【インタビュー】HYDE、ギャングコーラスが躍動する新曲「6or9」完成「やっぱりメインはライヴで、そこに僕は自信がある」

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■盛り上がるけれども、ちゃんと一線はある
■その距離感の調節の仕方がライヴの戦いの部分


──「6or9」の話に戻りますが、ラップパートに入る直前に、笑い声や、“yeah……”と囁く低い声には、HYDEさんらしい気怠い色気が滲み出ていました。

HYDE:そうそう。結構、合理的にレコーディングすることが多いから、部分的に録っていって、それで終わってしまうことも多くて。そういう遊びの部分って結構大事なのになと思ったから、今回あえて残していますね。

──この曲にはどこか呪術的な魅力があって、絡め取られていくような妖しいムードはライヴでも感じていました。

HYDE:そのニュアンスは、インドっぽいというか、中東っぽいというか、あのメロディーから感じるのかもね。

──そうなんです。音階的にインドとかオリエンタルスケールのようなものを感じますが、その要素はHYDEさんの中に、もともとイメージとしてあったものなんでしょうか?

HYDE:“サビをもっと盛り上げたいな”と思った時に出てきたかな。“♪Wo Wo Wo Wo~”はもともとあったんですけど、あれにプラスして、メロディーを足したくて結構考えました。


──前回インタビューは5月にさせていただきましたが、声出し解禁ライヴを目前に控えたタイミングでした。6月に開幕したツアー<HYDE LIVE 2023>は8月の仙台でライヴハウスでの公演は完走。コロナ禍の規制が撤廃された声出し解禁ライヴツアーとなりましたが、終えてみて手応えはいかがですか? 

HYDE:やっぱりすごくパワーがありましたよ。最初っからみんなすごかった。

──すごい熱気でしたよね。やはり3年半にわたる規制からの解放感であり、エネルギーだったんでしょうか。 

HYDE:うん、そういうのもあるでしょうし、ファンの子はやっぱり僕を喜ばせることが喜びだったりするじゃないですか。僕自身も誰かのライヴに行ったら、その人に喜んでもらいたいし。そういう国民性かもしれないですね。ファンの子たちは、デカい声を僕が欲してると思ったらデカい声を出してくれてたし。だから、そこに遠慮がなかったのが良かったですね。いきなりお客さんだけで歌うシーンもあったけど、すごいと思った。

──2階席の通路にHYDEさんが突如現れて練り歩き、ファンの方たちに接近してパフォーマンスする大胆な演出もありました。今ちょうど、世を騒がす事件も起きていますが、HYDEさんとファンの方との間に信頼関係があるから可能なのだろうな、と思いながら観ていたんです。

HYDE:信頼もあるんですけど、絶妙な、精神的な距離感が必要だと思うんです。突き放すライヴだと盛り上がりきらないと思うんですよ。でも、歩み寄り過ぎると、今度はファンにナメられるんです。そうなってくるともうその空間を操縦できなくなっちゃう。いい距離感…盛り上がるけれども、ちゃんと一線はあるという、その距離感の調節の仕方が、僕はライヴの戦いの部分だと思ってるんです。あの距離感をつくってるのは僕の責任でもあるし。もちろんファンの子への信頼もあるけど、その信頼をつくるのはアーティストだと思っています。

──HYDEさんの場合は、触れさせない何かを醸し出している、ということでしょうか?

HYDE:僕も触られますよ。あれだけファンの近くに行ったら“触って”と言っているようなものだからね。でも、僕が2階席に行ってお客さんがもしワーッ!と来てしまったら、もうパニックになって、ライヴも中止になりかねないじゃないですか。だから、席を離れたり“動いちゃいけない”っていうオーラはやっぱり僕が出さないといけないんですよ。

──場を掌握する、毅然としたオーラですね。

HYDE:そういうのも必要だし、厳密にそれが何なのかを言うのはなかなか難しいけど、やっぱり距離感というのはあると思います。

──さすがです。誰にでもできることではない、とやはり思います。

HYDE:その時々のファンによっては、やっぱり僕も難しい時はありますけどね。


▲<HYDE LIVE 2023>

──ツアーの最中だった7月29日には、秋田県男鹿市で開催された<OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.12>の初日に出演されました。前回インタビューで「なまはげを一回観たいんですよね」とおっしゃっていましたが、現地で実際にご覧になっていかがでしたか?

