【ライブレポート】チ・チャンウク、初のジャパンツアー「みなさんのいい思い出になってくれたら嬉しいです」
ドラマに映画、ミュージカルなど数々の話題作で主役を演じ、日本をはじめとしたアジア各国で絶大なる人気を誇る“アジアの貴公子”ことチ・チャンウクが、東阪福の3都市を巡り全6公演をソールドアウトで迎えた自身初のジャパンツアー<2024 Ji Chang Wook Japan First Tour-March->を3月17日、東京・国際フォーラムで行なったファイナル公演で、大盛況のなか締めくくった。
◆ライブ写真
開演前、ステージにはスタッフが現れ、コンサートは、チ・チャンウクの日本2ndシングル「The Wind Of Spring」の振り付け、シンガロングパートを本人がいないところでみんなで練習するという、予想外の幕開けで開幕。ここで、いい感じで場内の一体感が高まった直後、客電が落ち、いよいよ本編のコンサートがスタート。
韓国メンバーで結成された生バンドとコーラスをバックに、ステージ中央から神々しいバックライトを浴びながらという、スターらしい演出でチ・チャンウクが舞台に登場。ライブはドラマ『ファーストキスだけ7回目』のOSTから「Kissing You」で爽やかに始まった。歌とともに冒頭から場内には勢いよくゴールドテープが放たれる。
「みなさん、会いたかったです!」と日本語で挨拶をしたチ・チャンウクは、声のみ出演の通訳を入れながら、ここから1人でコンサートの司会進行をテキパキとこなしていく。テーブルにあった桜の枝を取り上げ「春にツアーができて気分がいいです」と笑顔をうかべたあとは、ピアノから静かに始まるバラード「僕がいたこと」(1stシングル「あなたがいてくれた」C/W曲)を日本語で歌いだすと、観客たちは彼の叙情感たっぷりの歌声にうっとり。本国ではミュージカル俳優もこなしていることもあり、声の響きが柔らかで、なんとも心地いい。歌の実力、安定感も申し分ないクオリティー。日本語の発音も素晴らしく綺麗で、声質にJ-POPメロディーがとても似合っている。端正なルックスに演技のうまさ、そこにこの歌唱力が上乗せになるのだから、ツアーを楽々ソールドは大納得。歌い終えたチ・チャンウクは「“あなたへの想いを明日へのチカラにするから”にとても共感できました」とこの曲の魅力を説明。その言葉からも、日本語の歌詞を咀嚼して歌っていることが伝わってくる。
そして今回のツアーについて、始まった頃はまだ肌寒かったが「今日は外を歩くと汗ばむ陽気だった」と話したあと「僕のツアーが春の訪れのプロセスになった気がします」と振り返った。そうして次は、まさにその春の訪れを感じさせるようなサウンドと映像に包まれながら「Spring Is You」(日本2ndシングルC/W曲)と軽やかなボーカルにのせて届けていった。歌い終えると、ステージにあった椅子に腰掛け、このあと始まったのは、春のエピソードコーナーだった。
このコーナーは、事前に観客から募集した春にまつわる悩みなどを通訳が読み上げていくと、それに対してチ・チャンウクが直接アドバイスをしていくというもの。場内から読まれた人を見つけ出して、名前を呼び、きっちり視線を交わしながら丁寧にコミュニケーションをとってアドバイスを伝えていく姿はインパクト大。彼のファンに対する真摯な思いがひしひしと伝わってきて、場内は自然と温かな気持ちに包まれていった。
次はドラマ『アンナラスマナラ -魔法の旋律-』のOSTから「あなたは魔法を信じますか?」、続けてドラマ『奇皇后』のOSTから「蝶へ」と2曲の極上のバラードを目を閉じ、感情を込めて歌い上げると、客席からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。
日本2ndシングルのレコーディング、シューティングを捉えたビハインド映像が流れたあと、黒いジャケットに着替えたチ・チャンウクがステージ後方の2階に登場。ベンチに静かに腰かけ、月が浮かぶ夜空をバックに「君に会いたい夜」。そうして舞台中央に降りてきて、シャンデリアが灯る下、アコギのアルペジオに導かれるように声を引き出していって「愛が過ぎたら」を歌っていったところは、音楽をスローモーションで見ているようで、観客たちはどっぷりと歌の世界観に没入。歌い終えたあとチ・チャンウクは、「愛が過ぎたら」の選曲について「都市ごとにここは違う曲を僕が選んで歌いました」と観客に打ち明けた。
そして「それでは、少し前にやった『サムダルリへようこそ』から」といい、そのドラマのOSTから、「夢」を爽やかな歌声でパフォーマンス。バックにパーンと海辺の映像が広がると、場内には観客が鳴らす軽やかなクラップが鳴り響いてく。その勢いのままバンドメンバーを紹介し、バンドがジャムセッションをするようにとびきりファンキーなインスト曲を演奏しだすと、チ・チャンウクは舞台から姿を消す。
と思っていたら、2階の客席が壮絶な悲鳴でざわつきだす。「なんだろう?」と1階席の観客がキョロキョロ慌てていると、1階席後方の扉が開き、そこからなんとチ・チャンウクが登場。どうやらさっきまで2階席にいたようだ。1階席はもちろん、あっと間にものすごい熱気が立ち上がる。そのなかをチ・チャンウクは客席の縦、横にある通路という通路を端から端までゆっくり走り抜けていくのだ。しかもその間、客席から伸びる手とハイタッチをかわしたり、一緒に指ハートを作ったり、手を振り返したり、移動しながらその人に合わせたフレンドリーなファンサを素早く繰り出していく姿を見て、観客は大絶叫。そこにいるだけで存在感たっぷり。スーパースター的オーラを放つアジアの貴公子でありながらも、ファンとの距離感はこんなにも近くて親密。これも彼が絶大なる数のファンに愛される理由なのだろう。
