【インタビュー】Waive、日本武道館ワンマンをもって解散を宣言…その真意を語る「明確な大義名分を掲げない限り、僕らは燃やし尽くせない」
2023年4月、正式に再結成を果たし、2025年の日本武道館ワンマンをラストライヴに解散すると宣言したWaive。「皆さまへ」と題して公開した14分強の動画では、冒頭で新曲のサビを聴かせ、メンバーそれぞれの想いも吐露した。そして、<GIGS「Burn」>と銘打ち、狼煙を上げた7月のライヴでは、終わりを見据えて一本一本を燃やし尽くそうとするアグレッシヴなパフォーマンスを見せていた。
◆Waive 画像
2005年の解散後、幾度かの再演を繰り返しながら、あくまでも“解散中”という看板を掲げ続けてきた彼らに、一体どのような心境の変化があったのか? 2025年に向けて、どんなモチベーションで駆け抜けていこうとしているのか? 10月22日からスタートするライヴサーキット<爆ぜる初期衝動>を前に、田澤孝介(Vo)と杉本善徳(G)へのロングインタビューを行い、深層にある想いを訊いた。
◆ ◆ ◆
■会場に対する思い入れというより
■広く発信していく!という気持ち
──「2025年の日本武道館ワンマンをラストGIGとして解散する」と宣言した上で、4月に再始動。ずっと“解散中”という状態を保持していたWaiveが、なぜ方針を変えたのか。そもそもの発端からお話しいただけますか?
杉本:再始動を発表した段階での最終ライヴが、2022年1月のLINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)公演<2Øth Anniversary GIG FINAL「& AGAIN」>だったんですけど、そのさらに1年前にも同じLINE CUBE SHIBUYAでライヴ<Waive 20th Anniversary Special GIG「ライヴハウス渋谷公会堂へようこそ。」>を開催していて。その1回目の辺りから既にメンバー間では、具体的に言葉にしていなかっただけで、“そろそろできなくなるのかな…”と。
──できなくなる、ですか?
杉本:言葉を選ばず、簡単に言ってしまうと、熱量が下がってきていたというか。熱を注げないほどではないんですけど、解散以降は短期プロジェクトだったので、その都度勝手に燃焼してできていたんです。それが、その短いターンで活動することに対しても意識して熱を注がないといけなくなってきたというか。“以前と同じことをやってるな”という感覚が、ステージ上だけでなく、楽屋での会話や雰囲気も含めて出てきてしまっていて。田澤くんと2人で食事に行った時に、「ぶっちゃけどう思ってる?」という話をしたんですよ。
──なるほど。
杉本:コロナ禍の規制でキャパシティーの半分しかお客さんを入れられなかったり、声を出せなかったり。いろいろと制限される中では、当時のようなライヴができないわけで。単純に我々も歳を取っていくし、若い頃の古い曲も多いし。「この状況が続く中だと、やっていく意味って何なのか分からなくなってきちゃうよね」と。思い描くものと違ったライヴが続いたことによって特に、「無理矢理ごまかしてやってる感じは、正直出るよね」みたいなところがあって。
▲田澤孝介(Vo)
──モチベーションを保つのが難しい、というのはあったでしょうね。
杉本:「じゃあ、どうすべきか?」という結論が出ないまま、2回目のLINE CUBE SHIBUYAでのライヴを迎えたんです。机上の空論を交わしているよりも、ステージ上で感じることにリアリティーがあるだろうし、そこで解決することもあるでしょう、という想いでやってみて。その結果、状況は変わらなくて。心が折れるというか、メンバーもスタッフも含めて、それぞれに人生が進んでいく中で、「チューニング必要だよね」と。
──どのようなチューニングを?
杉本:“次はどうすれば自分たちのやりたかった方向で、意味を注げるライヴができるのかな?”と考えたところ、僕の中で1つ目に出たものが、“もうここで終わりだ。と期限を決めてしまうこと”。そうしないと、たとえ終わりの可能性を孕んだライヴをしても、コロナ禍の規制で声が出せなくて、“目的を達することができなかったから、もう1回やっとくか”みたいなことを重ねていくことになる。それでは出し切れないタイプのバンドなんだろうな、と思ってしまって。もしもファンの方々に向けて「これを終わりのライヴにするよ」という日を明確につくるんだとしたら、何かに挑戦しているとか明確な大義名分を掲げない限り、僕らは燃やし尽くせないだろうなというのがあって。
──単にラストライヴと銘打つだけでは足りなかったと。
杉本:僕らは大阪から来たバンドだし、大阪城ホールとかでライヴをして大団円、みたいなものが素敵なのかなとも考えたんです。でも…この言葉で解決していいのかわからないけど、大阪ってローカルなので、「大阪城ホールやりました」と言ってうれしがっても、自分たちのエゴになってしまう。応援してくれている人たちにとって“ついにこうなったんだ!”と思えるようなライヴで、一緒にハッピーエンドを迎えられないのかなと妄想した時、“じゃあ、どこなんだろう?”と。
──明確な大義名分であり、挑戦となる場所ですね。
杉本:一番ポップで、老若男女問わず、応援期間が長い人も短い人もその目標に向かって“一緒に頑張ろうよ”と思えて、その日を終えた時…いや、迎えた時に“おお~!”という気持ちになれる可能性を見出せるのは、やっぱり日本武道館かなと。東京で同じ規模の会場は他に幾つもあるんですけどね。田澤くんと二人で会った時に、「ちょっと狂ってる話かもしれんけど、日本武道館で解散ライヴするのはどう?」と。その他にも幾つかブレスト的な提案をしたんですけど。それが一番のきっかけなんかな?
