【ライブレポート】3年ぶりの開催<SMTOWN LIVE 2022>、豪華アーティストの競演
韓国で少女時代、東方神起などが所属する大手芸能事務所、SM ENTERTAINMENT。そのSM ENTERTAINMENTに所属する人気アーティストたちが一堂に集結する事務所主催のフェス<SMTOWN LIVE 2022:SMCU EXPRESS@TOKYO>が東京・東京ドームにて9月27日から29日の追加公演まで3日間に渡って開催された。
◆ライブ写真
日本では3年ぶり、じつに10回目となるこの“SMT”は、SM ENTERTAINMENTの最大人気コンテンツ。今回も、3日間とも東京ドームを満員の観客で埋め尽くし、トータル15万人を動員した。
今回の公演タイトルにある“SMCU”とは“SM Culture Universe”の略で、これは現実世界と仮装世界の境界を超えて全世界がつながるというテーマのもと、SMが望む未来のエンターテインメントとしてメタバース向けに作ったコンテンツのこと。本公演はこのSMCUの世界観を運ぶ”SMCU EXPRESS“と名付けた電車が世界中を巡りながら、ライヴ空間においてSMCUワールドを楽しんでもらおうというもの。
SM ENTERTAINMENTらしい近未来感満載の世界観と豪華な演出のなか、ステージではカンタ、BoA、SUPER JUNIOR、チャンミン(東方神起)、少女時代からテヨンとヒョヨン、SHINeeからオンユ、ミンホ、キー、EXOからスホ、チェン、カイ、シウミン、Red Velvet、NCT、aespaなど総勢16組54人のアーティストが、3日間ともセットリストを少しづつ変えて競演。ここでは29日の公演のレポートをお届けする。
公演時間は、3時間半以上。信じられないかもしれないが、これが本当に驚くほどあっという間だったのだ。54アーティストがグループ単体として、さらにはユニット、この日だけのコラボなど目まぐるしく形をかえて、次々と登場してきては、休みなくぶっ通して全46曲をアクトしていくのだが。これを、中だるみもなく、最後まで観客を飽きさせることなくステージに釘付けにして観せていったところには感動すら覚えた。
これは東方神起を筆頭に、SUPER JUNIOR、少女時代、SHINeeにEXO、NCT127とドームクラスの大人気のスターグループが7組も(日本でこんな事務所があるだろうか)所属している事務所だからこそできること。まさに、SMTは夢の祭典なのだ。
コロナ禍での開催ということで、今回はK-POP恒例のファン一丸となっての掛け声ができないため、その代用として左右に振るとシャカシャカ音が鳴るハンドクラッカーが登場。遠隔操作で色が変わるブレスレット型のペンライトとともに、声を出して応援できないファンの気持ちは、グッズが全面サポート。
そのグッズが光り輝く中、ドームは開演時間1時間前からDJによるオープニングアクトを実施。会場の到着すると、出演者であるヒョヨンがお得意のダンスでガンガンに踊りながらDJプレイで客席を盛り上げている。
客席があたたまってきたところで、オープニングムービーに続いて、映像の中のSMCU EXPRESSがステージ中央にリアルに出現。これが大迫力! その電車が左右に開き、中から現われたのは2020年11月にデビューして以来、ガールズグループの新生代のアイコンとして女の子から絶大なる注目を集めるaespa。トップバッターとして初めて立った東京ドームで、デビュー曲「Black Mamba」、代表曲「Next Level」をカッコよく、キュートにアクト。
その熱を引き継ぐようにAespa同様、今回SMT初登場のWayV がオンステージ。NCTの中国人メンバーで構成された彼らは「Kick Back(Korean Version)」を、続けてNCT DREAMは夏のムードに包まれながら爽やかに「Beatbox」と代表曲「Hot Sauce」を披露すると、ドームは早くも熱狂。
ここからはソロのパフォーマンスへ。電車の車体の上に乗り、ゆっくりと登場してきたのはEXO のチェンだ。圧巻の歌唱力、声量で自身のソロ曲であるメランコリックなピアノバラード「Beautiful goodbye」を絶唱し、ドームを歌に浸らせる。対して、SHINeeのなかでも随一の甘く柔らかな美声を誇るオンユは、aespaのメインヴォーカルのニンニンをフィーチャーリングして「Way」をデュエット。
EXOのリーダー、スホは「久し振りですね」と日本語で観客に語りかけたあと、ソロのディスコチューン「Hurdle」を歌いながらメインステージからセンターステージまで伸びた花道を猛ダッシュするというスホらしいパフォーマンスを織り込み、ファンの笑いを誘う。
