【インタビュー】加藤和樹、ライブへの想い「お互いにエネルギーをチャージしていけたら」
5月15日に最新作『Liberation BOX』をリリースした加藤和樹。ライブを意識して選曲したという今作は、音源という枠を飛び出し、まさにライブ会場にいるかのようなエネルギーを放つ6曲が収録されたミニアルバムだ。
新曲をフィーチャーしたインタビュー前編に続き、今回は「Liberation BOX」のTYPE-Cのみに収められているカバー曲についてのエピソードや、今後のツアーについての思いを聴いた。
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◾️音楽を通して自分は1人じゃないんだっていうことを再認識
──ここからは、『Liberation BOX』のTYPE-Cで聴くことができるカバー曲について伺いたいと思います。
加藤和樹:カバーは、ピアノライブなども一緒にやっている吹野クワガタ(以下フッキー)さんとタッグを組んでずっとやってきました。今回収録されている4曲も、僕の歌とフッキーのピアノで構成されています。もちろんアレンジの方向性はあらかじめもらうんですけど、結局現場に入ってやってみると全く変わるんですよ。その場で生まれたものを音に録ってみようっていう一発撮りみたいな感じでやってるので。今回もお互いが持っている感覚を大切にしながら、より繊細で、ちゃんと言葉が届けられるようにという思いでレコーディングしました。
──加藤さんはこれまでも、"Respection"と銘打ち、歌い継ぐという思いを込めて名曲をたくさんカバーされています。今回の選曲は、あらかじめテーマなどを決めていたんですか?
加藤和樹:基本的な部分はこれまでと変わらず、“歌い繋いでいきたい曲を、リスペクトを込めてカバーする”ということをテーマに選曲しました。その中で今回、「ひとりじゃない」という楽曲をセルフカバーしたんですが、これは能登地震があり、今、日本で不安に思っている方々にこの曲が持っているメッセージ性をピアノ1本で歌うことで届けることができるのではという可能性を信じて、今歌いたいと思ったんですよね。この曲を歌うことは、本当に最後の最後で決めました。
──原曲がリリースされたのは2014年。ちょうど10年前だったんですね。
加藤和樹:はい。2014年にリリースしたんですが、2016年に熊本の地震があって、東日本大震災のまだ5年後でしたから、「この曲にすごく救われました」っていうファンの方の声がすごく多かったんです。その後のコロナ禍の時も歌い続けてきたんですが、能登の地震があって……。たびたび歌ってきましたが、やっぱり今この曲を歌いたいなと思ったし、音源はリリースした時のアレンジのものしかなかったので、このピアノバージョンを皆さんに改めて届けたいなと思ったんですよね。
──歌詞は、加藤さんご自身がお書きになっています。
加藤和樹:自分で言うのもなんですが、たぶん“繋がる”という力を持った曲なんですよね。一方通行じゃないというか。他の楽曲でももちろんありますが、自分の中でもこの「ひとりじゃない」という楽曲が気づかせてくれたことはたくさんあるし、この曲が繋いでくれたみんなとの縁みたいなものもあるので、改めて今カバーで歌う意味はあるんじゃないかなと思ったんです。
──そもそもこの歌詞をお書きになったときは、どういうことを思い描いていたんですか?
加藤和樹:最初は、自分のことだったんですよ。基本的に僕は自分が経験したことを歌詞に起こすんですが、自分自身が1人だなと感じていたころがあって。元々笑うことも得意じゃなかったけど、その後いろんな仲間たちと出会って、今はみんなと笑い合えているよっていうことを歌いたいなと思ったんです。歩む道って、決して楽ではないじゃないですか。というか、楽な道なんてないと思うんですよね。そういう思いを今まで1人でずっと抱えていたけど、多くの人に出会うことによって、共有し、分かち合うことができた。泣きたいときは泣けばいいって思えるようになった。僕にはみんながいるし、みんなにも自分がいるって思ってほしいなっていう思いで書いた曲なんです。
──言ってみれば自分へのエールでもあったんでしょうか。
加藤和樹:エールというよりも、自分はひとりじゃないっていうことの確認の曲というか。音楽を通して自分は1人じゃないんだっていうことを再認識できる曲だし、みんなにもそうあってほしい。1人だなって感じたときは、この歌を歌っている自分がいるから頑張れるって思ってもらえたらいいなっていう思いです。
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