【鼎談】locofrank × HAWAIIAN6 × dustbox、聖域に再集結「俺たちはバンドマンという人生を選んでいる」

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■3バンドの共演はタイミングを選ぼうって
■それぐらいこだわってやってきた


──2020年、ドラムの脱退によってモチベーションが下がってしまったのが、locofrankの木下さんですね。

木下:SUGAちゃんがさっき言ったように、ずっと消えない炎だと思っていたんですよ。だけど、あの時期俺は、実際に炎が消えたんです。locofrankをあの3人でやれないなら意味がないと思ったので、「もうやめます」って。周りにお伺いを立てるものでもないと思ってたから、まずギターの(森)勇介だけには言ったんですよ。次に、世話になった仲間に言いに行こうと思って、HAWAIIAN6とdustboxが神戸のライブ会場にいたから、そこまで会いに行ったんです。そうしたら、2バンドともすげーいいライブをやっててね。終演後、「俺はやりきりましたんで、バンドやめます」って2バンドに話したら、「やめさせねーよ、バカ」「なに言ってんだよ」って言われちゃって(笑)。

HATANO:木下はHAWAIIAN6とdustboxに順番に言って、順番に同じことを言われてた(笑)。

木下:そうそう(笑)。あの日あのとき、神戸に2バンドのライブを観に行ってなかったら、その言葉をもらえなかっただろうし。例えば電話口でそう言わたとしたら、俺はやめてたと思う。

──いいライブを観せてくれて、“ロコダスト6”のメンツから直接言葉をもらって、木下さんの心が再び燃え盛ることに?

木下:すんげーいいライブしてたんですよ、2バンドとも。酔っぱらってた俺がもう泣いちゃうぐらいに。

──木下さんがバンドをやめるって伝えるために会場に来ていたことを、HAWAIIAN6もdustboxも全員知っていたわけですよね?

HATANO:仮に知っていたとて、やることは変わらないじゃないですか。

SUGA:うん。


▲SUGA (Vo, G / dustbox)

HATANO:若い頃はバンドって、なにがあっても勝手に続くと思ってたんですよ。でも勝手に続いてるわけじゃないってことが、やっと理解できる年齢にもなっていたんで。例えば木下があのとき言った「やめたい」って言葉も、これだけ経験を積んできた大のオトナが吐いた言葉だから、散々悩み抜いたんだろうなってことも、察しがつくわけで。それを説き伏せる言葉より、“俺はこうだよ”って提示して、そこからなにかを感じてくれればいい。それでもやりたいのか、それでもやめるのか。やめたくてやめるヤツはいないんですよ。好きなことだからさ。

木下:HATANOさんも言ったように、バンドが嫌いなはずはない。locofrankが好きなんだけど、他のよく分かんないヤツを入れて燃やせる心は、今はないって判断をしたんですよね。それで、やめようって思ってしまった。だけど、「消えてないんだったらやればいいんじゃないの」とか、ギターの勇介からは「まだお前に隣で歌っててほしい」と言われて、その言葉が続ける決め手になりました。

──なるほど。

木下:HAWAIIAN6とdustboxがいてくれて、本当に良かったと思った。“よし、再びやってやろう!”と思ったんですけど、世の中はコロナ禍に突入したじゃないですか。なんやねん!ですよね(苦笑)。でも、この時間は、新しいlocofrankを作る大事な時間だって、プラスに考えようと思って、2020年からの3〜4年は踏ん張ってました。その間、dustboxもHAWAIIAN6も踏ん張ってましたけどね。

HATANO:俺、木下には言ったんですよ、「たぶんコロナ禍がなければlocofrankは解散していた」って。考える時間と、メンバーがぶつかる時間を作ってくれたんですよ、コロナ禍が。その期間がなくて、いきなりフルスロットルのライブが始まっていたら、後から入ってきたメンバーがついて来れたか分からない。俺は木下と付き合いが長いから、考えてることが手に取るように分かるので(笑)。木下は、好きなことを濁った気持ちでやりたくないタイプ。だからあの時期、「やめたい」って言い出したわけで。もう自分の心の炎は消えていると思っているのに、燃えているって演じながらやりたいくないんですよ。だから、このコロナ禍は木下やlocofrankにとっていい時間だったと思う。

木下:そうでしたね。結果論ですけど。

──連絡は取り合わなくても、お互い気にし合っている間柄でもあるんですね。

木下:いや、コロナ禍では連絡をクソ取り合いました(笑)。

SUGA:あの時期はお互いに2時間とか3時間とかしゃべったり。家から出られないし、やれることがなかったから(笑)。

HATANO:ZOOMの使い勝手さえ良ければ、毎日やってたと思う(笑)。タイムラグとかレイテンシーがなければ。

──寂しがり屋の3人ですか。

木下:そうですよ、結果(笑)。

HATANO:みんな、そうだったと思いますよ、あの時期は。


──孤独感を抱く方も多かったですからね。

HATANO:自分のことを再確認させてもらう時期だったわけだけど、結果俺たち、同じところにジッとしているのが苦手だったという。そういうことをやってこなかったからね。国からの緊急事態宣言発令で家の中にずっといようとしても、いつもハイエースに乗ってないと、落ち着かない(笑)。家の中にずっといるのは、曲作りに集中しているときぐらいなもんで。