▲杉本善徳(G)
──“解散中”という状態から脱することについて、田澤さんはどう捉えていたのですか?
田澤:解散中というコンセプトを掲げて、要はそれって“壊れない”ものとしてあり続けられる“やれる時にやれたらいいよね”という状態だったんですけど、これが良くも悪くも僕らを怠くさせたのかなと。あと、コロナで心が折れたところは絶対にあるんですよ。1回目のLINE CUBE SHIBUYA公演をやって、“なんじゃ、これは? 思い描いていたものと違う。せっかくみんなと会えたのに、やりたいことも全くできない”と。“じゃあもう一回、ここでライヴしたらええねん”というので翌年、一縷の望みを託して2回目のLINE CUBE SHIBUYA公演をしたわけですけど、挫かれて。正直僕は、“無理にやっていかんでも”とその時点で思っていたんですよ。“もう一回やりたいね、という雰囲気になった時にやればええんちゃうの?”ぐらいの気持ちでいた。
──なるほど。
田澤:ただ、“やるんだったら次で終わり”とはぼんやり考えてたから、そういう意味では僕も善徳くんと一緒の感覚だったんです。でも僕は、そこまで具体的に「どう動かしていこう? どう終わらせよう?」という案まではなかった。二人で会った時にそういう話になって、背中を押す材料をいっぱい提示してもらえて。“あ、それやったらおもろそうやん?”って、一番しっくりきたのが、日本武道館で解散という案だったんです。
──経緯がよく分かりました。
田澤:なんかね、Waiveをやる意味合いが欲しかったんですよ。不完全燃焼のライヴが2本続いて、決まり切ったものというか、“なくならへんよね”みたいな安心感を演じることに対して、正直、面白味を感じなくなってきていたから。“それで喜んでくれる人がいるんだったらいいよ”という気持ちはあったんですけど、そのために時間と労力を使うべきなのかな?と考えると…使うべきではないよなと。やりたいんだけれども“やる”には至らないモヤモヤがあった。やっぱり、どうにかしたかったんでしょうね、“考えないで走る”って現状維持をしなかったということは。
──選択肢として、解散とも活動休止とも言わずに、静かにフェイドアウトするのもあり得たわけですよね?
田澤:全然、それでも良かった。
杉本:たぶんLINE CUBE SHIBUYA公演が、コロナ禍じゃなく普通にできてたら、70%ぐらいの高い確率でそうなってたと思う。
──フェイドアウトではなく日本武道館という晴れ舞台で、“Waiveというバンドが存在した”と歴史に刻んで解散することは、Waiveを愛するファンの皆さんにとってもすごく良い選択だと思いました。
田澤:僕は、日本武道館という案をもらって、「いいね」と乗っかったまでで。会場に対する思い入れというよりは……明らかに僕らのことを知らない人に向けてもアピールしないと形にならないライヴなわけで。それがエンジンになるというのがあります。“広く発信していくんだ!”という気持ちを持たなければ進んでいけないので。
──それが良い刺激になると?
田澤:うん、そうです。“このままじゃあかんよね”という部分に目を向けることになるから。だからと言って全部変えてしまうと、それはそれで違うし。そこを悩むのがちょっと面白そう。“また喧嘩するかも”みたいな(笑)、あくまでも前向きな意味でね。ぶつかっていくというのはそういうことだという気がするから。“生命力が満ちてきた”みたいな感覚になりそうです。というのも、違うプロジェクトをいっぱいやってるからこそわかる“Waiveというバンドの良さ”をやっぱり感じていたので。他のどこにもない良さがWaiveにあるから、知っている人だけで楽しむのはもったいないんじゃないかなって。僕の中で、“日本武道館をやろうよ”っていうことと、その気持ちはイコールだったんです。
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