【インタビュー】Petit Brabancon、京が語るEP『Automata』「初期衝動から次へ向かう先」

■本当に感覚の人間なので
■作り込んだりするタイプの人間じゃない

──次はyukihiroさんの「surely」という曲です。本当にyukihiroさんらしい曲で、これをPetit Brabanconらしくやるにはどうすればいいのか、というのが一つのテーマだったと思うんですけれども。京さんとしてはどういうふうにお考えになりました？

京：僕は、“yukihiroさんが狙っているポイントはここなんじゃないかな”っていうイメージというかカギがあったので、そのイメージと、自分の持っていた第一印象のイメージがうまく融合して歌のレコーディングを作った感じです。普通の歌なんですけど、そこで声の出し方を普段より低く設定したりとか。あと、今回のEPのジャケットのイメージが、この曲だったんですね、僕の中では。

──ジャケットデザインがこの曲と結びついているということですか？

京：僕の中では。


──このジャケットの絵は京さんのアイデアなんですか？

京：そうです。

──ほう。めちゃくちゃ良いですね、このジャケット。

京：良いですよね。ここに行き着くまでがすごく大変だったんですけど。

──台湾のイラストレイター／タトゥーアーティストの群さんという作家ですね。

京：前から知っていて。デザイナーから、いろんなジャンルの絵描きの人とか造形作家とか、いろいろ見ているんですけど。今回のテーマにすごく合っているなというのが自分の中であって。その中でもある意味、あまり見たことのない絵を描いてくれそうだなと思ったので。

──yukihiroさんの曲と、このジャケットのイラストレーションが繋がっているイメージがあった。そこで京さんが感じたものというのはなんだったんですか？

京：うーん、言葉ではなんかうまく説明できないんですよね。たぶんこんな感じの歌をイメージされてるんじゃないのかな、と。

──じゃあyukihiroさんから、具体的な指示があったわけではなかった。

京：はっきり覚えていないですけど、なかったと思います。うまく説明できないですね。軽くない感じ。歌が遊んでいない感じ。

──というと？

京：僕、そんなに難しいことを考えないんですよね。本当に感覚の人間なので。そんな、考え込んだり作り込んだりするタイプの人間じゃないので。はい。

──感じたままに歌ってみたという。

京：うん。

──でも、こういうyukihiroさん色の強い曲であっても、京さんが歌えばPetit Brabanconの世界になるということなんでしょうね、きっと。

京：…どうなんですかね。わからないです。違うヴォーカルの人が歌ってもPetit Brabanconになるかもしれないので。


──いやいや、そんなことはあり得ないですよ（笑）。5曲目がまたantzさんの「Common destiny」っていう曲なんですけれど。antzさんによれば、京さんから「デジタルロックっぽい感じでできないか」っていうふうなリクエストとかアイデアがあったとお聞きしたんですけど、そうなんですか？

京：すみません、覚えていないです（笑）。

──覚えていないですか（笑）。

京：覚えていないんですよ。すぐ忘れるのですみません。でも最終的にカッコよかったらなんでもいいので。

──そういうデジタルっぽい感じの曲で歌ってみたいという気もあるわけですか？

京：そういうので、歌ってみたい…歌ってみたい…うーん……(と思案)。

──Petit Brabanconにそういうのがあっても面白いんじゃないかという。

京：うん、そうですね。面白いなという感じですね。

──出発点はどうであれ、仕上がりは非常にヘヴィな曲なんですけど。歌や歌詩は？

京：歌詩はもう、どれも一緒なんですけど、曲のイメージから書いていて。歌もそうですね…、勢いを残しつつ、自分はこういう感じで歌えるかな、くらいですかね。

──それはつまり、“自分らしく歌う”ということですか？

京：いや、どうなんですかね…自分っぽさがあるかどうかすらもわからないので。

──歌詩にするには非常に強い言葉もありますが、その強さに拮抗するヴォーカルの強さがありますね。

京：そうですか？ それすらも僕は考えないので。


──最後の「Miserable」は、バンド初期からあった曲だと、ミヤさんからお聞きしましたが。

京：ありましたね、はい。

──歌は録り直したんですか？

京：一ヵ所だけ録り直しましたね。ミヤ君から「ここに歌を入れてくれ」って、急に要望があったので（笑）、「やってみます」という感じでサクッと入れ替えた感じです。そこだけ歌がすごくクリアなんですよ。

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