英国の骨太ロック・バンド、ジ・オールマイティーが去る7月上旬、復活後初となる来日公演を行なった。'89年のデビュー以来、常にアグレッシヴなヘヴィ・ロックン・ロール一筋に突き進んで来た彼等が、その活動に一旦終止符を打ち、日本にて解散コンサートを行なったのは'96年6月のこと。その後、シンガーのリッキー・ウォーイックはすぐさま自らのバンド、(sic)を率いて復活。
'97年夏には来日公演も行なったのだが、それから1年半を経た'99年初頭、突如ジ・オールマイティーの再編が宣言され、今年春には再結成アルバム、その名も『THE ALMIGHTY』がリリースされたばかりである。 リッキー自身は、今回の再結成について次のように語ってくれた。
「とにかく、アルバムをリリースして、ツアーを行ない、ツアーが終わると、またその次のアルバムに取り掛かる…といったことをずっと繰り返しやってきた中で、常にレコード会社との確執というものが付きまとい、結果的に、それが俺達のペースを狂わせる結果となってしまったんだと思う。まぁ、今にして思えば、例えばあの時に1年間休みを取って、事態が落ち着いてからまたやり直す…ということも出来たんだろうけど、あのドン詰まりの状態の中では、とてもそういったところまでは見えなくて、もう解散するしか残されていなかったのさ。でも、それから1年半ぐらい経ってみると、やっぱり、ジ・オールマイティのことが懐かしくて堪らなくなって、いい曲もどんどん書けてきてるのに、それを一緒にやる仲間がいないというフラストレーションもあり、俺はスタンピー(Ds)と会ってみることにした。最初は、昔話をしているだけだったけど、それがだんだん“もう1回一緒にアルバムを作ろうよ”という話に発展し、ふと、俺達がどんなにスペシャルな存在だったか…ということに気がついたんだ。つまりは、そう悟るまでにこれだけの時間が掛かってしまったということだね…」
今回の再結成ツアーのメンツは、リッキー(G,Vo)以下、ニック・パーソンズ(G)、フロイド・ロンドン(B)、スタンピー(Ds)という4人。残念ながら、オリジナル・ギタリストであるピート・フリージンの参加は叶わなかったが、リッキーも「もうずっと前から一緒にやってるような気がする」と太鼓判を押すニュー・ギタリストのニック(元ホワットエヴァー)は、レコーディングでも大いにその手腕を発揮。勿論、ステージにおいても“絶対にピートよりもヘヴィ!”」(リッキー)ということを、そのアグレッシヴなギター・ワークにて証明してくれた。 また、当初にはフロイドがツアーに出られないという話もあったものの、その点も来日直前にクリアとなり、そのフロイド曰く「すぐに昔のノリが戻って来たよ。とにかくこの仲間と一緒にやれて本当に楽しい!」というショウの出来が、決して数年間のブランクがあったり、新メンバーを迎えたり…などということを全く感じさせないものだったということも強調しておきたい。
セット・リストに関しては、「これまでのアルバムを全部振り返って選んだんだ。新曲の座りもその中で凄く良かったね」とフロイドが言う通り、過去のアルバムからの代表曲をほぼ全て網羅し、そこにうまく新曲を挟み込んだ見事な組み立てだったと言えよう。 リッキーにとっては「あれだけ最高に盛り上がるライヴは、世界でも日本だけさ。ニュー・アルバムからの曲も歌詞を既に憶えてくれていて、一緒に歌ってくれた」ことがとにかく嬉しかったのだそうだ。
ところで、今後の予定については 「まだ、新曲には取り掛かっていない。断片的なアイディアを出してる段階だから、あとは全員で集まって合わせてみないと何とも言えないね。けど、曲を書いてる今の感じからいくと、凄く順調でイイ感じだよ。フロイドも戻って来たし、このラインナップでのこれからが本当に楽しみなんだ。とにかく、期待しててくれ。次のアルバムはきっと凄いぜ! 今の段階でもかなりイイのに、さらに先の展望が開けるという確信があるのさ!!」(リッキー)
そして、「俺も、ボチボチ曲は書いてるよ。このツアーのノリをそのまま新曲に持ち込むことが出来ればいいと思ってるんだ」(ニック)とのこと。 さらには、「7月30日にロンドンのアストリアでプレイして、その後は、ヨーロッパ各地のフェスティヴァルが待ってる。それから、9~10月に欧州ツアーを予定してて、クリスマスにも何かしらのショウをやるだろうから、ニュー・アルバムの制作に入るのは、早くて今年の終わり以降のことだろうな」とも、リッキーは語っている。 個人的には、今回のライヴでも披露されたセカンド『ソウル・ディストラクション』('91)収録の「クルシファイ」みたいな、モーターヘッドばりの疾走チューンを期待したいところだが、ドラムスのスタンピーには、「やめてくれ…。もう若くないんだから、あんな(激しい)曲をやったら死んじゃうよ!(笑)」とギャグで逃げられてしまった。 とはいえ、外野がどう言おうと、彼等のラフ&ストレートなロックン・ロール魂はこれからも変わることはないだろう。それは、変わらぬ汗だくのライヴ・パフォーマンスがハッキリと物語っていたのだ! では最後に、それぞれのメンバーから一言ずつコメントを。
「サンキュー、ジャパン! 4年振りだというのに、相変わらず良い反応を返してくれて、そして、俺達をまだ信じ続けてくれて、本当に感謝している。でも、俺達はただ戻って来ただけじゃない。さらに強力になって戻って来たんだってことを、声を大にして言いたいね!」(リッキー)
「ショウに来てくれて…アルバムを買ってくれて、どうもありがとう。こうやって日本に戻って来られたのは皆のおかげさ。これからもどんどん日本に戻って来られるように、そして、友達の皆に会えるように願ってるよ!」(スタンピー)
「日本は、いつ来ても新鮮味があって、何もかも凄くよくコントロールされていて、何をするにもとてもやり易い。新しいアルバムを買ってくれたファン、そして、初期からのファンにも、大いに感謝したいね!」(フロイド)
「俺にとっては初めての日本だったけど、こんなに歓迎してもらって、皆には感謝しているよ。ホント、にブリリアントだった。I love it !!」(ニック)
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