小楽曲の集合体、健在なオービタル・サウンドがより身近に!

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小楽曲の集合体、健在なオービタル・サウンドがより身近に!

健在なOrbitalサウンドに、したしみやすさがプラス


『The Altogether』

EastWest AMCE-7234
¥2,520(tax in) 発売中!

1.TENSION
2.FUNNY BREAK(ONE IS ENOUGH)
3.OI!
4.PAY PER VIEW
5.TOOTLED
6.LAST THING
7.DR WHO
8.SHADOWS
9.WAVING NOT DROWNING
10.ILLUMINATE
11.MELTDOWN
12.BEELZBEAT4.O・H・P(over-head-projector)

2000年11月、“ELECTRAGLIDE”のためにUnderworldらと共に来日したPhil & Paul Hartnoll 兄弟のユニットOrbital

暗黒の世界をイメージするような怪しい音から天国に昇るようなハッピー・サウンドまでストーリーを展開していくまさにOrbitalサウンドとも言うべきプレイで、17,000人の観客を狂気乱舞の渦に巻き込み、“UKテクノ四天王”と位置づけられる力量を十分に見せつけた。

そして2年ぶりにリリースされる通算6枚目となるニューアルバム『The Altogether』。このタイトルからもハッピーなイメージが伝わってくるが、“いつでも楽しんで音楽を表現している”そんな彼らのストレートな姿勢をすべてぶつけて、新たな境地を切り開いている。

収録されている楽曲は、アッパーなものからスロウ気味なビックビート的なものまで多種多様。前作までは曲の間にブレークを入れず、アルバム全体でひとつの流れを作って展開していたのに対し、今作は1曲1曲を少し短めにおさえ、それぞれに楽曲としての意味を持たせていることが新たな試みだ。

楽曲の中にはヴォーカルをフィーチャーしたものもあり、2曲目の「FUNNY BREAK [ONE IS ENOUGH]」は、友人のナオミ・ベッドフォードが愛の言葉を唄い上げたトリップ・ホップのような果てしないラヴ・サウンド。それとは全く違った10曲目「Illuminate」は、Philの義理の兄弟にあたるデイヴィッド・グレイが、'80年代のシンセ色が強いポップなトラックにシンガー・ソングライターとしてしっとりと唄いあげている。

聴き逃せないのは7曲目「DR. WHO」。'60年代のイギリスBBCテレビ番組“DR. WHO”の曲を現在にあった形でカヴァーしたヴァージョン。

ライヴではいつもハイライト的な存在だったこの曲のリリースを待ち望んでいたファンは多かった。聴き覚えのあるような宇宙的で夢のあるポップなメロディとそれに相反するようにちょっと奇妙で怪しい旋律が絡みあう。本人達も小さい時、リアルタイムでテレビ番組を見て怖がっていたというだけあって、とても純粋な視点で創り出されている繊細さに豪快なブレーク・ビーツをいれた仕上がりはテクノロジーで表現できる壮大さをプラスしたまさに現在のアップデイト版。

また、現在までにテレビや映画のサントラ、そしてゲームなどに曲を提供して、ヒットを飛ばしたOrbitalらしく、そういった分野に強く影響された、壮大さが各楽曲のイメージから強く伝わってくる。

テクノロジーを駆使して創りだされる音にも関わらず、無機質にならない庶民的な温かいぬくもりを感じるサウンド。

今作も、全作で感じられる高揚感とメランコリーな感じのバランスをうまくつくOrbitalサウンドの健在ぶりをさらにアピールすると共に、楽曲の長さを短くして余分なものを排除した結果生まれた、したしみやすさがプラスされている。

文●イトウトモコ(01/04/07)


about Orbital

Orbital
本国UKではUnderworldThe Chemical BrothersThe Prodigyと並んで“テクノ四天王”と称されるエレクトロ・ミュージックの開拓者Orbital。

Phil&Paul Hartnoll兄弟のベッド・ルームからスタートし、'89年インディ・レーベルからリリースされたシングル「Chime」は、当時アシッド・ハウスが主流だったダンス・ミュージック・シーンに独創性があるエレクトロミュージックのリズムとポップなメロディで、新たな風を吹き込み、新テクノ時代を築いてきた。

彼らが“画期的”といわれる理由にはライヴ・パフォーマンスが挙げられる。山のように積み上げられた機材の奥に2人がいるというシンプルなステージだったが、当時ほとんどのテクノ・ユニットが既存のループをDATドライヴに応じてそのまま演奏したのに対し、その場でミキシングしてサンプラーやシーケンサーをマニュアルで操作。

当時のダンス・ミュージック界では稀な毎回違うステージで即興性のある豪快なパフォーマンスは、ロックのライヴを聴くような感覚とダンス・ミュージックの新烈さによって、固定ファンにとどまらない多くの人の指示を得ていった。
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また、曲作りにもさまざまな技法を駆使している。その中のひとつがサンプリングで、'94年の3rdアルバム『Snivilization』では、マイクを排水官に突っ込んでリズムトラック用の水滴音を録音することで幾層にも重なった豪快なサウンドスケープを展開した作品を手掛けた。

現在までに今回の『The Altogether』を含めると通算6枚のアルバムをリリース。YMOKraftwerkEMFからMadonnaQueen Latifahまで、幅広いアーティストのリミックスに携わるなどリミキサーとしても活躍している。

また、映画音楽をこよなく愛すOrbitalらしく様々な映画のサウンド・トラックやゲーム、テレビ主題歌なども多数手掛ける。

最近では2000年に大ヒットした映画『The Beach』のサウンド・トラックに参加し、主演のレオナルド・ディカプリオの声をフィーチャーした曲「Beached」は話題を呼んだ。

また同年暮れに行なわれた“ELECTRAGLIDE”ではUnderworldらと共に来日し、1万7,000人の観客の前でプレイを行ない、日本のファンにもOrbitalサウンドを見せつけた(来日時、関連記事はこちらこちら)。
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