【ライブレポート】locofrank × HAWAIIAN6 × dustbox、<THE LAST ANTHEMS TOUR>東京公演「大事なのはルールじゃない」

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locofrank × HAWAIIAN6 × dustboxが、約11年ぶりに再集結して制作した3Wayスプリットアルバム『THE LAST AMTHEMS』リリースを記念して、3バンドによる合同ツアー<THE LAST ANTHEMS TOUR>を4月からスタートさせた。

◆locofrank × HAWAIIAN6 × dustbox 画像

全国7会場をまわるツアーで、ファイナルとなったのが5月29日(水)の東京・Zepp DiverCity のライヴだ。平日にして18時開演にもかかわらず多くのオーディエンスが集結し、開演前から熱い空気が渦巻く会場になっていた。

▼HAWAIIAN6

18時5分、暗転直後に流れ始めたのはABBAの「ダンシング・クイーン」。このSEとなれば誰もが分かるだろう、今から出てくるのはHAWAIIAN6であることを。出演順は同ツアー初日となった4月25日(木)の渋谷 Spotify O-WESTステージ上にてクジ引きで決めたというが、スプリットアルバムの舵取り役でもあるHAWAIIAN6がツアーファイナルでトップを務めるとは、なんとも粋なめぐり合わせである。

「イヨーッ! 帰ってきたぜ。楽しい夜にしよう。遠慮すんじゃねえ!」──HATANO

HATANO(Dr)が開幕を告げると同時に、バンドサウンドを轟かせたHAWAIIAN6。GURE(B, Cho)はステージ最前で煽るようにベースをかきむしり、YUTA(Vo, G)もネックを高らかに上げコードをかき鳴らす。その勢いのまま「IN THE DEEP FOREST」へ突入した。HAWAIIAN6の放つメロディとバンドサウンドに刺激され、フロアではダイブもモッシュも連発。なかにはステージまで上がり、HATANOのシンバルを叩いてからステージダイブする猛者も。また「MAGIC」などではサビやコーラスを大絶叫するなど、バンドとオーディエンスは熱く一体化。全員が喜びに満ち溢れる表情になっていった。


「素晴らしいファイナル。見事に晴れたな。このツアー開幕と同時期に、全国各地SNSでモッシュ/ダイブ問題があったじゃん。すげえ端折って言えば、そんなのクソくらえなんだ。ルールが大事なんじゃないんだよ。“愛とマナー”が大事だって、ずっと言ってきたよな。今日も愛とマナーのあるライヴハウスでよろしく。このスリーマンで1日やる日は今日が最後かもしれないんだよ。お互いに悔い残すのはやめようぜ!」──HATANO

HATANOの言葉にコブシや歓声を上げ、曲になれば心も身体も激しく突き動かすオーディエンス。ステージ袖にはlocofrankやdustboxのメンバーが顔をそろえ、HAWAIIAN6の曲に合わせて口も動けば、腕も上がる。仲間からの熱量も自らのエネルギーに転化させ、さらにエモーショナルに各曲を響かせるHAWAIIAN6。愛とマナーの上に、自由や解放感が生まれていくライヴがここにある。


「風邪が流行ったとき、世の中が、ライヴハウスがどうなるのかと。おまえたちも、コソコソしながらライヴハウスに入ったりとか、いろいろ苦しい時間があったよな。でもロコダスト6やったら、みんなが笑えることできるんじゃないかって。ライヴハウスがすげー楽しい場所って、また戻れるようにって、願いをこめながら作ったCDです。それが届いて、今、こうやってワーッてやれてるじゃん。すげー嬉しいこと。ありがとうな、おまえたちも諦めずにいてくれて。明日、幸せになるのはけっこう。週末、楽しい約束があるのもけっこう。でもそれは先の話だよな。今日、幸せになってくれ。めいっぱい幸せになってくれ。そんな今日を繰り返して、365日経ったとき、最高の1年になったね、と言えたら最高だよな。1分の1を繰り返しましょう。今日も燃えようぜ。ロコダスト6、噛みついて帰れ!」──HATANO

想いと意志の詰まったHAWAIIAN6の音やプレイは、全員の心をつかんだまま離さない。ラストには「I BELIEVE」もプレイし、共に大声で歌い、ポジティヴな気持ちで溢れかえるライヴハウスと化した。ここには幸せな笑顔しかない。