HYDE:いやぁ、すごい迫力がありました。でも、やっぱり今度は真冬に見てみたいですね。

──屈強なアーティストが集まるワイルドなフェスで、ご出演前は「俺なんかが出ていいの?」と心配されていましたが、舞台裏からも客席からも受け入れられていましたよね。

HYDE:そうですね。みんなに親しくしてもらえて楽しかったです。僕の出演は1日目だったんですけど、2日目には<RUMBLE FISH>で対バンしたバンドが結構出演していたので、“2日目も観たいな”と思って僕だけ残ったんですよ、バンドメンバーやスタッフはほとんど帰ったんだけど。でも、知り合いはいないし、PABLOも帰っちゃうから、山嵐の武史くんに「延泊したらかまってくれる?」って訊いたら、「喜んで!」と返事が来たから「じゃあ延泊しよう」と思って。2日目もステージ袖でずっとライヴを観ていたり、飛び入りで歌ったり、打ち上げも最後まで残ったりして、楽しかったです。

──その打ち上げは、各アーティストによる「HONEY」のカバー祭りだったそうですね。

HYDE:そうそう。1日目の打ち上げはみんなが「HONEY」を順番にいろんなバージョンで歌い出して、すごく面白かったです。途中でインストの「HONEY」も始まって(笑)。

──そこではまた、新たな出会いや交流も生まれたのですか?

HYDE:うん、いろいろありましたね。みんな話し掛けてくれるし。向こうが僕を先輩だと思ってるだけで、僕はあんまり後輩だとは思ってないから、仲間というか、一緒にライヴした人とは壁もないので。いろんな人と話しましたね。

──来年も参加されることを楽しみにしています。そして8月11日には、千葉市蘇我スポーツ公園で開催された<ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023>にも出演されましたが、いかがでしたか?

HYDE:そっちのフェスではももクロくらいしか話す人いなかったけど(笑)。

──後輩のMUCCのステージを観に行かれていて、優しいなと思いました。

HYDE:いやいや。“どんなもんかな?”って(笑)。

──どんなもんでしたか(笑)?

HYDE:ちょうど炎天下の時間だったから、すごい暑そうでしたけど独特なノリが勉強になりました。ロッキンはロッキンで、すごく統制されたというか、<男鹿フェス>とは逆に、クリーンな感じの巨大なフェスなので、また違った雰囲気で面白かったですね。僕たちなりの傷跡を残せたかな?とは思います。

──ワンマンライヴツアーの間に出演するそういったフェスでは、魅せ方を意識的に切り替える部分はあるのでしょうか?

HYDE:いや、特にないですね。ただ、演奏時間が短いので、みんなそこに凝縮した自分たちのいいところを出してくるじゃないですか。だから、メニューをガッチリ組んでいるぶん、あとは体力勝負なんですよ。本当に連続してやっていくだけのステージだと、息が上がっちゃう。そこに気を付けつつ、いかに記憶に残るライヴをするか。

──フェスに出演なさって得たものは、ワンマンライヴにも活かされるんでしょうか?

HYDE:うーん、それは分からないな。ただ、フェスに出ると他の出演者のステージを観られるから、その体験は活かされますよね。“あぁ、こんなパフォーマンスをしてるんだ”とか、楽曲によってお客さんの狂い具合が違うのを観て、“あ、こうなるんだ”とか。フェスはそういうのもすごく勉強になるし、吸収できるものはしたいと思っています。

──これはいつも思うことですが、HYDEさんにとっては、誰と会っても何を観ても、全て刺激になり勉強になるのですね。

HYDE:そうですね。ナメて掛かると良くないですよね、当然。それこそ<RUMBLE FISH>の時に思いましたけど、やっぱりそれぞれにみんないいところがあるので。

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