flumpool、ここからの未来を力強く見つめ止まることなく走り続けていく
2023年10月にメジャーデビュー15周年を迎えたflumpoolが今年3月から行ってきた全国ツアー<15th Anniversary tour 2024『This is flumpool !!!! ~15の夜に逢いましょう~』>。その14本目となるライブが7月14日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催された。当初のスケジュールではツアー最終公演となるはずであったが、ボーカル・山村隆太の急性声帯炎発症により2公演が延期になったことを受け、この日はセミファイナルとなった。
ステージ上のスクリーンでは開演15分前からカウントダウンがスタート。毎分15秒で文字の色が変わり、印象的な音が発せられることで、今のflumpoolと会場を埋め尽くしたオーディエンスたちにとって“15”という数字が大切な意味を持つことがあらためて示される。ラスト15秒からは観客全員がクラップを打ち鳴らし、カウントが0になった瞬間、ライブは幕を開けた。
英語のアナウンスにより、音楽と共に15年という月日を歩んできたflumpoolの今の思いが伝えられる。最後に“This is…”という意味深なフレーズが投げかけられると、会場にはベートーベンの交響曲第九番が鳴り響き、ステージ上にメンバー4人が登場。歓喜に満ち溢れた祝祭ムードの中、アコギを持った山村隆太が1曲目「どんな未来にも愛はある」を歌い出す。バンドの演奏が加わり、山村の「会いたかったぜ、渋谷ー!」の一声と、曲として放たれる<もう一人にさせはしない><芽吹いた“絆”はここにある>というあたたかなメッセージで会場は心地よい一体感に包まれた。2曲目「君に届け」ではイントロから大きなクラップが楽曲を彩っていく。ハンドマイクでステージ上を動きながら、会場の隅々にまで声を飛ばす山村。ギター・阪井一生とベース・尼川元気は、ドラムの小倉誠司の方を向き、視線を交わしながら最高のサウンドを紡いでいく。後半では<たまらなく“渋谷が好きだー”!>と歌詞を変えることで大歓声が巻き起こった。「NEW DAY DREAMER」では<wow wow>コーラスの大合唱が会場を大きく揺さぶる。声を出すことを禁じられたコロナ禍を経て、やっと取り戻した従来のライブの形。その尊さを噛みしめるように大きな声に乗せた思いを溢れさせるオーディエンスの姿に、メンバーたちが嬉しそうに笑みを浮かべていたのが印象的だった。
「今日はすごいライブになる気がするよ。いつもより近く感じるのは、みなさんが熱を届けてくれているからだと思います。思いが距離を縮めるんだよね」(山村)
そんな最初の挨拶を経て、次のパートでは「みなさんをもっともっと熱くしたい。僕らももっともっと熱くなりたい」(山村)という思いを注いだ楽曲を連続で届けていく。暖色の照明とともに暑い日差しを感じさせた「夏よ止めないで ~You’re Romantic~」、夏の恋の思い出を甘酸っぱさと切なさで描き出した「微熱リフレイン」、イントロで大きな拍手が巻き起こった初期の名曲「labo」で、会場は一足早く真夏の気分を満喫することができた。その後はメンバー4人でのMCタイムへ。そこで繰り広げられた和気あいあいとしたやり取りからは、15年を経てもなお変わらない仲のいい4人の関係性をあらためて感じることができた。
笑いの絶えないMCでほっこりとした時間を過ごした後は一転、「素晴らしき嘘」「夜は眠れるかい?」「解放区」「Because... I am」と、flumpoolのコアな側面を感じさせる楽曲が並べられていた。爽やかでポップなパブリックイメージを持つバンドだが、そことは真逆とも言える負の感情を内包したソリッドでシリアスな世界観もまた大きな魅力のひとつだ。その幅広い音楽性を感じさせる楽曲群は、15年にわたって音楽シーンを駆け抜けてきた彼らの比類なき存在感を強くアピールしていたように思う。