ここでしか観られないソロのアクティングやコラボステージで会場をたっぷり魅了したあとは、なんとRed Velvetが完全体で登場。場内のファンは狂乱。初の日本フルアルバム『Bloom』から日本語曲「WILDSIDE」を初披露してくれた。SUPER JUNIORのイェソンはバックバンドを従え、ONE OK ROCKの「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」を驚くほど綺麗な日本語の発音とアグレッシブなパッションで、ロッカーのような風貌で熱唱。
先日初のドームツアーを大成功させたばかりのNCT127は、日本人メンバーのユウタが「こんなにも早くSMの先輩方と、またこのステージに立てて嬉しいです」と伝え、日本語で「gimme gimme」、韓国語で「Sticker」をパフォーマンスすると、観客は大いに熱狂。続いて、ステージには衣装を着替えたSHINeeのオニュが再び登場。単独で日本ツアーを行なっている彼は、ここではリズミカルなギターとシンセが印象的なダンサブルなポップチューン「DICE」をダンサーと踊りながら歌った。
この後はコラボステージのコーナーへ。まずは東方神起のチャンミン、SUPER JUNIORのキュヒョンとSHINeeのミンホがトロッコに乗って現れると、場内の空気がたちまちにぎやかになる。センターステージで合流した3人。この“ギュライン”が揃ったらなにかやってくれるはずという期待感が膨らむ中、今回はAdoの「阿修羅ちゃん」を振り付けありのパフォーマンスでコミカルにアクト! イケメンのお兄さんたちの体をはったエンターテインメントショーな出し物が観られるのは、もちろんSMTだけ。
続いては若い世代にバトンタッチ。BARKSの単独インタビューに登場したNCTのショウタロウ、ソンチャン、SMROOKIESが「Dream Routine」でキレキレのダンスを披露。この日が日本初パフォーマンスとなったショウタロウは、大画面に自分の顔アップが抜かれた瞬間、渾身のウインクで、5万人の観客のハートを見事撃ち抜いてみせた。
ドームのような広い会場で、遠くにいるお客さんをカメラを使ってどう楽しませるのか。SMのアーティストは、日頃からそのようなトレーニングを積んできているからこそ、どのアーティストもこんな瞬間を絶対に見逃さずカメラアピールをきめてくれる。だから、画面だけを見ていても、観客は大興奮なのだ。
続いてNCT127のテヨン、NCT DREAMのジェノ、WayVのヘンドリーとヤンヤン、aespaのジゼルというSMのラッパーラインが集結したSM Rap Unitが登場。アグレッシヴなラップのマイクリレーで「ZOO 」をスリリングにつないでいくパフォーマンスはヒップホップのなかでもかなり攻めたスタイル。今回のSMTのなかでは非常に斬新だった。
こうして、コラボステージも単に共演するだけではなく、多忙ななかでもダンスやフォーメーション、衣装やヘアメイクに到るまで、たった1曲のためにチームを組んできちんと練習を重ね、その世界観を作り込んで見せていくところはSMTのショーマンシップを感じられる部分。事務所のイベントとはいえ、SMTにかける所属アーティストたちのパッションは、どこまでも本気なのである。
そして、この後はまたソロコーナーへ。元H.O.T.のメンバーであるカンタが「Eyes On You」を貫禄の歌唱で歌い上げれば、続いてRaidenはギターを弾き、NCTのシャオジュンとソンチャンをフィーチャリングゲストに迎え入れて、トロピカルハウスな「Golden」でムーディーな雰囲気を場内に作っていった。
少女時代のテヨンは「INVU」、 ヒョヨンは「DEEP」とソロ曲をアクト。各々少女時代のメインヴォーカル、メインダンサーとして活躍する2人。ヒョヨンが歌い終わったあと、テヨンが「お久しぶりです」といって出てきて2人揃って観客に挨拶をした。ヒョヨンが最後に「今日来れなかったメンバーにもちゃんと伝えますね」というと、ファンは歓喜。
次はSHINeeのミンホが大人な表情で「Heartbreak」、キーが「BAD LOVE」を熱唱すると、その歌唱を真似しながらなんとオニュが登場。客席が湧き上がる中、3人で「こんにちは、輝くSHINeeです」といつもの挨拶を届けると、とたんに場内が華やぐ。これがSHINeeのパワーだ。続けて彼らは流暢な日本語トークの掛け合いでもファンを楽しませ、そのなかでキーが「来年にはSHINeeもここでライヴをしたいですね」と告げると、客席からは大きな拍手が巻き起こった。
