【俺の楽器・私の愛機】1077「エレキギター作りのためのベンチマーク」
【フェンダー ラップスチールギター】(兵庫県 金星から来たギタービルダー かなりお年寄り)
843、928で自作の愛用ギターを紹介して頂きありがとうございました。今回はフェンダーのラップスチールギターを紹介させて下さい。今回は自作ではありません。
フェンダーがカリフォルニアのFullertonで製造していた時代のものなので創業当時のものかと思われます。中古で購入しました。ストラトキャスターならとんでもない値段でしょうが、ラップスチールは音の良さの割に信じられないくらい安価です。ギターがもっと安かったら作らなくてもいいのになあ。そんな素晴らしい世の中がやって来ないかなと思うのは私だけでしょうか。
このギターは楽器の勉強のためとピンクフロイドの"High hopes"のギターソロを弾くために入手しました。デビッドギルモア氏がライブ(Royal Albert hall)で素晴らしい音で弾いているのを見てこれはいいなと思ったのが始まりです。ご本人の楽器はフェンダーじゃないそうですが・・・
ボディー材はアルダーです。部品はほぼオリジナルのものです。ピックアップはリプレイスしているかもしれません。かなり古いもののため音はビンテージそのものです。木は古く歪みもなく、柾目材なので、音はかなりよく響きます。
ストラトキャスターよりもテレキャスターの方が音が良く、さらにその上をいくのがラップスチールギターだと思っています。どれも個性があり面白いギターですが、音の質だけを言うならラップスチールが最高だと思います。このギターが私のエレキギター作りの基準になっています。
構造はボディーがワンピースで、ボディの中にナットとブリッジがあり、ボディとネックが兼用というところが最大のポイントで、弦の振動がギター全体の中を無駄なく循環しています。強靭なボディなのでトラスロッドはありません。
ストラトキャスターのネックが強靭であるほど音が良いというのはラップスチールギターの状態(形状)に近くなるからだと推測しています。そしてトラスロッドはネックの反りを修正するためのもので、音響を良くする効果はほとんどなく、害の方が多いので、なくても良いのではというのは、こういう理由からです。曲がるか曲がらないか、予想できないネックのために不要なものを入れてもどうかなと思います。ネックなんていつも気温や湿度であっちに向いたり、こっちに向いたりしてるしなあ・・・
その昔マイケルシェンカー氏がネックを折り、補修して戻ってくるたびに音が前より良くなっているとおっしゃっていました。私にはその意味がさっぱりわからず、そんなことは決してないだろうと思っていましたが、今は折る度、補修してネックが補修材の追加により前より強靭になるからだということが、このラップスチールギターからよくわかりました。でもきちんと直してこそという前提条件がありますが。
このギターを入手したのは、変わったギターが欲しかったからというのが始まりでしたが、予想以上に楽器に対する勉強が出来、そしてとんでもなく音が良いことが予想外の収穫でした。このギターは私のエレキギター作りの基準となっているので手放すことはないと思います。またこれを超えるギターを作ってみたいとも考えています。多分これは無理かもしれないし、あっという間に簡単に出来るかのどちらかですね。多分前者のような気がします。
最後にオリジナルの付属品のピックとケースが付属していました。これは怖くて使えません。ラップスチールギターは演奏するのが極めて難しいです。かなりの練習が必要ですが、とても楽しいギターです。
◆ ◆ ◆
皆さんのエピソードや経験則に基づいた話はいつも面白くて、いい刺激になったり新たな発見も貰ったりしているわけですが、金星から来たギタービルダーさんのこの話は、興奮しすぎて合点行き過ぎて脳みそが覚醒した。そういえば、2003年に開催された<GUITAR WARS>で、ジョン・ポール・ジョーンズがラップスチールで弾いた「Nobody's Fault but Mine」のリフが極上過ぎて「ジミー・ペイジ要らんやん」とカルチャーショックを受けたっけ。確かにラップスチールで糞のような音は聞いたことがない。ギターサウンドはネック依存という私の偏見も実証されたみたいでじわっと嬉しい。(JMN統括編集長 烏丸)
★皆さんの楽器を紹介させてください
(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
※最大5枚まで
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「楽器人の投稿がmusic UP'sに掲載されます」
※毎月の掲載数は2~4件ほどの予定です。選出はBARKS編集部で行ないます。
※掲載の選出対象は【俺の楽器・私の愛機】コーナーにて2022年5月30日以降に掲載された投稿が対象となります。
引き続き【俺の楽器・私の愛機】をお楽しみください。今後ともBARKS楽器人をよろしくお願いいたします。
◆【俺の楽器・私の愛機】まとめページ
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