当に言っていたものに通じると思うんだけど、最初は’60年代なら何でもアリ!みたいな、かわいい感じの名前だったのよ。でも、だんだんなよななよしたのが嫌になっちゃって、もうちょっと男っぽいのにしようぜって、心機一転したんです! 画数や風水とかも調べました! そうしたらCDとか出してくれるって言われて、こりゃあ凄いなって(笑)。
――その話はどこまで本気なんですか?(笑)
トク: (笑)いやぁ、本当はマンガ「じゃりン子チエ」でそういう名前のカクテルが出てきて、それを飲んで酔っぱらった女の子が校内放送で歌って、聴いた全校生徒が気絶してしまうというエピソードがあって、それから取りました。
――アルバムの話に入りましょう。今作から新メンバーとしてオルガン(ダイスケ)が入りました。この辺のいきさつから聞かせて下さい。
トク: <MERKEEY BEAT>ってイベントをやってる女の子がいるんだけど、その子の弟が何にもやっていないので友達になってあげてって頼まれまして。で、その弟と話をしたら家にオルガンがあると。じゃあ一緒にやろうぜってスタジオに入ったんです。そうしたらまず鍵盤に書いてあるドレミを消していくって感じのズブの素人で(笑)。まさかこんなお荷物背負っちゃうなんて!
――あはは…。ってその前にメンバーでミーティングはしなかったんですか。
Kusu-Motts(G): それが、まるでなかったんですねぇ。
トク: 「とりあえず入るよー」「へぇ~そ~なんだ~」って感じでしたね。
Kusu-Motts: 後々考えれば政略結婚みたいな感じでした。イベントに出るための(笑)。
トク: 人なつっこいし、仲良くなっちゃって後に引けない感じになっちゃったんですが、まさか弾けないなんて…!
――(笑)サウンド的にはどう考えていたんですか。
トク: 必要というか、いたらカッコ良いなとは考えていたんです。まず形から入っちゃうもんで(笑)。僕らはボーリングが好きで、彼はそれが上手くて、ベースのコトヨリと仲良くなっちゃった。そんぐらいなもんっすよ。
――ラストの曲のギターとの掛け合いなんてカッコいいなと思っていたんですよ。
Kusu-Motts: (笑)だいぶ掛け合いましたね。
トク: その曲のオルガンはこいつ(Kusu-Motts)が弾いてるんで、フレーズが分かってるんですよ。当初はフルアルバムっていうだけで舞い上がっちゃって、収録曲のことをあんまり考えてなかったんですよ。曲が足りないから分数だけでも稼ごうぜって。演ってるときにストップかけないで、ずーっと演らせたんです。一発録りなんでずーっと。大作っても原因がしょぼいんです(笑)。再現不能です。
Kusu-Motts: いわく付きの曲なんですよ(笑)。
――カヴァー(「MINI SKART BLUES」/フラワー・チルドレン、「PUSSIN’ TOO HARD/ザ・シーズ」)が2曲入ってますけど、この選曲は? トク: カヴァーって言っても、そのまま演るとコピーになっちゃうじゃないですか。でも、カヴァーってのはその曲から何を引き出せるかって思って演ってますね。だからカッコよく出来てると思うよ。でもしっくり来ればオリジナルもカヴァーもなくなっちゃいますね。ライヴの選曲にしても「今日はカヴァー多かったね」って話にはならないですから。とにかく演っててお客さんにカッコ良いって思わせれば勝ちですからね。
――では今回のレコ-ディングにおいて、こだわった所ところはどこでしょうか?
トク: ’60年代の雰囲気とかよく言われるけど、僕ら、当時の器材を使ってるわけじゃないし、’60年代に住んでるわけじゃないからね。だから、今の時代に生きてるって所かな。ときどきいるじゃないですか、’60年代まんまって人。好きなのは分かるんだけど、その人はそこまでって感じがする。もちろん音楽に対してのリスペクトは強いですけど、でも、その当時の人になりきってという懐古主義みたいなものになっちゃうのは嫌なんですね。
――でもガレージのニオイはしてきますよ。それからオルガンが入っているせいかサイケデリックですね。
トク: 今、ガレージって言ってもどこまでを指すのか?って思いますよね。僕らが勝手に好んで使ってるのは’60年代の後期あたりのガレージロックかな。ビートルズやヤードバーズの影響でイギリスのバンドがR&Bを輸入して、それを逆輸入してアメリカの中産階級がブルースを聴く。そういうおかしな音楽が好きなんですね。それにカウンターカルチャーが混じっちゃって良く分からなくなってる音楽なんか好きですしね。
――では今作の出来に関しては、そこらへんは反映できましたか?
トク: ん~、一回こだわって作ってみたいんですけど、今はできる事しか出来なかったというわけですよ。でも、結果論なんだけど、それで良かったかな。無理してないんですよ。まじめな話しちゃうと、俺らの音には“闇雲感”ってのは確かにあるんだけど、そんなに表に出したくないんですよ。言っちゃえば、フェイクで成り立ってるバンドなんで。……いわゆる本物のロックンロールって、天然でしょう? 僕らはそうじゃなくて、本物になりきれない人たちが、どれだけそれとは違ったやり方で出来るかってところでやってますしね。だからどこか斜にとらえちゃうんだよね。
――なるほど。今作はドメニコにとって2枚目のアルバムですし、このアルバムでいろいろ見えてきたと思うのんですが、現在のバンドの位置づけをどう捕らえていますか。
トク: オルガンが入ることによって、方向性が……広がるどころか狭まりました(笑)。だから、こうやるしかないって決まったってところはありますね。このアルバムでも、レコーディング時間がなかった分、変に凝ったことせずに良かったですしね。……うん、僕は好きな作品になったしね。自分の中では曲作りなんかで苦労して、難産だったからかもしれないんですけど、もうマスターピースですよ。
Kusu-Motts: オルガンが入ることによって音楽性が絞れたけど、逆に伸ばすべき部分って見えてきましたよね。それに加えて、自分たちがやる雰囲気が確立できたかな。
ミノル・マムー(Dr): 僕は作ってるときの苦労を思い出しちゃって、まだあんまり客観視出来ないんですね。でも、昨日車の中で聴いて、ああ、いいアルバムだな~って思いました。
――それでは一言ずつ!
トク: 1stよりは的絞れてるっていうか、これが僕たちだって基本ができたアルバムになりましたね。
ミノル: とりあえずライヴを見て欲しいですね。見てもらえば分かりやすいバンドなんで。
Kusu-Motts: ライヴに来れない人はビデオを見てもらえば分かると思います。そういう出来になってますから!
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