【インタビュー】w-inds.、『Beyond』というタイトルは僕らの歴史

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前作『20XX“We are”』から1年ぶり。15thアルバム『Beyond』を完成させたw-inds.。いまや橘慶太プロデュース楽曲でアルバムを作ることが当たり前となっていた彼らが、今作ではなんと橘プロデュース楽曲に加えて、葉山拓亮を始め、松本良喜、今井了介といったファンにはたまらないw-inds.の歴史に残る代表曲たちを手がけてきたクリエーター陣に楽曲制作を依頼。

◆撮り下ろし写真

2人体制となったw-inds.。その地盤固めが終わったあと、このような手法を使って、w-inds.の基盤にまで踏み込み、w-inds.らしさをアップデートすることに大成功した2人。今回はクリエーター陣との懐かしいエピソードも交えながら、彼らにアルバムを全曲解説してもらった。

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■「もう次はない(笑)」
■それぐらいやりきった気持ちにいまはなってますね。


──まさか、こんな手法でw-inds.をアップデートするとは。よく思いつきましたね。

橘慶太:ずっとやりたかったんですよ。数年前からいろんな方がいまのw-inds.をどう描いてくれるかっていうことに興味があったので。今回、自分たち的にツアーを終えたことで手探りだったものが感覚的につかめたので、やるならいまのタイミングが一番いいんじゃないかなと感じてオファーさせて頂きました。

──その結果、w-inds.の基盤、そこをいまの新体制のw-inds.でアップデートすることに大成功したと感じました。

慶太:意識的にはそういう気持ちで僕たちも挑んでました。CDジャケットを白にしたのも、自分たちのなかにあるw-inds.のイメージ──何色にでも染まる白がデビューしたときから僕の中ではw-inds.のイメージカラーだったので、そういう意味で、いまのw-inds.をもう1度作り上げたいという気持ちが強かった。なので、おっしゃっていただいたこととマッチしていると思いますね。



──ではまず細かい話なのですが、そのオファーの仕方について。こちら側からリクエストのようなものはつけたのですか?

慶太:基本的にはいまのw-inds.を描いてい欲しいということでオファーしまして。そのあとの進め方は作家さんによって様々でした。葉山さん(葉山拓亮/「Forever Memories」「Feel The Fate」「Paradox」などを提供)はもうちょっと言葉のヒントが欲しいといわれたので、葉山さんがデビュー時に作り上げてくださったw-inds.が20周年を越えて、いままた新たに踏み出すための1曲という風にお願いしたり。今井さん(今井了介/「Make your mine」「Let’s get it on」などを提供)は「New World」で僕たちの新しいダンスナンバーの道を示してくださった人なので、新しい道を示すような今井さんなりのいまどきのダンスナンバーを作って欲しいという話をしてそこから4つ打ちのハウスでいこうというのが決まったり。逆に松本さん(松本良喜/「Long Road」「十六夜の月」「約束のカケラ」を提供)は、いまのw-inds.というキーワードだけでパンと作ってくれたり。

千葉涼平:早かったよね?

慶太:一瞬だった。

──オファーした方はみなさん、悩まずに引き受けてくださったのですか?

慶太:はい。快く引き受けて下さいました。


──当時楽曲提供をしてもらっていた頃も、今回オファーしたクリエーターさんとは密なやりとりをしていたのですか?

慶太: 葉山さんは取材で対談したりもしてました。

涼平:あぁー、あったかも。

慶太:対談の記事を見返したら「(子どもの声色で)葉山さん、スタジオで全然しゃべんないんだもんね」とか、むちゃくちゃ失礼なこといってました(笑)。それでもプライベートで会ったりしてましたし、今井さんは自分の師匠的な存在で、楽曲のことについていろいろ教わってました。

──橘慶太セルフプロデュース楽曲に加え、このようなかつてのw-inds.を支えてきたクリエーター陣が加わることで、とにかく振り幅の広い楽曲が収録された作品になりましたね。

慶太:今作をジャンルで例えることはできないんですよ。ファンクがあってハウスがあって、J-POPのど真ん中もあってアンビエントR&Bもあって、トラップっぽいダンスナンバーもあればゴリゴリのダンスナンバーもある。だから『Beyond』というタイトルは、w-inds.の歴史。そして過去w-inds.に携わってくれた作家さんたちと自分たちの曲が時空を越えて、このアルバムでいま1つになったということでこういうタイトルにしたんです。

──タイトルは最後に思いついたのですか?

