【インタビュー】BURNABLE/UNBURNABLE、10ヶ月連続リリース「歌に希望がなくてもいい。誰でもそういう気分になれない時だってあるから」

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“負の感情を肯定する”ダークポップアーティスト・BURNABLE/UNBURNABLE。

◆撮り下ろし写真(16枚)

自らを“ごみから生まれた音楽アーティスト”と称するBURNABLE/UNBURNABLEは、普段なかなか口に出せないような思いや、つまらない嫉妬、焦りなど、人間の負の感情を描いているアーティストだ。プロジェクト始動から一貫してそんな生々しい描写を続けているが、BURNABLE/UNBURNABLEの奏でる音楽は傷口を抉るような痛々しさではない。どこか不思議な浮遊感と包容力、そして曖昧な優しさがある。

BARKSでは3月リリースの「一日一日夜」、4月リリースの「S.O.S.」 に寄せてre:caco(Vo)へのインタビューを実施。改めてBURNABLE/UNBURNABLEの音楽の魅力と、その根底にあるものをお伝えしたいと思う。(以下、BURNABLE/UNBURNABLE=バナブル)

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■「今目の前にいるこの人たちに歌いたい」と思うようになりました

──BARKSでのインタビューは1年ぶりになりますが、この1年間でご自身にとって特に大きかった出来事といえば何が思い当たりますか?

re:caco:新しい年になってから自分の考え方が変わって、明るくいたいなと思うようになりました。そこでダークポップというBURNABLE/UNBURNABLEの音楽性とポジティブになった自分との間に乖離を発見して、「あれ?」と(笑)。だけど、私が一番大事にしているのが曖昧であることなので、暗い自分のままでもいいけど、明るくなりたい自分もいいなと思ってます。

──ポジティブになったきっかけがあったんでしょうか?

re:caco:そうですね……やっぱり、新しい年になったからですかね。いつも1月になると「よし、今年はいつもと違う年にするぞ!」と思うんです。だけどそれって長くは続かなくて、毎年だんだん内にこもっていっちゃうんですけど、今年はそういう心の変化も曲にして、外に発信していけたらいいなと思っています。そんなに気負わずに、ですけどね。

──あと、最近あった新しい出来事といえば、対バンライブへの初出演がありました。BURNABLE/UNBURNABLEは“ダークポップアーティスト”と名乗っていますが、いつか対バンしてみたいアーティストはいますか?

re:caco:majicoさんのことは昔からすごく好きで、憧れているので、いつか一緒にライブできたら嬉しいなと思います。majicoさんの書く歌詞も結構ダークじゃないですか。「どんなに暗い過去があったんだろう?」と思わせられるような歌詞ばかりで気になるし、「それでも生きたい」「それでもこんな自分を愛したい」という歌詞でもあるので、その作風がBURNABLE/UNBURNABLEにも近いかもしれないと勝手に思っています。


──対バン、いつか叶うといいですね。そしてもうすぐデビューから2年が経ちます。実感はいかがですか?

re:caco:「もう2年? そんなに経ったかな?」という感じです。私はいつも自分のために歌を歌っているし、自分のために歌詞を書いているんですけど、ライブをやり始めて、聴いてくれる人のことが目に見えるようになったので、「今目の前にいるこの人たちに歌いたい」と思うようになりました。私が曲にしていることは、きっとその人たちも考えていることだと思うから、一石二鳥なのかな。自分のやりたい音楽を選ぶようにしているのはずっと変わらないんですけど、プラスで「この人のために」と考えるようにはなりましたね。

──では、ここからは今年に入ってから発表された新曲について聞かせてください。まずは、3月1日に配信リリースされた「一日一日夜」(読み:ハルハルヤ)。トラックはオリエンタルな感じで、やわらかい雰囲気の楽曲ですよね。

re:caco:はい。宗教的な雰囲気で、神のような存在を連想させる楽曲だと感じました。デモが送られてきた時、「いつもと違うテイストだな」と思ったんですが、私はこういうテイストの楽曲も好きだし、いろいろな音楽をやりたいという気持ちがあるので、すごくテンションが上がりました。今までは夜や夜中のイメージの暗い楽曲ばかりだったんですけど、この曲は夜から朝にかけての空が明るくなる時間帯がイメージできる曲だなと思いつつ、歌詞を考えていきましたね。

──“ハルハル”は韓国語で“一日一日”という意味なんですね。

re:caco:私K-POPが好きでよく聴くんですけど、K-POPで使われている言葉を注意して聴いてみたら“ハルハル”という言葉がよく使われていて。「これ、いい!」と思って、ドンとタイトルにしてみました。最初は制作当時に観ていた映画を参考にしながら歌詞を考えていたんですけど、「一日一日夜」というワードが出てきたことで歌詞もガラッと変わりましたね。

──バナブルの音楽性とK-POPって一見結びつかなさそうだけど、re:cacoさんの感性があることで、歌詞にそういった要素が入ってきているのが面白いですね。

re:caco:歌詞は自由に書かせてもらっています。私、“界隈”みたいなものが苦手で。一つのものしか知らないと深く語れない気がするから、いろいろなことを知っていたいというタイプなんです。

──「廃材 きみ今日からいいよ」という歌い出しから、この曲の主人公は「あなたはもう必要ない」と宣告されてしまった人なのかなと想像できますが、そんななかでサビで「ハルハルヤ見ていて」と歌っているのが印象的でした。re:cacoさん自身は、この曲の歌詞には救いを作った感覚でしょうか? それとも作っていない感覚ですか?

re:caco:私は気分が落ち込んでいる時にしか歌詞が書けなくて、そこに希望があるかどうかは曲によって違うんですけど、「一日一日夜」は私的には救いを作っていない感覚です。「見ていて」という言葉は自分自身に言っているようなニュアンスで。暗いままの自分も、明るくなりたい自分も、この状況から抜け出したいと思う自分も、抜け出せないままの自分も、全部そのままでいいんだよと言い聞かせるような言葉ですね。それは私がいつも自分自身に言い聞かせている言葉でもあります。やっぱり「最後には希望を」というモチベーションになれない時だってあるじゃないですか。この歌詞を書いた当時は救いを作ろうとは思わなかったけど、この曲が世に出た時に、自分の気持ちが希望を見出せるくらいになれていたらいいなと思ってます。


──レコーディングはいかがでしたか? 特にサビのボーカルのニュアンスがいつもと違って新鮮でした。

re:caco:レコーディングでは最初、淡々と歌っていたんですけど、「ハルハルヤ」と普通に発音するのではなく、抑揚をつけながら、「ハンルハンルヤ」と歌った方がいいんじゃないかとディレクションしてもらいました。それもあり、より宗教的な雰囲気にできたんじゃないかと思っています。あと、冒頭は私の声がちょっと演歌っぽいですよね。カラオケでバナブル以外の曲を歌った時、自分でも「演歌歌手っぽいな」と思うことがたまにあるんですけど、その歌い方が今回の曲に上手くマッチしたんです。

──コラージュ映像ディレクターのいがきちさんによるMVも素敵ですね。

re:caco:素敵なMVですよね! どタイプでした! チャイナっぽい絵柄や日本画のようなテイストが楽曲にすごくマッチしていると思います。




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