作品とセールスとの調和…バンドの才ちょうど一人前になったばかりのR&Bの6人組がメジャーレーベルからレコードをリリースした。 今時どうしたことだろうか。 R&Bバンドのロマンティックなコンセプトがアフロヘアやベルボトムと一緒に消え失せたと思っているのなら、考え直す必要がありそうだ。 Mint Conditionは、元々は'92年にJimmy Jam & Terry LewisとしてPerspective Recordsと契約したグループで、現在4枚目のアルバム『Life's Aquarium』をリリースしている(このタイトルは、文化、人、そしてサウンドの多様性を示している)。Elektraレーベルに移り、これまで以上に実り多い活動をしていきたいと思っている。
「基本的には、リリースしてほしいと頼みに行ったんだ」 とベースのRickey Kinchenは、前に所属していたレーベル、A&Mからの移籍について語る。 「最後のレコードはゴールドディスクになって、A&Mは満足していたが、俺たちは満足していなかったんだ。考え方が違っていたので、移籍しようと思ったわけだ」
もちろん、現実的には利益を上げることが必要で、Mint Conditionもヒットを出し続けてレコードを売らなければならない。これまでのところ、各アルバム(『Meant To Be Mint』『From The Mint Factory』『Definition Of A Band』)で、ヒットシングルを1曲ずつ出すことに成功している(「Breakin' My Heart (Pretty Brown Eyes)」「U Send Me Swingin'”“What Kind Of Man Would I Be」)。このおかげで、お決まりのアルバムツアーもやりやすくなっているし、グループも第一線で活躍を続けることができている。 したがって、ニューアルバムの制作中には、ラジオ放送での効果などの重要な要素も考慮に入れられている。
「自分たちのアイデンティティを失うことなく、ラジオで流れる他の曲にも合うような曲が必要だった」とKinchenは、『Life's Aquarium』の多くの曲の効果を弱めるいま風のプログラムビートを導入した理由を説明する。 音楽的に高い能力をもつことで知られるバンドが、ラジオのニーズに合わせるために、生まれつきの才能をトーンダウンしなければならないことを窮屈に感じないのだろうかと誰もが疑問に思うはずだ。
「いつか、より音楽的なアルバムやロックオルタナティブ・アルバムをやるつもりだ」とキーボードのKeri Lewisは言う。 「バンドにいてたくさんの異なった影響を受けている。だから、売れ線をやっているとしたら、それはバンドのひとりがかなり売れ線に走っているということだ。もしラテンやラップっぽいもの、Jimi HendrixやLed Zeppelinをやっているとしたら、それは誰かがそれを気に入っているということだ」
最新アルバムの1stシングル「Pretty Lady」は、グループの本来の演奏にさらに近づき、'80年代のファンクの神様Gap Bandの影響を素直に出している。ボーカルには、Mint ConditionのボーカルでドラムスのStokelyの代わりに、GapのリードボーカルCharlie Wilsonを起用している。
「彼は実際に、自分のグループとやるよりも俺たちとやる方がはるかに自由だと言っていた」と、このレコーディングセッションについてStokelyは言う。 「Gap Bandでやるときは、もっと統制されているんだと思う。あの日は、スタジオにエネルギーがあふれていたよ。レコードにもそれが反映されていると思う」
優秀なミュージシャンの例に漏れず、Mint Conditionのメンバー、Stokely、Kinchen、Lewis、ギターのO'Dell、キーボードのLarry Waddell、サックスのJeff Allenは全員、他のアーティストのために演奏したことがある。それにはToni Braxtonのツアーバンドも含まれる。 長年にわたる経験で彼らの反発力が徐々に増してきた。 「最初のアルバムが出たときのことを憶えている。あまりパッとしなかったので、ツアーに出てみんなに聴いてもらう必要があった」とLewisは言う。 「お金は一銭もなかった。技術もなかった。雨の中、セッティングも自分たちでやった。小さなところでもどんなところでも演奏した。でも、ついにレコードが売れ始めたんだ。ときには、つらい時期がある。そんなときでも、自分の好きなことをやってそれで生活していける幸運を忘れたことはない」 |