慶太:いや。途中ですね。だからね、これをインタビューの序盤にいうのはあれですけど、このアルバムはマジでやりきった感があるんです。自分たちw-inds.をプロデュースするというところでは、これで100%出し切ったという自信があるんですよ。自分で楽曲を作るということをここ数年ずっとやってきましたけど、別にそこにこだわっていたわけではなくて。僕が作るものはw-inds.の歴史上、結局は過程でしかない。その過程を葉山さんが作って、松本さんが作って、今井さんが作ってくれたりして、僕がプロデュースし始めた。その過程すべてを合わせたのが……

──今作ですからね。これをやっちゃったら……

慶太:もう次はない(笑)。それぐらいやりきった気持ちにいまはなってますね。

──葉山さん1人ではなく、歴代のクリエーターに楽曲提供をお願いしたところにw-inds.のただならぬパッション、決意を感じました。

慶太:本当に“いまのw-inds.を完成させてやろう”と、そういう気持ちだったので。


──こうやって新しいw-inds.の再構築にとりかかるためには、いまのw-inds.に自信が持てなければ手は出せなかったと思うのです。

涼平:ああー。去年のツアーをやったことで、そこの迷い、不安は無くなったのかなと思いますね。だからこそ出来た企画なのかな。

──では、ここからは収録曲について1曲ずつ解説していただこうと思います。M1「Unforgettable」。甘々な歌詞からの幕開け。

慶太:甘々ですね(笑)。これは男女の関係性にも見えて、個人的には僕たちとファンの関係性について書きたくてこういう世界観にしました。これ、1番はファンの人たち目線で2番は僕たち目線で、似たような歌詞の世界観なんだけど主人公が変わるというところが自分的にはポイントの1つですね。

涼平:こういう世界観は久しくやってなかったよね? だから、そこがいいなと思いつつ。楽曲は、すげーの作ったなという感じがしました。推し曲きたぞ、と。

──M2が今井さんの「FIND ME」。

慶太:今井さんらしいです。展開のつけ方が。

──何が凄いって、バックコーラスのエフェクティブな響きと使いかたが素晴らしい!

慶太:これね、トラック的にいうと100本ぐらい入ってるんですよ。僕、このために延々とコーラスをレコーディングしましたから。それをめっちゃ重ねてます。今井さんはそういのが得意なので、久しぶりにこの感覚を味わいました。

──声もサウンドも耳に気持ちいいんですよ。

慶太:「New World」をw-inds.がやったときって、EDM、エレクトロなダンスミュージックがまだ日本できてないときだったんです。ハウスもまだ日本人は全然やってない頃だったので、そういうところのアンテナの早さは今井さんらしいなと思いますね。

涼平:だから、僕これをいただいて聴いたとき「えっ、ここはクラブですか?」って思うぐらい、今井さん攻めてきたなと感じて。「New World」がきたときの感覚を思い出しましたね。

──”Deep like the 808”の808。一応この音楽用語、解説してもらってもいいですか?

慶太:簡単に言うと低音です。808という楽器に、ベースよりも低い帯域でフロアがブォーンとなる成分があるんですけど、それぐらい深いところという意味です。

──続いてM3の「Bang! Bang! feat.CrazyBoy」は今作の先行シングル。“新たな始まり、もう誰も止められやしない”、“過去の栄光が何?〜今が全てだろう? 見てろ〜”と今作のコラボ予告が歌いこまれていたことは、アルバムを聴いて分かりました。

慶太:正直にいうと、2022年の年末時点ではこの曲しかできていなかったんです。この曲以外はすべて1月に録ったんですよ。なので、地獄のような1月を過ごしてたんです。



──お正月もないw-inds.だったと。

慶太:そうです。元旦からずっと制作をして。ファンクラブのライブツアーもあったので、1月は本当に大変で。アルバムを作ってはツアーに出て、というのを繰り返してました。でも、この曲も「Unforgettable」も自分たちのいまのスタイルの新しい始まりというのが、1つのテーマであることは間違いないです。

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