【ライブレポート】GEMS COMPANY、「これからもずっとずっと青春してくれますか?」

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スクウェア・エニックス発のアイドルグループ、GEMS COMPANYによる約1年ぶりの有観客ライブ<ジェムカン学園祭っ!2022>は、その名の通り“学園祭”をコンセプトに、メンバー自らの手で創り上げる“祭”の場として開催された。

◆ライブ写真

3日間5公演それぞれに音・萌・怖・踊といった漢字一文字がテーマとして設定され、今回レポートする最終公演で掲げられていたのは“華”。2018年の活動開始より4年の間に咲かせてきた“華”を惜しみなく並べ、小瀬戸らむの加入により9人の新体制となって1年の成長を華々しく贈りながら、笑顔と涙の交錯する感動のフィナーレで満員の神田スクエアホールを揺らしてみせた。

開演時刻を針が指す時計台から始業ベルが鳴り、お揃いの制服に身を包んだメンバーが教室から挨拶するオープニング映像に続いて、ツーピースのチアリーダー衣装で現れた9人が届けた1曲目は1stシングル「チアリータ♡チアガール」。この夏、“コロナ渦で苦しんでいるあなたをとにかく元気にしたい”という思いで制作した、まさしく“Cheer!”な元気ナンバーで拳を振り上げ、“フレフレフレ!”と声を張り上げる彼女らに、客席からも眩いペンライトの光が捧げられる。ステージ上部には『ジェムカン学園祭っ!』の看板も掲げられ、まさしく学園祭のスペシャルステージといった様相だ。


歌い終えて星菜日向夏が「お肉を食べちゃったよ」、奈日抽ねねが「ラッキーフードは湯豆腐!」と食ネタを交えて挨拶すれば、「一緒に素敵な学園祭にしましょうね」と有栖川レイカがセクシーにビーム。「魂の歌を届けちゃうよね」(音羽雫)、「ラストスパート楽しんでいきましょう」(水科葵)という二人に続き、長谷みことが「みんなのこと好きにさせちゃうからね!」とキュートに微笑むと、赤羽ユキノが「カッコよすぎて失神させちゃうぞ!」とクールにキメる、そんな対比を実現しうるキャラクターの多彩さもジェムカンの魅力だ。


さらに一文字マヤが「後ろの方までファンサしちゃうからね」と意気込み、小瀬戸らむが「ラストまで精いっぱいがんばります!」と締めくくると、彼女にとっては待望の初ソロ曲「Happy♪ Lucky♪ Sharing !!」をお披露目。公式YouTubeでもショートVer.が公開されたばかりの最新曲は、目覚まし時計の音で始まるミドルテンポの爽やかなナンバーで、担当色のライムカラーに染まる客席との相性も抜群だ。「ペンライトありがとう! 見えてるよ!」と呼びかける様も初々しく、そんな彼女と入れ替わりに鼻歌で登場した星菜日向夏が「みんな、盛り上がっていくよ!」と、アッパーに「ジンセイJust do it!!!表明」を叩きつければ空気は一変。

オレンジ色のペンライトが一気に燃え上がり、ギターソロに合わせて「みんな、もっともっとエールをちょうだい!」と大きく手を振って、“限界なんてないって教えてあげるよ”という歌詞通りのパワーとエネルギーを放出する。また「GEMS COMPANYいくぞ!」と長谷みこと・有栖川レイカ・奈日抽ねね・一文字マヤ・音羽雫によるユニット“びびっとぺんたぐらむ”もステージに雪崩込み、「FUN FUN JAPAN ~ 津々浦々四季折々 ~」のエキゾチック&エキセントリックなパフォーマンスで魅了。休みなく繰り出されれる変幻自在のバラエティは、まさに色とりどりの百“華”繚乱だ。


再びチャイムが鳴ると、この公演のメインMCである長谷みこと、星菜日向夏、一文字マヤがステージへ。一文字が「みんな、まだ身体があったまってない!」といきなりの柔軟対決を主導し、前屈とY字バランスでは一文字が、開脚では全く前屈のできなかった長谷がなぜか勝利して、場内を和やかに温める。そんな謎タイムの直後に、世界観を爆発させるのもジェムカンの楽しいところで、まずは黒づくめの赤羽ユキノと長谷みことがスクウェア・エニックスのゲームタイトル“NeiR”の衣装で「ガダルカナル」をドロップ。インダストリアルな4つ打ちダンスチューンでダークなムードを振りまき、緩急利いた動きで風になびく長谷の長い髪も美しい。


「形而境界のモノローグ」を歌う水科葵は、白のミニスカドレスという出で立ちとは対照的な力強い動きにシャープなボーカルがとにかくカッコよく、“たとえ現実に邪魔されても……構わない!”と吐き捨ててオーディエンスのハートを鷲掴み。可憐な衣装に身を包んで「少女聖戦パラドクス」をタイトルコールした長谷みことも、低音まで活かしたクールに甘い歌声と煩悶するような動きでエモーションを表しつつ、紫のペンライトが揺れるフロアに「もっともっと足りない!」と拳を振り上げるロックな様が、なんとも魅惑的だ。そこから白の新衣装に着替えた9人で歌い継ぐ新曲「サヨナラノート」は、メロディックな喪失のバラードナンバーで、“さようなら”と繰り返し手を振る姿が印象的。ライブ後にオフィシャルYouTubeチャンネルで公開されたミュージックビデオでは、それぞれの憂いを帯びた表情まで、ぜひ確認してみてほしい。