「次の曲を書いたときは、2つ大きな感情があって。ひとつは声が出ないという絶望。もうひとつは、それでも支えようとしてくれている人がいる希望です。その2つが綱引きのようにしていたときにできた曲です。15年経って思うのは、どんな光にも、どんな楽しい日々にもきっと影はあるし、逆に言うと、どんな暗闇の中にもきっと光はある。そう思います。僕たちに光をくれるのは、いつだってあなたです」という山村の語りの後に披露されたのは「とうとい」。シンプルながらもあたたかみに溢れたバンドアンサンブルが、曲に乗せられたメッセージを真っ直ぐに届けていく。演奏にも、そして山村のボーカルにもたっぷりの感情が込められていた。雨音に導かれて始まった「HELP」では、美しい景色を映し出す演出でステージが彩られる中、胸を打つ大合唱が生まれていく。そして、「君に恋したあの日から」では鮮明な情景を喚起させるサウンドとともに愛のこもった言葉を優しく届けた。
「This is flumpool。これがflumpoolだ、これが僕たちだと思えるものは、この15年の中でまだ見つかっていません。だけど、それでもこのflumpoolという名前がこんなにも愛おしいものに、大切なものに今、思えるのは、あなたの存在があるからです。どんなときにも僕たちの音楽が寄り添っていたなら、支えられていたら、flumpoolという名前を誇らしく思います。愛してくれてありがとう。一緒に歌いましょう」
山村の思いを受け継ぐようにプレイされたのは「証」。出だしから会場にいる全員が、flumpoolと刻んできた様々な思い出を歌声に込め、メロディを紡いでいく。「もっとちょうだい!」の山村の一言で、その声は一際大きくなり、会場があたたかな空気で満たされていく。2コーラス目からは山村のボーカルが先導しながら、そこにある目に見えるかのような絆を全員で確かめあっていく。そして、曲のラストでスクリーンに浮かび上がったのは、オープニングで投げかけられた言葉の答え。
“This is Yours”
その感動的な演出に、割れんばかりの拍手が贈られた。
15年にわたる輝かしい軌跡を辿ってきたライブ。flumpoolとファンとの関係性をあらためて確認しあったライブは、いよいよ後半戦へ突入。眩い照明が飛び交う中、突き抜けるサウンドで聴き手のテンションが沸騰させた「reboot~あきらめない詩~」。タオルを回して風を巻き起こし、サビで大きくジャンプして会場を揺らした「イイじゃない?」。山村はもちろん、阪井も尼川もステージ上を縦横無尽に動き回り、コール&レスポンスで楽しい時間を生み出していく。爽快な夏ソング「夏Dive」ではおなじみの振り付けで最高の一体感を作り上げ、「ヒアソビ」ではハイテンションの客席に容赦なく薪をくべまくり、フロアの熱を無尽蔵に上げ続ける。そして、「星に願いを」と「Touch」でこの日一番の大合唱を巻き起こしてライブ本編は幕を閉じた。
アンコールでは、リリースされたばかりの新曲「SUMMER LION」を披露。<Wake me up><Knock,knock,knock>という英語パートを共に歌い叫ぶことで、未来への希望を大きく解き放っていく。オーラスには、メジャーデビュー前に作られた「Hydrangea」を。山村から阪井、尼川へとボーカルがリレーされていく構成がエモーショナルな興奮を呼び起こし、ライブは大団円を迎えた。
ライブの最後には、約5年ぶりとなるニューアルバムが来春リリースされること、そして来年5月からは4カ所6公演を行うZeppツアーが開催されることが発表された。15周年の大きな節目を迎えたflumpoolは、そこでの感慨を胸に抱きつつも、その視線はここからの未来を力強く見つめている。“This is flumpool”。そのタイトルに込めた意味をさらに鮮明にするために、彼らは止まることなく走り続けていくのだろう。
テキスト:もりひでゆき
撮影;白石達也
セットリスト
2024年7月14日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
どんな未来にも愛はある
君に届け
NEW DAY DREAMER
夏よ止めないで 〜You’re Romantic〜
微熱リフレイン
labo
素晴らしき嘘
夜は眠れるかい?
解放区
Because... I am
とうとい
HELP
君に恋したあの日から
証
reboot〜あきらめない詩〜
イイじゃない?
夏Dive
ヒアソビ
星に願いを
Touch
<アンコール>
SUMMER LION
Hydrangea
プレイリストURL:https://a-sketch-inc.lnk.to/flumpool_ThisIsflumpool
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