【インタビュー】加藤和樹、ミニアルバム『Liberation BOX』発売「解放的にやろうじゃないか!」
◼️諦めなければ道は続いていく
◼️ありきたりの言葉かもしれないけど、改めてそれを伝えたかった
──カバーCDではなく本編3曲目に、舞台『BACKBEAT』で歌われていた「Twenty Flight Rock」も収録されています。加藤さんの体に染み込んでいる歌だということがダイレクトに伝わってきました。
加藤和樹:もう何百回歌ったかわからない(笑)『BACKBEAT』っていう作品に出会ってなければ、歌うことがなかった楽曲ですからね。今回は自分がジョン・レノンを演じた中で培ったものプラス、加藤和樹なりのトライの仕方でレコーディングに挑みました。ジョンとして歌うのではなく、あくまでもジョンを演じた加藤和樹が今これを歌うっていうスタンスで。でも、最初はすごく違和感があったんですよ。
──違和感というと?
加藤和樹:舞台ではギターを弾きながら歌ってましたけど、レコーディングのときはもちろん弾かないじゃないですか。なんか足りないなって、そんな違和感というか戸惑いがありました(笑)。だからもう、レコーディングのときは(弾く仕草をしながら)こうやってましたから(笑)。エアーなんですけど、そうしてないと乗れなくて(笑)。
──(笑)。舞台をご覧になった方は特に、嬉しい曲じゃないかなと思います。
加藤和樹:あの時の興奮を思い出していただけたらな、と。ちなみに、『BACKBEAT』で歌っていたものとは、若干歌詞が違うんですよ。ビートルズは、ジョンが勝手に歌詞を変えちゃってた部分があるんですね。でもこれは原曲のエディ・コクランのバージョンなので、そういうところでの違和感もあったんですよ。ほんのちょっとですけど。だから逆に新鮮でもありました。同じ曲だけど、フレーズがちょっと変わるだけで言葉のはめ方とかも変わってきますから。でもその曲の持ってるノリだけは変えたくなかったので、テンポ感はちょっと変えつつですが、舞台とはまた違った勢いみたいなところも大切に歌いました。
──勢いといえば、「Shake body!」もライブ感がすごいですね。
加藤和樹:曲選びのときに聴いて、既にライブの画が見えてましたね。だからあとはそこにはまるような、みんなで暴れるような歌詞にしていただきました。
──本当は、この曲をまず先行リリースしようかという話もあったそうですね。
加藤和樹:はい。でもギリギリで「マシマシLove Call」が出来ちゃったんで(笑)。前回のインタビューでもお話ししたように、自分としては1回書き上がったものをもう1回書き直すってどうなの!?っていう心境でしたけど(笑)。でも本当にどれがリードでも先行リリースでもおかしくないというか、それくらい個性のある曲ばかりですからね。この曲もライブでやるのが楽しみです。
──結果的にリード曲は「ReTaker」になったわけですが、この曲こそライブで皆さんの声があって完成するような1曲ですね。
加藤和樹:まさにそういう曲です。この曲は、僕だけじゃなくてディレクターやスタジオにいるスタッフのみんなの声も重ねて、手拍子とかも録ったんですよ。生な感じをぜひ感じてもらいたくて。ライブに向け、THE DRASTICSのメンバーの声が重なってくるイメージも持ちながらレコーディングをしました。
──「エール」は加藤さんの作詞です。
加藤和樹:ここ数年は、誰かに向けた背中を押すような歌詞を書くことが多くて。今回もそういう楽曲を届けたいと思って書いていたんですが、どうしても似たような感じになってしまって。これはひとつテーマを決めようと思ったちょうどその頃、バスケが盛り上がってた時期だったんです。自分もバスケをずっとやってましたから、バスケとかそういうスポーツをイメージしながら、ポイントとなる言葉を選んでいきました。もちろん楽曲としては、スポーツに限らずどのジャンルにおいてもがんばってる人たちに向けたものなんですけど。
──「諦める勇気よりも諦めない強さ」という歌詞がとても印象的でした。
加藤和樹:諦めなければ道は続いていく。ありきたりの言葉かもしれないけど、改めてそれを今頑張ってる全ての人たちに、そしてこれから頑張ろうとしてる人たちに伝えたかったんです。この作品がリリースされるのがちょうど新生活が始まって1ヶ月ぐらいのタイミングでもあるので、「自分はやっぱりこの道向いてないのかな」と思ってる人とか、自分も上京してきたときそうだったけど、新しい生活や慣れない環境に不安を覚える人が多いと思うんですよ。最初は夢を持って上京して来るけど、やっぱり理想と現実の違いに打ちのめされたりする。何のために今自分はここにいるのかとか、そういう意味なんかを考え始めるとどんどん落ちていっちゃうけど、僕自身はそんなときに音楽に救われた部分があったので、何かきっかけになればいいなっていう思いも込めました。
──「流した汗と涙は裏切らない」という歌詞もありますが、いろんな経験をして今を築き上げてきた加藤さんがおっしゃると、言葉の重みが違うし説得力があるなと思いました。
