【俺の楽器・私の愛機】1673「ハーフムーンキャスター」

【自作・ハーフムーンキャスター】（愛知県　週末ビルダー　31歳）


957「ムーンキャスター」、1357「ラトラトキャスター」をご掲載いただきました。作っては、まあまあの出来に満足しながらも、どこか満たされない日々を送っていました。

5本目でついにタモ材へ。磨けば磨くほど光ることに面白さを感じ、ついに禁断の「ちゃんとした」ギター材に手を出してしまいました。

届いたソフトメイプル材の美しさに感動し、きちんと平面が出ていることに感激し、今度こそ人生を添い遂げる一本をつくろうと意気込みました。

迷うのはやはり形。ムーンキャスターの丸っこい形は魅力的ですが、座ったときの弾きやすさもほしい。間をとってハーフムーンの形にしました。

そして、ついに、高級パーツに手を出しました。背伸びしてきちんとしたパーツを選定し、ピックアップも奢りました。ずっと気になっていた、ふるさと名古屋のねこだまり工房の蜜蝋ピックアップ。雑味を残しながらも、すっと抜ける音に惚れ惚れ。少しずつ届くパーツを眺めながら、制作を進めました。

トレモロは入れず、しかし、裏通しにしてパリット感を出します。ネックには微妙に角度を付けるなど、これまでの制作の蓄積が生きました。

ストラトのセンターが好きなので、一発にしようかと悩みましたが、フロントとのハーフトーンも出したく、二発に。フロント、パラレル、ハーフ、シリーズと、フェイズのスイッチも付けました。マスターボリュームとトーンも付けて、私はこれで充分です。

タモ材とは違った光り方をするメイプル材。硬すぎて加工に苦戦しましたが、芯のある出音に惚れ惚れ。(工具はいくつか負けました)

スタジオで鳴らすと、鐘を鳴らすような、透き通った、かすかに雑味のある音！これぞ私の求めていたギターです。

ストラトの抜けた音も大好きですが、絞っても埋もれすぎないハーフムーンキャスター。オールドなエフェクターが似合うと考え、そちらも制作しました。雑味のあるTS系と、暖かい音色のディストーションです。

友達にお願いし、コビトカバのロゴを制作してもらいました。完全に自己満足ですが、とても気に入っています。

ライブでかき鳴らしたい！しかし、しばらく眺めていたい…。どんな曲が似合うのだろう…。弾いても眺めても、私を満たしてくれるギターに仕上がりました。

しばらく制作はいいや…と思いながら、これをOSB合板で作ったらどうなるのだろうと、妄想はやみません。(弾くよりも作る時間の方が確実に増えてしまっています)





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以前投稿いただいた「ムーンキャスター」も「ラトラトキャスター」もひときわ個性が際立っていたけど、両ギターの合体にして今作のオリジナリティの尖り方がすごい。熱で溶ろけちまったチーズのような造形なのに、何食わぬ顔でひょうひょうとマウントされたピックガードがその違和感を増長させている気がします。しかもリアPUは無し。ざくりもなし。そのうえ、このギターに合う歪み系も作っちゃうだなんて、変態が過ぎます。既成概念も溶ろけました。ナチュラルな色合いと質感を見ていたら、なんだかコビトカバに見えてきました。助けてください。（BARKS 烏丸哲也）


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