▼dustbox

青い照明とSE「New Cosmos」で幻想的な世界が広がるステージ。オーディエンスの起こすハンドクラップに歓迎されながらdustboxが登場したのは19時5分のこと。JOJI(B, Vo)が「ヨッシャー!」と気合いを入れ、SUGA(Vo, G)は「ダイバーシティ!!」と煽りを喰らわせた。

そしてSEのカウントダウンのラストに入る「Ignition!」という声を合図にSUGAが鋭いリフを、YU-KI(Dr)とJOJIが切れのあるリズムを刻み、一気に襲い掛かってくるdustbox。「ツアーファイナル、ガンガンにイクっしょ!」など言葉も挟みながら、ライヴやフェスでクライマックスを作り出してきた疾走感あるナンバーを連発。『THE LAST ANTHEMS』からの「Contrast」では、コール&レスポンスも起こしてボルテージも高め続けていった。



「ファイナルってことで、緊張するんですよ。楽屋裏でもみんな緊張して、HAWAIIAN6なんてボロボロでしたよ、始まる前(笑)。でも時間経つのが今日は早いんですよ。ということは、我々は乗ってるんです、今。楽しいときってすぐ時間が過ぎちゃうじゃん。今がそれでございます」──JOJI

それはdustboxの3人だけじゃなく、オーディエンス側も同じ。楽しいときは時間が過ぎるのも早けりゃ、コントロールを失うほど身体も勝手に動いてしまうもの。曲に合わせて元気に飛びまくるオーディエンスの姿に、歌いながらSUGAも思わず笑い出し、JOJIは「最高!」とノリの良さを称賛。どんなことだって必ず乗り越えられるというメッセージも込めながら『THE LAST ANTHEMS』からの「Daybreak」を情熱的に届ける。曲のエンディングでは、JOJIが段ボールで自作したオーシャンドラムで波の音を鳴らすという趣向も。音のクオリティの高さに、笑いと感動も広がった。


「『THE LAST ANTHEMS』でこの3バンドが集まったんですよ、11年ぶりに。この“LAST”っていうのは、俺の中では“最後に残ったこの3バンド”みたいな、誇りに思う感じで付けました。思うようにみんなと遊べない時期があったじゃん。あの時期、こうやって人が集まってくれるかどうかも分からなかったけど、挑戦しようよってやったわけですよ。そうしたら、こんな景色が観れたんです。本当、ありがとう」──SUGA

このツアー中、3バンド9人それぞれが腹を割って話す機会も多く、互いに叱咤激励を繰り返し、奮起して今日を迎えたという。「全バンド、仕上がってます!」とJOJIが高らかに宣言しながら突き進むdustboxのライヴ。オーディエンスも思う存分に楽しみ、声を張り上げる。ライヴのエンディングではキラーチューン「Hurdle Race」を投下。終わりなき高揚感を噛みしめながらdustboxのプレイはさらに冴えわたるばかり。そして何度も感謝の言葉を叫びながらラストナンバーの「Jupiter」を決めた。

▼locofrank

ラストに登場するのはもちろんlocofrank。だがステージの準備が整って10分以上、一向に始まる気配がない。しびれを切らしたオーディエンスがコールを起こし始めた20時20分過ぎ、ようやくSEが流れてlocofrankが登場。

「待たせたなー! 今夜で最後やぞ。ファイナルやぞ、バカタレが」──木下正行

木下(Vo, B)が開口一番、そう叫んだ。直後、森勇介(G, Vo)、横川慎太郎(Dr)がそれぞれ切り込み、豪快なバンドサウンドがフロアを巻き込み始めた。locofrankがこの日、最初に選んだ曲は、20年以上前にリリースした初のミニアルバム『Starting AGE』の1曲目でもある「START」。原点を見つめ直すような始まり方も熱い。


locofrankは、コロナ禍に一度バンドの終わりを考えたことは、BARKSインタビューで語られたとおりだ。それを直接伝えようと、木下がdustboxとHAWAIIAN6のライヴに行ったところ、両バンドのあまりにも素晴らしいライヴを見せつけられ、「まだやれるだろ」という熱いメッセージを投げられた気持ちにもなったという。そして再び歩み始め、今のlocofrankにつながっている。この「START」は、自分自身に向けるばかりでなく、仲間たちに今だから伝えたい意志も込められていたのかもしれない。

