【ライブレポート】Tele、全国ツアー追加公演で「今日は葬式だぜ! 最悪な日々の葬式だ!」

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9月から10月にかけて計6ヶ所の会場を周ったTeleの全国ツアー<Tele TOUR 2023 「祝 / 呪」>。その追加公演が12月1日、Zepp DiverCityで開催された。

今回のツアーのタイトル 「祝 / 呪」に込められたメッセージは、ライブ冒頭のオープニングムービーにて明らかになった。何度も繰り返して叫ばれる「さようなら」の言葉。Teleは、「逃げ回る日々」や、自らを「いつかとどこかに縛り付ける約束」に一つひとつ別れを告げていく。そして、「私は呪いを愛せるし、私は祝いに縋らない。」という凛とした決意の言葉が力強く響きわたる。それを合図に、力強いドラミングに合わせてTeleの「祝い」「呪い」という叫びが幾度となくリフレインされ、その上に一人ひとりの観客の手拍子が幾重にも重なっていく。そうしたドラマチックな展開を経て届けられた1曲目は、今年の春にリリースされた「ことほぎ」だ。Teleは、〈愛される権利は君にある!〉〈ああ僕らは呪いじゃなくて、馬鹿げている祝福でいたいや!〉と歌い叫びながら、この日集まった一人ひとりの〈君〉の人生を懸命に肯定していく。続く「夜行バス」における〈ああ、全ては眠れない君のために。〉という一節も象徴的であったように、今回のライブには、「音楽を通してリスナーを救う」という彼自身の深い使命感が全編にわたって貫かれているように感じられた。「ロックスター」では、フロアを満遍なく指差しながら、〈結局さ、君だけが僕に愛を突きつけていたんだ。〉の一節の〈君だけが〉に特に力を込めて歌い、目の前の一人ひとりの〈君〉との揺るがぬ連帯を確かめていく。そして、両手を大きく広げフロア全体からコーラスを引き出し、ライブ序盤とは思えないほどの熱い一体感と高揚感を生み出してみせる。圧巻のオープニングだ。





この日初めてのMCでTeleは、「最悪な日常を全て殺しに来ました。」と告げ、また、1曲目の「ことほぎ」の中でも歌われていたように、今日ここから一緒に〈次の未来へ〉進もうと観客に呼びかける。新章開幕宣言の後、「祝いも呪いも引っさげて、どこまでも一緒に来てくれんのかい、東京!」と力強く叫びながら「私小説」へ。「そんなもんかい!」「来いよ!」と何度もフロアを煽りつつ、「今日は葬式だぜ! 最悪な日々の葬式だ!」と、まっさらな未来へ向けたポジティブなエネルギーをめいっぱい炸裂させていく。「Véranda」では、自ら高く上げた手を左右に振ってフロアを指揮しながら会場全体をさらなる熱狂へと導き、続く「東京宣言」では、シンフォニックなサウンドを追い風にして、〈この歌が決して童謡にならずとも 子守唄くらいには なったらいいのにな。〉と寄り添うように歌うことで、リスナーへ向けた揺るがぬ想いを伝えていく。また、まるで長年の親友が優しく語りかけるような親密さを感じさせた未発表曲「花筏」も、心を温かく満たす素晴らしいパフォーマンスだった。





アコースティックギターの弾き語りで披露された「new born ghost」を経て、ここから2023年に入ってからリリースされた楽曲が次々と歌い届けられていく。「鯨の子」では、Teleが「おいで!」とマイクをフロアに丸々託してシンガロングを巻き起こし、そして、その大きな歌声を両手を耳に当て余すことなく受け止め自らのエネルギーへと換えながら、瑞々しいロングトーンを広々と響かせていく。誰しもが胸の内に抱く孤独や感傷を怒涛のバンドサウンドを通して昇華させてみせた「金星」に続き披露されたのは、10月リリースの「ホムンクルス」だ。自ら頭の上に手を上げて手拍子を煽りながら、〈ありふれた僕もいいんだ〉と眩い人生讃歌のメッセージを届けていく。何者でもなくてもいい。特別なんかじゃなくてもいい。特に深く力を込めて歌われた〈あなたはあなたのまま。〉という言葉は、きっと多くの観客の心に救いの言葉として響いたはずだ。









