【対談・短期連載Vol.2】メリーのネロ × defspiralのRYO、イベント<魑魅魍魎2>を語る「あの日の続きをやらせてもらいたい」
■あの日の光景は忘れない
■勇気をもらいましたから
──先ほども少しお話していただきましたが、RYOさんから見てネロさんはどんなドラマーですか?
RYO:いろんなタイプのドラマーさんがいると思うんですけど、最近はクリックを聴きながら、同期演奏しながらっていうのが普通なんですよね。そんな昨今、すごく感情でドラムを叩く人なので、横で弾いてると“あ、今ノッてるな”っていうのがすごくわかる(笑)。さっき、「独自のグルーヴを持ってる」って言いましたけど、“そんな変わるかね?”っていうぐらいのタイム感なんですよ。なので、最初は“テツ君、こんな人と一緒にリズム隊やってるんだ(汗)”って…これって言い方はアレですけど、褒め言葉ですよ(笑)。なんかいいんですよ、それがメリーなんだなっていう感じがあります。あとパフォーマンスもすごく大事にしてるドラマーなので、観ていても一緒にプレイしてても気持ちいい。唯一無二ですね。
──接点を持つ前に抱いていた印象ともズレがなさそうですね。
RYO:そうですね。やっぱりコンセプトがしっかりあって、“こんなバンドいないでしょ?”って、ブレずに続けてるところを尊敬します。ただね、印象と違ったというか、中に入ってみて思ったのは、皆さんとても口数が少ないんですよ(笑)。そこはちょっと探り探りでしたけど。当時は10数年目とかだったよね?
ネロ:ですね。
RYO:その時、ネロが「すみません、これで10数年やってるんですよ」って言ってきたのが面白いなと思って(笑)。
──defspiralのみなさんは、普段もっとお話されてるんですか?
RYO:うちは結構話しますね。
ネロ:そこがすごいですよね、いいなと思います。でも、メリーも4人になって、あの頃よりは口数が増えたような気がします。
▲defspiral
──それは良かったです。では、ネロさんから見てRYOさんはどんなベーシストですか?
ネロ:僕が一番印象に残ってるのは、当時“Brand-X”っていうヴィジュアル系専門のショップがあって、そこのスタッフさんがニコ生をやってたんです。長年同じメンバーでやっているバンドだけを集めたトークイベントがあって、そこで隣同士になったんですね、RYOさんと。毒づく人もいなくて、“皆さん真面目だな”と思いつつトークしてたんですけど、お客さんからの僕宛ての質問が「20年とかやってきて辞めたいと思った時はないですか?」っていうものだったんですよ。そこで、本音で毒づいてやろうと思って「毎日っすよ。毎日は言い過ぎかもしれないけど、月に1回ぐらいはあるかな」って言ったんです、そういうことを何かと繰り返しながらの20年だったので。で、もうちょっと踏み込んでやろうと、「とことん落ちた時は、自分以外のドラマーがメリーで叩いているのを見てみたいと思いますね」と言ったら、RYOさんがちょっと怒り気味で「そんなの出来るわけねえだろ」と。
RYO:あははははは。
ネロ:“やべえ、熱い人がいたんだった”と(笑)。RYOさんに「まず出来るやつがいない」って言われて、それは嬉しかったですね。さっきのサポートの話にも関連しますけど、RYOさんも他のところでサポートやったりしてるじゃないですか。でも、defspiralで弾いているRYOさんを見ると、“やっぱりここがRYOさんの居場所なんだな”っていうことを感じます。
──その後、2016年のメリー主催<ラムフェス>にdefspiralがアコースティックで出演したり、defspiralの6周年ライヴに結生さんがギタリストとして参加したり、そういう交流もありました。
RYO:はい。2020年にdefspiral主催2マン<defspiral presents CARNAVAL to 10th ANNIV. 2MAN LIVE SERIES「The STARS」>をやった時…これは結成10周年記念の2マンイベントだったんですが、もちろんメリーにもオファーして出演してもらって。日程的にメリーとの公演がファイナルだったんですけど、そのライヴの翌日からコロナ感染対策による規制が始まって。その日の公演もギリギリまでやるかどうか迷ってたんですけど、決行しました。うちのドラム(MASAKI)も、メリーも健ちゃん(G / 健一)も脱退を発表していたタイミングでもあったし、オリジナルメンバーで2バンドが一緒にライヴをやるっていうのはその日が最後だったので、どうしても実現したくて。なので、とても印象に残ってますね。
▲メリー
──ネロさんはその日のことをどんなふうに記憶していますか?
ネロ:2020年2月だったと思うんですけど、あの日の光景は忘れないですね。“この後どうなっちゃうんだろう?”っていう不安もありつつ、defspiralから勇気をもらいましたから。その後、僕らはコロナ禍のなか8月からツアー<5 Sheep Last Tour>があって。
RYO:そのツアーで「ステージの前にアクリル板を立てる」とかいうようなことを聞いて、“そんなことってある?”って思いましたけどね。
ネロ:defspiralとの2マンがなかったら、ツアーに出る勇気も出なかったかもしれない。僕らも健くんが脱退することが決まっていたから、本当に同じような状況だったんです。
RYO:テツ君がプレイングマネージャーになって、4人で頑張っていきます、ということが発表された後だったんで、あの日の打ち上げではテツ君といろんな話をしたんですけど。まさかその次の日からライヴができなくなるなんて思ってもなかったからね。そんな中でもメリーはパワフルでした。
──あの頃はどのバンドにとっても、止まるのも動くのも辛い状況でしたよね。
ネロ:全人類にとって初めてのことだったと思うので、いい経験ですかね、今思うと。あの頃、ツアーをやってたのは、D’ERLANGERとZIGGYとメリーぐらいだったんですよ。いい経験ができたので、コロナ禍でツアーを経験したバンドとして胸張って頑張ろうかなと思ってました。
──なるほど。たしか、2020年の2マンの時にも、2013年のイベントの時にも、defspiralはメリーの「梟」をカバーされましたよね。
RYO:2013年のツアー前に出たシングルだったんですよ、テツ君作曲の。2020年の2マンのときも、盛り上げるなら「梟」をカバーすべきだろうと思ってやったんです。
──メリーファンの方たちも、すごく励まされたんじゃないかなと思います。
RYO:そう思ってくれてたら嬉しいですね。バンドそれぞれにいろんなドラマがありますけど、それにしてもメリーもやたらと波乱万丈ですからね(笑)。
ネロ:defspiralも波乱万丈な活動をしている中で、僕らより先に何かと乗り越えているバンドなので、目を凝らして見ておこうと思ってます。うちがそうじゃないっていうわけじゃないですけど、MASAKIさんともそうですし、いい別れ方をされているじゃないですか。そして、またいいドラマー(和樹)が入って。
──この機会に、ネロさんからRYOさんに聞きたいことってありますか?
ネロ:今日一番聞きたかったのは、シンプルに「メンバー関係はどうですか?」ということで。
RYO:ははは。今、とてもいいですね。新しいメンバーが入って、そのやり取りもいいですし。新メンバーの加入は本当に良い出会いだったと思います。
ネロ:バンドなんで、いろいろあるとは思うんですけど、defspiralはケンカしてるところを一回も見たことがないんですよ。
RYO:たとえば、リハとか曲作りの時は、そりゃぶつかることもありますけど、その時にいっぱい話をして、ちゃんと同じ方向を向きましょうっていうバンドなんでね。だから今、一番いい状態ですよ。
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