結成したばかりの頃のような初々しさに加え、キャリアを重ねてきた今だからこその説得力や力量を十二分に発揮するlocofrank。オーディエンスと何度もアイコンタクトしながら自然に笑顔もこぼれてしまう木下でもある。ステージに立つ嬉しさ、locofrankを続けることの喜びにも溢れていたようだ。


「粋がって遅く出てきたんちゃうから(笑)、楽器がトラブってたんやからな。HAWAIIAN6から始まってdustbox、腹が立つほどカッコ良かったな。11年ぶりに<ANTHEMS>やったけど、11年前にこんな凄いことやってたんやな。もう二度とやらん、胃と心臓がいくつあっても足らんわ(笑)。全国7ヵ所1本1本、3バンドとも命燃やしてきました。だからこそ、むちゃくちゃ楽しかった。だからこそ、おまえらにも会いたかったんや」──木下正行

Zeppに集まった全員のライヴへの愛情も再確認しながら、次々に曲を畳みかけるlocofrank。木下の歌う言葉のひとつひとつに想いが溢れて気持ちを揺さぶるほど、locofrankのメロディには磨きもかかっている。それを全身で浴びながら、いい表情を輝かせるオーディエンスの姿がフロアに広がるばかりだった。


「ちょっと流行った風邪のとき、オマエらもやるせなかったよな。そのときHATANOさんが「楽しいことやりたいよな」って、その一言で始まった。40歳過ぎた俺らが、キャピキャピしながら始めたこのスプリット、楽しんでいただけたかい。俺たちはこれが好きやねん。最後まで迎えられたこと、ほんまに誇りに思うし、ありがたいと思っている。これをちゃんと金沢に持っていきます」──木下正行

あきらめなければ、またスタートできる。そんな気持ちを込めながらラストの「Reborn」を力強く鳴らすlocofrankに、両腕を上げながらシンガロングするオーディエンス。ステージ袖では、もちろんHAWAIIAN6やdustboxのメンバーも同じようにめいっぱい楽しむ。どこを観ても素晴らしい光景が広がるライヴとなった。


アンコールに応えて、ステージに再登場した9人は、超満員の客席をバックに記念撮影。<THE LAST ANTHEMS TOUR>はこのZepp DiverCity(Tokyo)公演がツアーファイナルだが、6月14日に石川・金沢vanvanV4で追加公演が開催された。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎岩渕直人

■<THE LAST ANTHEMS TOUR>2024年5月29日(水)@東京・Zepp DiverCityセットリスト

【HAWAIIAN6】
01. In The Deep Forest
02. No Age
03. Super Sonic
04. Magic
05. THE LIGHTNING
06. Haze
07. Ballad Of The Setting Sun
08. Tiny Soul
09. Promise
10. Eternal Wish, Twinkle Star
11. The Ocean
12. Burn
13. I BELIEVE
【dustbox】
01. Riot
02. Try My Luck
03. Contrast
04. Not Over
05. Emotions
06. Resistance
07. Curse
08. Still Believing
09. Daybreak
10. To All My Friends
11. Here Comes A Miracle
12. Hurdle Race
13. Jupiter
【locofrank】
01. START
02. Mountain range
03. if
04. Hate to lose
05. Ephemeral Magic
06. share
07. voyage
08. Grab Again
09. across time
10. Returning
11. See You
12. reason
13. Reborn

▼TOUR SCHEDULE
4月25日(木) 渋谷 Spotify O-WEST
5月10日(金) 名古屋 CLUB QUATTRO
5月12日(日) 大阪 Yogibo MRTA VALLEY
5月14日(火) 福岡 BEAT STATION
5月21日(火) 札幌 cube garden
5月24日(金) 仙台 Rensa
5月29日(水) 東京 Zepp DiverCity(Tokyo)
6月14日(金) 石川 金沢vanvanV4 ※追加公演


■locofrank × HAWAIIAN6 × dustbox『THE LAST ANTHEMS』

2024年4月17日(水)発売
【CD】 XQDB-1027 ¥3,000(+Tax)
Released by IKKI NOT DEAD
1. If / locofrank
2. Contrast / dustbox
3. No Age / HAWAIIAN6
4. Ephemeral Magic / locofrank
5. Curse / dustbox
6. Ballad Of The Setting sun / HAWAIIAN6
7. Daybreak / dustbox
8. Reborn / locofrank
9. The Ocean / HAWAIIAN6


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