いよいよライブはクライマックスへ。「もっとあんたらの声を聴かせてくれよ!」という呼びかけを受けて巻き起こった壮大なシンガロングと共に突入した「花瓶」では、サビにおける観客の合いの手の歌声もバッチリ決まっていた。続けて、「死ぬまで楽しもうぜ! だって俺たち死なないから!」という輝かしい確信の言葉を添えて、まだ見ぬ未来へ向けて豪快に突き抜けていくロックンロールチューン「comedy」へ。観客はもちろん、バンドメンバーも歌声を重ね合わせ、会場全体が今まで以上の熱烈な一体感で満たされていく。「今日はみんなの死んだ日です。そして、明日から生きていく日です。」という言葉に続けて届けられたのは、ここから幕を開ける新しい日々を力強く祝福する「バースデイ」だ。間奏では、Teleがバンドメンバーを一人ずつ紹介しながら各々からソロプレイを求め、「聴こえない、聴こえない! ぜんぜん聴こえない!」と叫びながらさらなる激情的なプレイを引き出していく。そして自らもギターをかき鳴らしながらバンドメンバーと共に壮絶な音塊を叩きつけてみせる。本編を締め括ったのは、深く胸を締め付けるような切実な歌心を伝える「ghost」だ。アウトロでは、真っ白に照らし出された景色をカオティックな轟音が埋め尽くしていくシューゲイザー的な展開へ。まるで夢うつつの境界がゆっくりと溶けていくかのような、幻想的にして、言葉を失うほどに美しいエンディングであった。





熱烈なアンコールに応え、再びステージに登場したTeleは、観客と丁寧にコミュニケーションを重ねながら、改めて、この日集まってくれたことへの感謝の気持ちを伝える。そして、「この最悪な日々を、心の底からふざけて、陽気に楽しんでいきましょう。」「まるで、初恋のように!」という言葉を添えて、この日のライブの2日前にリリースされたばかりの最新曲「初恋」を披露する。たおやかなメロディに乗せて届けられるイノセントな歌声がとても美しく、改めて彼のシンガーとしてのポテンシャルの大きさに驚かされる。そして、「また生きて会いましょう。」という再会の約束を経て、初期の未発表曲「生活の折に」へ。Teleは、まるで残された全てのエネルギーを出し尽くすかのように歌を歌い、そして、言葉にならない感情を絶唱のような叫びやギタープレイに託して一人ひとりの観客に共有していく。アウトロでは、スクリーンにエンドロールが流れた後、最後にツアーのメインビジュアルが堂々と映し出され、今回の公演、およびツアーは美しい大団円を迎えた。

先日のZepp Shinjuku公演で発表されたように、6月1日には日本武道館公演が決定しており、また、今回のアンコールでは、それに続く形の全国ツアーが開催されることが発表された。こうしたライブ活動のスケールの拡大は、これまで彼が一人ひとりのリスナーと誠実にコミュニケーションを重ねてきた結果であり、これからもTeleは変わらぬスタンスでリスナーと真摯に向き合いながら、音楽を通した繋がり合いのスケールを拡大し続けていくのだと思う。日本武道館のステージ、そしてその先のフェーズへと歩みを進めていく彼の未来に、とても大きな可能性と希望を感じる。

文:松本侃士
撮影:後藤荘太郎

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<Tele Live Tour 2024>

2024年6月1日(土)日本武道館 OPEN 17:00 / START 18:00
2024年6月14日(金)新潟LOTS OPEN 18:00 / START 19:00
2024年6月16日(日)仙台GIGS OPEN 17:00 / START 18:00
2024年6月21日(金) 広島クラブクアトロ OPEN 18:00 / START 19:00
2024年6月22日(土)高松オリーブホール OPEN 17:00 / START 18:00
2024年6月27日(木)福岡 Zepp Fukuoka OPEN 18:00 / START 19:00
2024年6月29日(土)名古屋 Zepp Nagoya OPEN 17:00 / START 18:00
2024年7月9日(火)大阪 Zepp Osaka Bayside OPEN 18:00 / START 19:00
2024年7月15日(月・祝)札幌 Zepp Sapporo OPEN 17:00 / START 18:00

チケット料金 ¥5,800(税込)

▼オフィシャル先行
12月1日(金)21:00〜12月17日(日)23:59
https://eplus.jp/tele/

イベント出演情報

2023年12月17日(日)「MERRY ROCK PARADE 2023」・名古屋
2023年12月28日(木)「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY」・大阪
2023年12月29日(金)「Datefm RADIO GIGA 令和05」・仙台Zepp
2023年12月30日(土) 「COUNTDOWN JAPAN 23/24」・千葉  
2024年02月15日(木)ライブナタリー“くるり × Tele” @神奈川県 KT Zepp Yokohama

新曲「初恋」

2023.11.29Digital & Subscription Release
https://Tele.lnk.to/hatsukoi

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