【対談・短期連載Vol.4】ガラとテツ(メリー) × KOHTA、<魑魅魍魎2>さいたま公演直前に語る「近寄れない空気感があった」
■KOHTAさんがソロをやるとしたら…
■僕が勝手にイメージしてたものと違ってた
──では、同じベースプレーヤーとして、テツさんから見てKOHTAさんはどういうベーシストだと思いますか?
テツ:メリーのラストインディーズツアー(2005年)のとき、「俺のベース、調子いいですよね」みたいな話をテックさんにしたんですよ。そうしたら「いや、まだまだだよ」みたいなことを言われて。悔しくて、「じゃあ、誰のベースがすごいんですか?」って聞いたら、「PIERROTのKOHTAさんを一回見てみろ」って。
KOHTA:はははは。
テツ:テックさんは音に関するプロ中のプロなわけで。そういう人がいったいどういう目線で評価してるんだろうって、チェックするようになったんです。そうしたらKOHTAさんはベーシストとしてのツボを心得ているんですよね。たとえば、ステージの上ではキリトさんもガラさんも共通した狂気があると思うんです。その横で、ベースをぶん回してる人がいたら、客席の視線がいろいろな方向へいっちゃうじゃないですか。KOHTAさんは、大きくステージを支配しているんだなって思いましたね。
KOHTA:いやいや、それは初めて聞きました(笑)。テツくんと僕はタイプがまた違うと思うんですよ。テツくんは立ってるだけでスタイリッシュというか、雰囲気があるというか。僕もテツくんぐらいシュッとしていたら、もうちょっと静かなスタイルだったかもしれないですけどね(笑)。
テツ:自分はちゃんとプレイヤーとして筋肉があるベーシストに憧れてました。
KOHTA:どちらかというと僕は、髪の色を少し派手にしたりパフォーマンスで見せるタイプ。そこはもう、ないものねだりをしてもしょうがないんで、今ある武器で戦うしかないなっていうのが当時からありましたね。
──ガラさんはいかがですか?
ガラ:単純に立ち姿がカッコいいとか、弾いてる姿がカッコいいとか、僕はそういうベーシストが好きなんですよ。テツさんをメリーに誘った時点では、上手いのか下手なのかわかんなかったんですけど、ステージに立ってるだけでいいって思ったんですよ。見た目だけでいい、デカい人がいいなって。
KOHTA:そういうインスピレーションは大事だよね。
▲テツ
──では<魑魅魍魎2>に、ソロ活動をスタートさせたばかりのKOHTAさんに声を掛けたのは、どういう思いがあったからですか?
ガラ:この<魑魅魍魎2>は、自分たちが戦ってみたい人、刺激をもらえる人とやるっていうのが一つのテーマなので。「誰とやりたい?」ってみんなで候補を挙げた時に、「KOHTAさん、どうかな?」って言ったのがテツさん。“KOHTAさんってマジか…”って……僕の頭には全然なかったんですよね、さっきも言ったようにPIERROTって目標でしたし。でも、それからKOHTAさんのYouTubeとかで、ソロになってベースを弾きながら歌っている姿を見た時に、これは一緒にやってみたいって思ったんです。
KOHTA:嬉しいですね。
ガラ:僕はずっとヴォーカルなので、弾きながら歌うってやっぱり大変だと思うんですね。しかも、第一線でベースを弾いてきた方が弾きながら歌う……立ち位置が全然違うわけじゃないですか。ぶっちゃけ、楽器の人がヴォーカルに転向しても、あんまりカッコよくないなってこともあるんですよ。だけど、KOHTAさんがベースを抱えてセンターに立っている姿を見た時に、雰囲気があるというかオーラをまとってるというか。そういう感じがして、“ぜひKOHTAさんと一緒にやってみたい”と思ったんです。僕が勝手にイメージしていた“KOHTAさんがソロをやるとしたらこういう感じ”っていうのとは違ってたんですよ。
──そのイメージとは?
