【対談・短期連載Vol.1】メリーのガラ × [ kei ]、イベント＜魑魅魍魎2＞開幕直前に語る「初日の客演は一番刺激をもらえる人」

メリー主催2マンイベント＜魑魅魍魎2＞が5月7日の三宿公演を皮切りに幕を開ける。発表となった全公演のゲストは世代を超越して、そう滅多にはみられない組み合わせでもある。初日5月7日の三宿BRANCHに[ kei ]、6月4日のHEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1にdefspiral、7月22日の京都磔磔にumbrella、8月13日のHEAVEN'S ROCK さいたま新都心にKOHTA、そしてファイナルとなる8月27日の本八幡ROUTE14にgibkiy gibkiy gibkiyを迎えるなど、シーンを跋扈するバンドとの共演は文字通り、得体の知れないものとなるはずだ。

◆ガラ(メリー) × [ kei ] 画像

BARKSでは＜魑魅魍魎2＞全5公演の対バン相手との対談を連載していく。その第一弾は、初日公演に招いた[ kei ]とガラとのトークセッションだ。同じ事務所に所属する同時代を駆け抜けてきた先輩後輩であり、シーンを独自の視点で生き抜いてきた2人ならではの対談は、これまであまり語られることのなかったメリーとBAROQUEの誕生前夜にまで遡る深く濃いものとなった。過去から現在が浮かび上がる貴重でロングなトークセッションをお届けしたい。


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■DIR EN GREY〜メリーっていう流れが
■“フリーウィル・オリジナル”なんです

──メリー主催の2マンツアー＜魑魅魍魎2＞が5月7日よりスタートします。初日の客演は[ kei ]さんです。メリーと、[ kei ]さんがいたBAROQUE(2020年無期限活動休止)とは、バンドの成り立ちからご縁がありますよね。

[ kei ]：ガラさんとネロさん、BAROQUEの万ちゃん(万作)が一緒にやっていたAfter Effectというバンドと、結生さんとBAROQUEの晃くんがやっていたShiverというバンドがあって。簡単に言うとその2つのバンドが分裂してメリーとBAROQUEができたんです。だから兄弟バンドみたいな感じなんですよね。今まであまり聞いたことがなかったんですけど、なんでそういうことになったんですか？ “この人とは気が合わない”とか“方向性が違う”みたいなことがあったんですか？

ガラ：……うん（笑）。

[ kei ]：ですよね（笑）。

ガラ：最初はやっぱり良かったんだけど、仲は悪かったね。2年もやってないからね。

[ kei ]：でもすごくカッコいいバンドだったんですよ。その頃僕は中学生で、ちょうどバンドを始めた頃で。関東のシーンに出てきたAfter Effectを“めちゃくちゃカッコいいな”って観てました。After Effectが参加したオムニバスCDとか、いろいろ音源を入手するぐらい。その時からやっぱりヴォーカルが特に印象に残っていて。たぶん覚えてないと思うんですけど、ガラさん一回僕に電話してくれたことがあるんですよ。

ガラ：え？

[ kei ]：やっぱり覚えてない（笑）。After EffectとShiverが解散することになって、それぞれのバンドが関東のシーンの中でメンバーを集めようとしていたんですよ。

ガラ：あの頃いっぱいバンドはいたけど、“カッコいいな”と思う人とか、目立つ人がそんなにいなくて。[ kei ]はめちゃくちゃ若かったけど、当時からステージに上がったら華があったし、“こいつはすげえな”って気になるギタリストだったんで。でも、声を掛けて一緒にやってないっていうことは、その時断られたってことか（笑）。

[ kei ]：確か、結生さんは決まっていて、もう一人ギタリストを探していたと思うんですよ、健一さんが入る前に。たぶんいろんなギタリストに声を掛けて、感触を探っていたんだと思います。

ガラ：[ kei ]も怜の声に惚れ込んでたから、たぶんそういう感じだったのかもしれない。

[ kei ]：そうですね。BAROQUEのほうは万ちゃんと晃くんが、僕がやっていたkannivalismにヴォーカルだけを引き抜きに来たんですよ。ギターは万ちゃんたちと同じ世代の人でやる予定だったんですけど、僕としてはヴォーカルを引き抜かれてしまって、“どうしよう？”みたいな感じで。そんな時にガラさんから連絡をもらったのかな。結局その後、僕もBAROQUEに入ることになるんですけど。

ガラ：俺も万ちゃんと「お互いまたバンドを作って頑張ろうぜ」みたいな熱い話を最後にしていて、その時に万ちゃんが「お前以上のヴォーカルを見つけるのはなかなか大変だから、いつバンドができるかな？」なんて言ってくれて別れたのに、その半年後ぐらいにBAROQUEが結成されて。“わりと早く見つかったな”っていう（笑）。で、BAROQUEって出始めからすごかったじゃん。一緒にやっていたメンバーがそんな感じになっていったから、俺も乗っからないとやばいなっていう気持ちでメンバー探しをして。だからやっぱりいつも意識はしていたよね。