SUGA:レコーディングとかしていない限り、ハイエースでどっかに行ってるから(笑)。

HATANO:あの時期は、“俺って、なにをやってる人だっけ…?”って考えにもなりましたよ。“あっ、そういやバンドだわ”って(笑)。

SUGA:お互いその確認をするために、電話をするっていうね(笑)。

HATANO:「俺たちってバンドマンだよね?」っていう話を(笑)。

──そういう遠距離恋愛みたいな電話をする中で、2021年8月31日に東京・LIQUIDROOMでライブイベント<ロコダスト6 2021>が開催されました。その数日前にdustboxのJOJIさんが新型コロナウイルス陽性となり、変則的なかたちでの実施となりましたが、6年ぶりの<ロコダスト6>を経て、自然発生的に膨らんだのが、今回の『THE LAST ANTHEMS』ですか?

木下:そうですね。

SUGA:コロナ禍で徐々にライブを始めていったとき、「たまには対バンしよう」って話があって。それも、どっちからともなく「そろそろ、なんかね」とか、そんな感じだったと思う。locofrankにも話したら、「そろそろ、いいね」って。コロナ禍の状況も徐々に解消されていくだろうし、世の中にいいニュースもない中で、みんなが楽しめることができればいいなって始めたのが、LIQUIDROOMの<ロコダスト6>。locofrank、dustbox、HAWAIIAN6って、イベントで顔を合わせることはあったけど、3バンドが揃ってのスリーマンは、『THE ANTHEMS』以降、<ロコダスト6 2021>までほぼなかったんですよ。

HATANO:実は、それぞれが“企画ライブやります”ってとき、このスリーマンにならないように全員が意識しているんです。お互いにツーマンで対バンすることはあっても、この3バンドだけで1日にやることはなかった。『THE ANTHEMS』以降、やらないようにしていたんです。


▲木下正行(Vo, B / locofrank)

──つまり、それだけ聖域に近いものが、3バンド合同の<ロコダスト6>にはあると?

HATANO:それぐらい自分たちは大事にしてきていて。この前、久々に札幌カウンターアクションでスリーマンをやったんですけど、事前に全員で確認と許可を取り合ったぐらいだったから(笑)。『THE ANTHEMS』以降、この3バンドが一緒になるときは、タイミングを選ぼう、会場も選ぼうって、それぐらいこだわってやってきたんです。フェスやイベントで複数のバンドがいて、その中に3バンドが入るってのはありですけどね。それだけ、この3バンドでやるときは自分たちもいっぱい夢を見てるんですよ(笑)。

──このタイミングでの『THE LAST ANTHEMS』リリースにも意味がありそうですね。

SUGA:<ロコダスト6 2021>のときも、今回のスプリットアルバムについては、具体的にいつやるかってことまで決めてなかったよね。

──なるほど。お互い連絡を頻繁に取り合いながら、徐々に『THE LAST ANTHEMS』の制作が決定したわけですか。スプリットアルバムに向けて曲を作ろうと思ったとき、普段とは曲への構え方や軸足なども変わりました? 歌詞も読ませていただきましたが、“はぁー! なるほど”と思ったんです。

SUGA:この3バンドで作る作品だから、どうしようかってメンバー内で話しましたね。もちろん自分たちらしさを出すのが一番のテーマですけど、自分らのアルバムを作るのとは別な感じで、話し合いをして曲を作りました、僕らは。ただ、それがなかなかできなくて(笑)。

木下:僕らもそう。自分たちの単独音源を作るのとは別の神経を使いましたね。なかなかないご褒美だと思って。“2バンドがどんな曲を持ってくるんだろう?”っていうワクワクもありました。

HATANO:勝手にプレッシャーを感じるんですよ。アルバムの9分の3は自分たちが持っていく曲だから、それは当然知ってるけど、あとの9分の6は分からない。それを楽しんでいるんだけど、自分たちの提示する9分の3が、9分の6の流れをちゃんと活かせる曲になっていたらいいよな…とか、そういう思いを勝手に抱くからプレッシャーになるんですよ(笑)。だけど、それがやりがい。プレッシャー=やりがい。どっちも素晴らしい。もう作り終えたから、そんなこと言えるんですけどね(笑)。

SUGA:そうだよね(笑)。やっている最中は、本当にできるのかよ?って(笑)。それぞれ個々にツアーをやっていたりしてたんで。

HATANO:今年1月、ツアーの合間に録りもやっていたんで。マジでできるのか?って、震えるぐらいのスケジュール(笑)。

──レコーディングは本当に最近なんですね。

HATANO:そう。

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