加藤和樹:上京したときは、本当に何も持ってない人間でしたからね。その自分が、いろんな人と出会っていろんな経験をしてきました。音楽の「お」の字も知らなくて、でも音楽やるって言って今のマネージャーに出会って。「何もできないです」みたいな感じから始まってるからこその、このフレーズでもあるし、そういうことを考えると、やっぱり自分を諦めなくてよかったなって思える瞬間もたくさん経験してきてるんですよね。でもそれって、1人じゃ成し得なかったことだから、「ひとりじゃない」っていう歌詞も書けたんです。
──今回のカバーCDにも収録されている、2014年の楽曲ですね。
加藤和樹:人との繋がりを大事にしたいし、やればできるっていう自分のモットーであり好きな言葉を、これからもずっと現在進行形で自分が体現していくことで、より説得力を持つ言葉にできるんじゃないかなって思うんです。未だにできないことの方が多いですけどね。それでも、応援してくれる人たちがいたから叶えてこられたものもあるわけで。ライブもそうですし、CDをリリースするということも、応援して買ってくれるみんながいなければ成り立たないですから。そうやって人と繋がっていくツールがすごく増えたから今があると思っているので、それを、音楽で返していきたいっていうのがずっとあるんです。
──「音楽」で返したい。
加藤和樹:はい。もちろんお芝居もやりながらお客様からいただくものはたくさんあるけど、どうしてもこっちから届けてるっていう感覚のほうが強いから、やっぱり僕の中ではライブに敵わないというか。ライブって、本当にその場でセッションをしている感覚なんですよね。だから、自分の活動の中でライブは外せない。コロナのときは本当にどうしようって思いましたし、だからこそ1人で回るっていう選択をしてギター1本でツアーを回ったんですけど。
──そうでしたね。
加藤和樹:やらない後悔よりやってする後悔の方がいいなと思ったし、いろいろなことに気づかせてくれたツアーでした。秋から春にかけてバンドでのツアーだったところを一度全部キャンセルして、改めてライブハウスの方達にお願いして、1日3公演とかやらせてもらったんですよね。
──そう思うと、今回のライブで一緒に歌えることがより楽しみになりますね。
加藤和樹:いやもう本当に楽しみですよね。ミュージカルの現場でお客さんが歓声を上げてくれたのを見て、舞台でこれだったらライブはもっとみんな声出してくれるよねって、わくわくが止まらないですから。最初に出て行って歓声を浴びたら、俺、泣くんじゃないかなと思いますもん(笑)。
──泣いてください(笑)。
加藤和樹:(笑)。これはみんな感じたことだと思いますが、当たり前とか普通のことってやっぱり普通じゃなくて。誰かや何かに支えられて今があるっていうことを、僕も含めてですが人って忘れがちなんですよね。当たり前なことほど、忘れてしまってる。だから今一度の確認じゃないですけど、今ここで歌を歌えることがどれだけすごいことなのか、今こうやってみんなが集まって同じ空間にいて声を出して、同じ時間を共有するということがどれだけ奇跡なことなのかっていうのを、噛み締めながら楽しみたいなって思います。日本もそうだけど世界を見ても、いろんな意味で、今も人間って試されてる気がするんですよ。でも、人はそんなに弱くないと思ってます。今『カム・フロム・アウェイ』っていう作品をやっているからかもしれませんけど、最終的には人間の力なんですよね。
──あの作品を拝見して、本当にそう感じました。
加藤和樹:別に派手なセットがなくても、人だけで見せることができる。ライブにしたって、そこに音楽と自分とスタッフとお客さんがいればやれちゃう。だからこそ一体感というものを大事にしたいなって思うんですよね。
──ライブがますます楽しみになってきました
加藤和樹:俺も久々なんで、本当に楽しみなんですよ。最初、ちょっとよそよそしいかもしれないですね。久々に恋人に会うみたいな感じ(笑)? 「元気してた?」みたいな。
──(笑)。
加藤和樹:でも正直、最初は様子を見ると思うんですよ。だってコロナ禍でファンになってくれた人って、ライブでのああいう僕の一面を知らないので、いきなり「おまえら行くぞー!」って言ったらドン引く可能性もあるっていう。「えぇっ、そういう感じ!?」みたいな(笑)。
──でもみんな「マシマシLove Call」で洗礼は受けてると思います(笑)。
加藤和樹:先手は打ちました(笑)。
──(笑)。しかも「流星の先へ」という、素晴らしく一体感を感じる曲も生まれてるわけですから。
加藤和樹:これも、ライブでみんなが手を上げてくれてる画が浮かびますよね。今回は端末が制御されてるLEDライトがグッズで用意されているんですけど、みんながライブを作ってるんだっていうのを実感してもらえる演出も考えてます。見えますよ、キラキラ輝く星たちが。
──この曲のレコーディングはいかがでしたか?