──だから結成年が同じなんですね。

[ kei ]：たぶん2ヵ月差ぐらいですよね。

ガラ：俺らが2001年の11月で。

[ kei ]：僕らが2001年の8月で。ちょうどその秋頃にBAROQUEの初めての主催イベントがあって、そこに出てもらった覚えがあります。

ガラ：うん、そのひどいイベントのことは未だに忘れられないよね。

──どんなふうにひどかったんですか？

ガラ：俺らはまだ名前を出して活動してなかったんですけど、「どうしても出てくれ」って言われて。BAROQUE主催で、繋がりもあるし、この事務所(フリーウィル)だしっていうことで、シークレット扱いで出させてもらったんですよ。なのに、なぜかトリっていう（笑）。もう完璧にやられたなっていう。だから忘れられないですよ。

[ kei ]：それは誰が決めたんだろう？ たぶんメンバーが決めたわけじゃないと思うんですよ。たぶんレーベルの人ですね。ガラさんのこともよく知っている人で。でも、確かによく考えたらおかしいですよね（笑）。

ガラ：俺らも「シークレットじゃなきゃ厳しい」とは言ったけれども…みたいな（笑）。そこからBAROQUEはすごいスピードで上がっていって、絡むことがなくて。

[ kei ]：よく話に出るんですけど、ガラさんと同世代の逹瑯(MUCC)さんや大佑(蜉蝣)さんとかいらっしゃったじゃないですか。僕からしたら先輩でお兄さんだったんですけど、その人たちにものすごい嫌われてたんで（笑）。

ガラ：だって、生意気とかとんがってるとか、そういうのじゃなかったよね。もう、めちゃめちゃだったから（笑）。

[ kei ]：でもガラさんは僕がやんちゃだった時のことを知らないはずなんですよ。そんなにしゃべったことがなかったから（笑）。

ガラ：まあね、噂だけで。

[ kei ]：実際に会うとこんな感じなんですよ（笑）。僕はさっき言ったみたいにAfter Effectを10代の頃に観ていて、バンドに自分が入って立場的に一番年下だっていうのもあったから、同じバンドにいてもちょっとした憧れみたいな気持ちがあるわけですよ。そうなると、どうやってもそのまんまではステージに上がれないじゃないですか。だからちょっと自分で洗脳しましたよね。“何も感じないようにしよう”というか。憧れみたいな気持ちを持っていると同じステージに上がれないので、そういう意味でシャットダウンしてしまっていたのもあるかもしれないですね。

──内心はそうだったんですね。あの頃の[ kei ]さんは無敵感がありました。

[ kei ]：たぶん無敵に見えていたんでしょうけど、それは弱さとか怖さからだったんですよね。

ガラ：それをちゃんと出せるアーティストもなかなかいないからさ。それからメリーもこの事務所に入ったりして、それぐらいからご飯を食べたり飲みに行くようになって。

[ kei ]：よく覚えているのが、メリーがフリーウィルに戻ってくるというか、帰ってくるっていうタイミングで、薫さん(DIR EN GREY)と一緒に飲みに行った気がする。そこでゆっくりお話したのが最初でした。

──確かメリーがフリーウィルに入った頃は、[ kei ]さんはkannivalismの活動をしていた頃で、「カニ(kannivalism)ってすごい贔屓されてない？」ってガラさんが言ってたのを覚えています（笑）。

[ kei ]：この事務所の中でも異質でしたからね（笑）。

ガラ：DIR EN GREYがいて、kannivalismが可愛がられてて、大佑くんは違う意味で可愛がられていて、マスコットみたいになっていて（笑）。“なんだ？この事務所は”って思ったのを覚えています。もう、長老なんじゃない？

[ kei ]：DIR EN GREYの次に長くいますから。もう22年とか。だから冗談で言うんですけど、僕は中学卒業して次の年にフリーウィルに入ったから、フリーウィル・ジュニア出身なんですよ（笑）。

ガラ：ジュニアがあったんだ、フリーウィルに（笑）。

[ kei ]：あとShinyaさん(DIR EN GREY)も。10代でフリーウィルに入ってるから。

ガラ：そうなると、俺も(DIR EN GREYの)ローディーをやってたから、ジュニアにはなれてないけど……。

[ kei ]：練習生で（笑）。

ガラ：練習生でジュニアになれず。

[ kei ]：大人になってからバンドで戻ってきた、みたいな（笑）。だから僕からすると、メリーは“フリーウィル・オリジナル”なんですよ。僕も長くはいますけど、でもやっぱりDIR EN GREY〜メリーっていう流れが、“フリーウィル・オリジナル”なんです。

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