続いて、待ち構えていたのはEXOのターム。まずはメインダンサーであるカイがソロ曲「Peachs」を使って、恋人との甘い世界を歌とセクシーなダンスで披露。続いて出てきたシウミンが、キレキレのパフォーマンスとともに「Shake」を歌い終えると、スホ、チェンもステージに合流。スホが「一緒に集まれなかったメンバーも会いたがってます。もう少しで完全体で戻ってくるので、ちょっと待ってて下さいね」と語りかけ、ファンを喜ばせた。
今年日本デビュー20周年のBoAは『スッキリ!!』(日本テレビ系)のエンディングテーマに起用された「The Greatest」を使って、貫禄のステージングで観客を惹きつける。日本デビュー20周年について「長い間応援されているなと思いました。すごく幸せに思います」と日本語で感謝の気持ちを伝えあと、続いてSUPER JUNIORの登場に、会場のテンションがいっきに上昇する。
冒頭からバンドヴァージョンの「Sorry Sorry(Korea Version)」、「Bonamana(Korea Version)とキラーチューンを連続投下。楽曲のパフォーマンスだけでも楽しいのに、カメラ使いに長けたこの兄さんたちは、顔を抜かれただけで場内を笑わせるシンドン、ダンスアピールでファンの心をときめかせるキュドンへ&ウニョクなど、ヴィジョンからもうるさいぐらいに各々がアピール合戦を開始。
エンターテインメント性、サービス精神はSM随一を誇る彼ら。SMTでも、おなじみのネタ「ええじゃないか、ええじゃないか」を惜しげも無く披露しながら、最後は日本でしか歌わない「★BAMBINA★」をみんなで踊り、5万人を一つにして、嵐が過ぎ去るようにステージを後にした。
そして、今年のSMTは、さらにここに次世代のグローバルスターたちが熱波を送り込む。まずは、NCT Uが「Universe(Let’s Play Ball)」を投下。大迫力のパフォーマンスで会場を揺らすと、さらにそのあとにNCTが登場。5分以上あるあのプログレッシヴなダンスチューン「RESONANCE」を次々とメンバーが加わり、総勢21人で踊るアクトを生で観た衝撃は、圧巻&感動の一言だった。イケメン大渋滞で繰り広げるステージは鬼気迫る勢いを放っていて、超絶的なほどのパワー感がステージから立ち上がる。
そのパワーを引き継いだのはBoA、少女時代のテヨンとヒョヨン、Red Velvetのスルギとウェンディ、aespaのカリナ、ウィンターで結成したSM最強ガールズユニット、GOT the beatだった。彼女たちの登場に、さらに場内は驚愕。ラインストーンを散りばめた純白の衣装で現れた7人は、凛とした表情で「Step Back」を華麗にアクト。場内を魅了し続けた。
次に、東方神起のチャンミンが登場すると、ドームはとたんにレッドオーシャンに染まる。SMのキング登場という重厚感を醸し出しながら、ソロ曲「Devil」を披露。「次回は東方神起のライヴでみなさんに会えると思います」とファンに約束したあと「日本でまだ見せたことがない曲です」といって「Fever」を得意のハイトーンを屈指して歌い踊ると、大人の色気をたっぷり含んだムードが場内に広がった。
SHINeeのキーがとびきりゴージャスな衣装で「Gasoline」をまだ発売前のアルバムから先行披露した直後、NCTのテヨンとテンが登場して1、2日目にはなかった「Baby Don’t Stop」を歌い出すと、場内は狂喜乱舞。華がある2人が向かい合い、相手の身体にタッチして踊るセクシーなダンス、表情に観客はうっとり。そうして、このあとはNCT DREAMが「Glitch Mode」、aespaが「Girls」、Red Velvetは「G 線上のアリア」サンプリングして話題となった「Feel My Rhythm」と、各グループが今年リリースした曲を続けざまに披露。
そこに駄目押しでWayVが「Nectar」、NCT127はいまやグループの代表曲といえる「Kick It」を最後の最後に投下すると、一糸乱れぬ男感満載の迫力あるパワフルなダンスで、観客たちのテンションはマックスに高まる。そうして、最後はBoAが「Better」、SUPER JUNIORが「Black Suit」を歌い踊り、ラストまでノンストップで会場を盛りあげ、楽しませていった。
フィナーレは出演者たち全員がステージに登壇。SMT恒例の「Hope from KWANGYA」を歌いながら、これまでステージでは見せなかったような素顔を浮かべて、あちこちでファンサをしたりグループのメンバーや先輩たちとはしゃいだりからんだりして、最後の最後まで観客の目を楽しませ、多幸感がドームいっぱいに広がったところでステージを締めくくった。
取材・文◎東條祥恵
写真◎川島 伸一、幸田 昌之、上飯坂 一、釘野 孝宏、高村祐介、上西 由華
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