【対談 #1】逹瑯(MUCC) × YOMI (NIGHTMARE)が語る、<悪夢69>と歌うこと「10年前のアドバイスを今でも守っているんです」

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■こういう歌い方もできるんだ!?って
■俺のイメージの中になかったから


──長いキャリアの中でバンドが様々なアプローチを試みて変化してきた中で、ご自身のヴォーカルスタイルはどう変わってきたと思いますか? ターニングポイントなどありましたか?

逹瑯:あまりそれは分からないんですけど。今、質問の中にあったみたいに、いろいろな曲をやるから、そのたびにヴォーカルとしても、やったことのないアプローチをしなきゃいけないんですよ。そういう曲が出来上がってくるから、“演奏できません”とか“歌えません”ではその曲にならない。“できるように、歌えるようにしていく”というのがバンドのスタンスなんです。強制的に引き出しを増設するしかないというか。そういう中で振り幅が広がったりするし、毎回一個一個こなしていっている感じだから。

YOMI:わかります。

逹瑯:コロナ禍になってMUCCは、レコーディングとかプリプロの方法が変わったんですよ。以前はみんなで一緒にバーッとやっていた作業を、個別でするようになって。サポートドラマーが曲を覚えるための期間ができた影響もあって、俺としてはそのタイミングでキーの検証をしたり、“あ、ここ気を付けなきゃな”とか、考えながら仮歌を入れるようになって。その曲とのシンクロ度合いが自分の中で以前よりも高まったというか。だからレコーディング本番の歌録りもスムーズになったし、歌に対して“楽しいな”と思えるようになったのは、ここ最近かもな。


▲逹瑯(MUCC)

YOMI:自分は、個性的な声を持っている人が好きなんですよ。歌い方や、元の声の部分でも。MUCCの曲は、街で流れていたりネットやテレビから流れてきたりすると、“あ、逹瑯さんだ”とか“MUCCだ”って、やっぱりすぐに分かるんです。曲とか歌が聴こえてきただけで、“あ、NIGHTMAREだ”と思ってもらえるような、個性のあるヴォーカリストになりたいと当初から思っていましたね。変化とかターニングポイントで言えば、自分の場合は昔、すごくヴィジュアル系っぽく歌っていたんですね。でも最近はわりと、変なクセみたいなものを逆に抜く作業をしているんです。ヴィジュアル系を好きじゃない子にも、カッコいいと思ってもらえるような歌にしていこうと。ちょっとずつクセを抜いてるところです。

逹瑯:意識したら、全くビブラートを掛けないで歌える?

YOMI:意識すれば歌えますけど、意識しないとやっぱりビブラートが入っちゃいますねぇ。

逹瑯:じゃあ、“全くこの曲はビブラートを一回も掛けません”みたいなこともやってるの?

YOMI:それはまだやったことないですけど、咲人からはレコーディングの時に結構細かく「ここはビブラート入れないで」とか、逆に「ここはちゃんとビブラート入れて」とか、結構指定がきますね。

逹瑯:うちはビブラートの指定なんてきたことないなぁ、一回も。

YOMI:咲人は「四拍目からビブラート掛け始めて」とか言うんですよ(笑)。

逹瑯:うわ、すごっ! 細かっ! そもそも俺はちゃんとしたビブラートは掛からないんだよね。

YOMI:この間、MUCCとNIGHTMAREのメンバーで特番生配信させていただいた時に、ミヤさんから「昔よりもいいふうにYOMIの歌は変わってきてると思う」みたいなことを言ってもらえたんですね。それがすごくうれしくて。“あぁ、これでいいんだ”って、自分の成長をそこでちょっと感じることができました。

──逹瑯さんも、YOMIさんの「FAREWELL」の歌い方を「優しい」と評して褒めてらっしゃいましたよね。

逹瑯:うん、“こういう歌い方もできるんだ!?”と思って。俺のイメージの中になかったから。


▲YOMI(NIGHTMARE)

──新しい歌い方ができることは喜びなんでしょうか?

YOMI:どうなんですかね? 探り探り、自分の中では正解が分からない状態でやっているので…メンバーに「いいんじゃん」と言ってもらえたり、それこそ逹瑯さんとかミヤさんとかから「いいね」と言ってもらえた時に“これでいいんだな”と思える。そんな感じですかね。

──MUCCの「99」のMVを観て、YOMIさんは「対バンに向けてビビッた」とおっしゃってましたが。逹瑯さんの歌をどう感じたんでしょうか?

YOMI:昔は逹瑯さん、あんなにシャウトしてなかったと思ったんですよ。わりと歌メロがしっかりしているというか、シャウトしているようなイメージではなかったので、“今のMUCCはこういう曲が多いんだな”って。

逹瑯:俺も普通に歌うほうが好きだからね。シャウトは好きじゃない。だって疲れるもん。

YOMI:僕はライヴとかではシャウトするんですけど、NIGHTMAREの場合、基本的に音源には入れないですね。コーラスで入っていることはあるんですけど、主旋律にシャウトはないかな。

逹瑯:柩がやるから必要ない?

YOMI:そうですね、柩はわりとやってますね。でも俺は、シャウトしている逹瑯さんの声はめっちゃ好きっすね。

逹瑯:あ、そう?

YOMI:この間も撮影でご一緒した時に「シャウトの練習はしてるんですか?」とか、いろいろ訊かせてもらったんですけど。

逹瑯:リハーサルの時にいろいろ試してみるぐらいかな。何日か連続でリハするから、同じ曲を何回もやるわけじゃん。自分の頭蓋骨の中で鳴ってるイヤモニから聴こえてくる音と、録音した音を聴くのとではやっぱり違うから、“あ、こう聴こえてるんだ”というのを毎回確認して。“今日はこういう感じで歌って、それが録音ではこう聴こえてるんだったら、次はもうちょっとこのへんを鳴らす感じで歌ってみたらどう聴こえるかな”とか。シャウトもそうだけど、ファルセットの聴こえ方も最近はいろいろ試してるかな。

YOMI:へ~!

逹瑯:ヴォーカリストとして特に心掛けてることってある?

YOMI:最低限、作曲者の“こう歌ってほしい”という要望はしっかりできるようにしたいというのと。あとは、ライヴの歌をもう少し鍛えていかないといけないとは思っています。体調によって若干声の出方が変わってきちゃうので、体調の管理や喉の管理はいつも気を付けていますね。

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