ガラ:もう少し打ち込みとかが多くて、音で乗らせるような感じかなと思っていたんですよ、歌を聴かせるっていうより。そうしたら必要最小限のバンド編成で、曲も骨太でメッセージ性があって、一直線にドカーンっていう感じだった。こんなにストレートなぶちかまし系だとは思ってなかったんです。純粋に興味が沸いたというか、間近で見てみたいと思ったんですよ。
KOHTA:光栄です。
テツ;僕もガラさんと近い印象なんですけど、KOHTAさんのYouTubeの一発目だった「TERMINAL01」は、音的にダンサブルな感じだったので、“KOHTAさんはこういう方向でいくんだな”と思ったんです。だけど、MVを見たらすごい骨太感があったし、いい声をされてるなっていう印象もあった。
ガラ:カラフルな感じというよりもモノクロ感というか。
テツ:そうそう。やっぱり<魑魅魍魎2>は未知であればあるほど面白いところもあるので、defspiralみたいにずっと一緒にやってきた盟友とは、真逆に振り切ったところにKOHTAさんがいると思うんですよ。だから、僕たちはどうなるんだろうな?って。その日ぶつかって、どうなるのかがまったく想像つかないところが楽しみですよね。
▲KOHTA
──KOHTAさんは声を掛けられた時、どんなことを思われましたか?
KOHTA:メリーはずっと第一線で頑張ってて、僕はいきなり一人になったばかり。いいのかな?と思いつつ、自分自身も飛び込んでみたいなと思いました。でも圧倒的に不利じゃないですかね(笑)。
ガラ:そこに飛び込んでくるのが、もうカッコいいですよね。
KOHTA:明らかに不利だけど、誘ってくれたのもすごく嬉しかったし。そこで自分もまた一歩新しい世界を見せられたらいいなと思って、ありがたくお引き受けさせてもらいました。
──2022年1月のAngelo無期限活動休止後、ベーシストとして新しいバンドを組むわけではなく、ソロでやること、ご自身で歌うことを選択されたのは、どのような理由だったんですか?
KOHTA:なるべく時間を空けずにみんなの前に立つためには、ソロをやるのが一番速かったということなんです。僕はバンドで育ってきた人間なんで、当然バンドが好きなんです。だけど、ソロで出ていくしかないってタイミングであれば、それなら自分の思うことや好きなことを精一杯表現しようと。
──フロントマンとして歌うことについては?
KOHTA:歌に関してはド素人なんで、すべてが挑戦ですよ。はっきり言って、歌に関する自信なんて何一つない。ガラくんが今言ってくれたように、思っていることをストレートに伝えるしか、僕には手段がないんです。そこはもう素直にさらけ出して、見てくれるみなさんに反応を委ねようと。そういう意味でソロはがむしゃらというか、バンドとは全然ベクトルが違いますよね。
ガラ:ベースプレーヤーだったKOHTAさんが、ソロとして表現者になる。その始まりが観られるってことはすごく貴重な機会だと思いますし、今を逃すと観られない瞬間ですよね。
KOHTA:そうですね。まだソロのステージは二回だけだから。三度目にいきなり山場がきました(笑)。いくらバンドが有名だったとしても、ソロになってから声を掛けてくれるってなかなかないことだと思うし、メリーは器が大きいなって。
ガラ:歌っているKOHTAさんとの対バンを想像した時に、ワクワクしかなかったんです。“KOHTAさんにこんな一面があったんだ!”とか、未知の部分が見られるってラッキーじゃないですか。「そういう姿が観れるんだよ! 君たち!」って来てくれる人たちに言いたい。
KOHTA:キャリアがどうとかじゃなく、単純に一人になった僕に興味を持ってくれて嬉しいですね。僕は先輩かもしれないけど、“一人でしょ? 負けねえよ”ぐらいな感じで全然いいんです。そうじゃないと、2組でやる意味も希薄になるから。メリーも僕もそれは望んでない。その上で、僕も一緒にやらせてもらうことによって、自分自身が成長できる。そういう場でありたいなと思います。
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