ジェムカンの新境地とも言える心揺さぶるナンバーに「涙(るい)が流れたよ!」と赤羽ユキノがプロデューサー然と現れてからは、テーマの“華”にちなみ男装コンテストを開催。星菜日向夏、小瀬戸らむ、一文字マヤの3人で、それぞれに男装写真をツイッター投稿&キメ台詞を披露し、リツイート数で勝者を決めるというものだ。爽やかイケメン風の星菜は「あいつなんてやめて僕にしときなよ」と囁いて拍手を呼び、学ランを着崩して生意気ムードを醸す小瀬戸が「俺のこと、いつまでガキ扱いすんの? わさび食わすぞ!」と放てば、わさび色のペンライトが客席で揺れる。最後に、超売れっ子ホストとのお忍びデートというコンセプトで流し目に挑戦した一文字が「姫、俺とのデートは二人だけの秘密な」と気合を見せるが、勝者は小瀬戸に。商品の鼻毛脱毛ワックスを贈られ「いらないんだけど!」と憤慨してみせるオチまで、徹頭徹尾観る者を楽しませようというスタンスには頭が下がる。


以降はおなじみの全員曲でラストスパート。「ときめきドリームライン」では愛らしい歌声とダンスでオーディエンスの胸をときめかせ、曲中には「GEMS COMPANYを好きでいてありがとう! これからもよろしくね!」という殺し文句も。「チアリータ♡チアガール」との両A面曲である「凜と舞いましはんなり小町」では、琴の音色で始まる和風ダンスチューンで“今宵咲かせます 雅の舞”というリリックをセクシーに体現する。「全員出し尽くせ!」とぺンライトを煽った「ゴールデンスパイス」を“幸せは自分で決めてくよ”とポジティブオーラ全開に贈り、トドメとばかり「CHANGENOWAVE!!!」で未来へと向かう心意気込みを歌い上げれば、場内の高揚感と多幸感は最高潮。「みんな素敵な景色ホントにありがとう!」「みんなに出会えて本当によかったです!」という言葉にも、嘘偽りは微塵も感じられない。

そしてアンコール前には、メンバーのインタビューVTRも上映。これまでの歩みや今回のライブへの想いを語り、“あなたにとってGEMS COMPANYとは?”という問いに答える9人の言葉からは、GEMS COMPANYでの活動に対して、どれだけ彼女らが身も心も捧げてきたかが伝わってきた。

そうして“私たちは、いつもココニイル。”と浮かび上がった文字に手拍子が沸くと、アンコールで再登場したメインMCの3人がコメントする。ライブのテーマが“文化祭”ということで、「メンバーやスタッフさんとこれまで以上にたくさん話し合って、学生になった気分で“青春だな!”って思いました」と星菜日向夏が笑顔になれば、長谷みことは「普段なかなか素直な気持ちを表さないけど、パフォーマンスで“みこちゃんはみんなのこと大好きだよ!”って伝えられたと思います。これからも変わらずにこのステージを守り続けたい。ファンの皆さんがいてくれたら……みんなのことが大好きです!」と涙目になる。それでも「みこちゃんは泣いてません!」と強がった彼女に続き、千秋楽のMCが初めてだという一文字マヤは「千秋楽ってこんなに大きなところだったんだなって」と、一緒にMCを務めた星菜、長谷に感謝しながら、今回の“学園祭”というコンセプトについて、こう語った。


「5年目を迎える活動の半分は、コロナでずっともどかしい想いをしてきました。立ち止まって考える時期もあって、少しだけ下を向いたとき、“みんなを救いたい曲を作りたいです!”って作ったのが「チアリータ♡チアガール」です。この曲をコンセプトとして、みんなで元気になろうよ!って始めたのが、このGEMS COMPANY学園祭。大人になって、もう青春なんて味わえないと思っていたけど、メンバー、ファン、スタッフと一緒に今、すごく青春してます。これからも、ずっとずっと青春してくれますか?」

満場の拍手を受け、4thライブのフィナーレを飾ったのは、もちろん「チアリータ♡チアガール」。じゃれ合いならも元気いっぱいに弾ける9人の姿からは、喜びも苦しみも乗り越えてきたからこその輝きがあふれていた。「また会いましょうね!」と約束してメンバーがステージを去ると、待望のTikTokアカウントがスタートすることが発表され、さっそくその夜から投稿された動画には、彼女らの笑顔と躍動がいっぱいに。GEMS COMPANYという場を舞台に、今後どんな華が咲き誇るのか注目したい。

文◎清水素子

◆GEMS COMPANY オフィシャルサイト
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