加藤和樹:この曲、選曲の段階では全部英語だったんですよ。そこから日本語が乗ってきたときに、前に転がっていく感じを大事にしたいなと思いました。僕が考えてることと歌詞の内容が同じベクトルだったのですごく気持ちも入ったし、言葉も前に転がる感じを意識して歌いましたね。
──聴けば聴くほど、みんな自分の中で何かが動き出したり、ぐっと上がるものがあることを感じる6曲。ぜひしっかり聴き込んで、ツアーに来ていただきたいですね。
加藤和樹:はい。今回全体的に言えるのは、みんなで歌える箇所が多いってことですね。そこは一つポイントとして大きいかなと思います。みんなで声を出せるようなアルバムになってるので、ライブではぜひ自分自身を解放して、一緒に盛り上がって欲しいなと思っています。
取材・文◎山田邦子
ミニアルバム『Liberation BOX』
■TYPE-A
TECI-1823 / ¥3,300 (税抜価格 ¥3,000)
ミニアルバムCD (3タイプ共通)+DVD
・CD
1.Retaker
2.マシマシLove Call
3.Twenty Flight Rock
4.Shake body!
5.エール
6.流星の先へ
・DVD
アルバムリード曲『Retaker』MV+加藤和樹vs青木監督『長回し1カメ映像MV』
■TYPE-B
TECI-1824 / ¥3,300 (税抜価格 ¥3,000)
ミニアルバムCD (3タイプ共通)+DVD
・DVD(Type-B のみ)
アルバムリード曲『Retaker』MV+MV撮影&ジャケット撮影ドキュメント映像
■TYPE-C
TECI-1825 / ¥3,300 (税抜価格 ¥3,000)
ミニアルバムCD (3タイプ共通)+カバーCD
・Respection (カバーCD)
1.366日
2.Another Orion
3.さよなら大好きな人
4.ひとりじゃない(Piano ver.)
▼店舗及びECサイトでの特典
https://kato-kazuki.lnk.to/Liberation-BOX-shop
購入特典対象店舗
・アニメイト
ランダムブロマイド(全3種/L判/銀袋入りランダム)
・タワーレコード
ビッグブロマイド(1種/2L判)
・セブンネット
ミニアクリルスタンドキーホルダー
・楽天ブックス
クリアポスター(A4)
・その他対象店舗(テイチクオンライン、HMV、ヨドバシカメラ、山野楽器含む)
オリジナルデザインポストカード
注意事項
※イベントご参加時の特典券対象等の御予約御購入は対象外となります。
※特典には数に限りがございます。ご予約ご購入に関するお問い合わせは各販売店までお願い致します。
※その他対象店舗は随時更新致します。
※一部、特典の取扱いが無い店舗もございます。
※特典の内容・デザインは予告なく変更する場合がございます。
▼予約イベント
2024年
4月29日
5月5日
5月6日
イベント詳細は後日解禁となります。
ライブ情報
2024年
5月21日(火)川崎 CLUB CITTA'
5月23日(木)心斎橋 BIGCAT
5月24日(金)名古屋 DIAMOND HALL
<Kazuki Kato Special Live "GIG" 2024 〜Count Down KK 2〜>
2024年5月31日(金)LINE CUBE SHIBUYA
<Kazuki Kato Concert Tour 2024 〜Respection〜>
2024年
6月20日(木)福岡 あいれふホール
6月22日(土)岡山 山陽新聞社さん太ホール
6月23日(日)大阪 ドーンセンター
6月27日(木)渋谷 さくらホール
<ブロードウェイミュージカル「カムフロムアウェイ」>
[東京公演]2024年3月7日(木)~29日(金)日生劇場
[大阪公演]2024年4月4日(木)~14日(日)SkyシアターMBS
[愛知公演]2024年4月19日(金)~21日(日)愛知県芸術劇場 大ホール
[福岡公演]2024年4月26日(金)~28日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール
[熊本公演]2024年5月3日(金祝)~4日(土)熊本城ホール メインホール
[群馬公演]2024年5月11日(土)~12日(日)高崎芸術劇場 大劇場
<加藤和樹 LIVE in the DARK tour -星空リサイタル vol.2->
2024年
8月26日(月)・27日(火)コニカミノルタプラネタリウム天空 in東京スカイツリータウン(R)
8月31日(土)福岡市科学館ドームシアター(プラネタリウム)
9月1日(日)バンドー神戸青少年科学館ドームシアター(プラネタリウム)
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