ステージにたどり着いたチ・チャンウクは、白煙が吹き上がるなか、なにごともなかったかのようにアップチューン「君と」を、息をまったく切らすことなく熱唱したのもすごかった。「みんなの近くに行きたいと思って、走り回って見ました」とさっきのパフォーマンスについて説明したあとは、J-POPカバーコーナーへ。最初にカバーしたのは徳永英明の「レイニーブルー」だった。舞台に置いたミラーボールが雨粒のような光を降らせるなか、観客たちはチ・チャンウクにマイクを向けられ、この曲のサビを大合唱。終盤ではチ・チャンウクが突如エモーショナルなフェイクを響かせ、これには観客も熱狂しながら拍手とともに大歓声をあげていた。
彼が着ていたジャケットを脱ぎ、あの鍛え抜かれた腕が露わになった瞬間、ファンは国際フォーラムが揺れるほど大絶叫。続けて本人も大好きだと公言している米津玄師の「Lemon」を原曲を踏襲したアレンジのサウンドにのせて、体を動かしながら、ノリノリで楽しそうに歌ってみせた。歌い終えたあと「あ〜、いい曲ですね」といいながら、再びジャケットを着用すると、客席から「脱いで〜!」コールが巻き起こる。それを笑顔でスルーしながら「私も頑張りますので、これからもよろしくおます!(※「お願いします」のチャンウク語)」をここで繰り出し、ファンを喜ばせたチ・チャンウク。
そのあとは、ミュージカル『あの日々』の舞台で歌っていた「愛していたけど」の歌唱へ。サビでロングトーンを響かせ、曲後半に向けて深いビブラートをかけた張りのある声をダイナミックに場内に放っていったパフォーマンスは圧巻だった。その迫力ある歌声に観客は圧倒されっぱなし。「今回、ツアーの準備をしながら、じつはたくさん心配をしました。でも、多くのスタッフのみなさん、ファンのみなさんのお陰で大切な公演になりました」といまの気持ちを明かしたあとは、ドラマ『ヒーラー〜最高の恋人〜』のOSTからファンにも大人気の「守ってあげる」を歌って、本編を締めくくった。
アンコールの声に呼ばれ、再びステージに現れたチ・チャンウクは日本1stシングル「あなたがいてくれた」を歌唱。そうして、今回の公演のために協力してくれたスタッフに感謝の気持ちを伝えたあと「この公演が、みなさんのいい思い出になってくれたら嬉しいです。これからも一生懸命活動して、いい姿を見せていくので、その姿がみなさんの癒しや楽しみになってくれたら嬉しいです」とファンに想いを届け、最後は最新シングル「The Wind Of Spring」をアクト。
「あなたがいてくれた」から繋がるストーリーとして、“大切な人との再会”をテーマにしたこの曲を「あなたが〜」に続けてプレイするパフォーマンスは、ライブでファンがもっとも聞きたかった流れ。それが聴けたという感動で胸が熱くなりながらも、開演前に練習した振り付けと“好きなのはラテ”の大合唱を一丸となってステージに届ける観客たち。その様子を見て、バンドもチ・チャンウクもさらに白熱したパフォーマンスを繰り出し、場内の温度はここでいっきに急上昇。その興奮が沸点に到達したことを注げるように舞台では白煙が吹き上がり、再びゴールドテープが場内に舞い降りたところで曲が終わり、アンコールはフィニッシュ。熱気が残る中、みんなで記念撮影をしたあと、彼らはステージを後にした。
しかし、客席からは即座にアンコールを求める壮大な声が上がり、その熱狂に応えるようにチ・チャンウクが再度姿を表すと、観客たちは大興奮。そのなかで、予定外のアンコールとして「Kissing you」をプレゼントすると、場内はなんともいえない幸せなムードに包まれていった。そうして最後、チ・チャンウクはさりげなく投げキッスを観客に向けて贈り、自身初のジャパンツアーを大団円のなか締めくくってみせた。
3月13日にリリースした日本2ndシングル「The Wind Of Spring」と日本初ツアーで、春の訪れを注げるように来日。日本活動を行なっていったチ・チャンウク 。この後は映画『リボルバー』、ドラマ『江南ビーサイド』への出演が決定。今後もますます人気が拡大しそうな彼の詳しい最新情報は、チ・チャンウク ジャパン オフィシャルファンクラブでチェックできる。
取材・文◎東條祥恵
(c)JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub
セットリスト
02:僕がいたこと (チ・チャンウク 日本1stシングル収録曲)
03 : Spring Is You (チ・チャンウク 日本2ndシングル収録曲)
04:あなたは魔法を信じますか? (アンナラスマナラ -魔法の旋律-OST)
05:蝶へ(奇皇后 OST)
06:君に会いたい夜(原曲:Yun DDan DDan)
07:愛が過ぎたら (原曲:イ・ムンセ)
08:夢 (サムダルリへようこそ OST>(原曲:TAEYEON)
09:君と(原曲:イ・ジョク)
10:レイニーブルー(原曲:徳永英明)
11:Lemon(原曲:米津玄師)
12:愛していたけど
13:守ってあげる(ヒーラー~最高の恋⼈~ OST)
14:あなたがいてくれた (チ・チャンウク 日本1stシングル収録曲)
15:The Wind Of Spring (チ・チャンウク 日本2ndシングル収録曲)