【インタビュー Vol.3】ASH DA HERO、アルバム『Genesis』で高らかに宣言「新たな革命を起こしにいく」
■さあ、タイトルを獲りにいこうって
■今は非常に強度の高い状態です
──合宿中、メンバーからのお題には、どんなものがあったんですか?
ASH:例えばNaruくんからは「格闘技系の漫画やアニメをテーマにした曲はどうだろう」とか。WANIさんからは「主人公が超強すぎて、強すぎるがゆえの…そんなテーマはどうだろう」とか。Satoくんからは、実際にアルバム収録曲に反映されているけど、「ヒーローになれなかった人の気持ちはどうだろう」って。それで生まれたのが「レーゾンデートル」なんですよ。
──お題といっても、“激しくて疾走する感じの曲”とか、音のことではなくて?
ASH:そういうのはむちゃくちゃ早い段階で通り過ぎたんですよ。バンドができた瞬間に全部やったから、次の段階へ行こうと。それでDhalsimにお題を聞いたら、しばらく考えていたんで、Dhalsimのパーソナルな部分をもっと知るために、「Dhalsimをテーマにした曲が良さそうじゃない?」って僕が提案したんです。Dhalsimにインタビューじゃないけど、いろんな話を聞いていった中で、もしかしたらDhalsimのような気持ちを秘めている人は世の中にたくさんいるんじゃないかと思って。そんなふうな曲作りも合宿中にしましたね。そういうことを経て、メンバーそれぞれの役割がハッキリしてきて。サッカーでいったらポジションがハッキリしてきた。チームが完成に近づいていった感じでね。今は“さあ、タイトルを獲りにいこう”って、非常に強度の高い状態です。
▲Dhalsim (DJ)
──バンド=ASH DA HEROでは、2022年頭に3ヵ月連続配信で「Avengers」「Remember」「Just do it」を発表しています。
ASH:今年2月から4月に掛けて、3ヵ月連続の対バンイベント<GACHINKO>開催が決まっていて、ロックバンド=ASH DA HEROを知ってもらうための名刺が必要だったんですよ。イベントが3ヵ月連続なんで、3ヵ月連続デジタルリリースはどうだろう?ってのが着想で。その3曲を選んだ理由は…なんだった?
Narukaze:すぐに決まったよ。バンドになって生まれた1曲目とか、そんな感じで。
ASH:そうだったね、わりと即決。マーケティングみたいな横文字のしゃらくさい理由なんてのはなくて。個人的に思うんだけど、令和って時代になってから、こざかしいことが増えたと思っているんですよ。やれ、ターゲットを定めてとか、ビジネスがどうとか、そういう言葉をバンドやアーティスト自身がすごく使うようになってきているでしょ。でも俺らは一切考えてない。ロックバンドがそういうこと言い出したらおしまいだろと思っていて。デジタルリリースした3曲は当時出来立てで、俺らのサウンドをまず聴かせたいって、それだけ。
──実際に「Avengers」をライブで聴いたとき、楽器陣の主張っぷりが活きていて、ASH DA HEROがバンドになったなと思いましたから。
ASH:そう、そこです。「Remember」はバンドとしての始動ライブの一週間前にできた曲だったし。だから勢いのままと言ってしまえば、その通り(笑)。
──ASH DA HEROがバンドになって、5人から熱を持って生まれた曲を、時系列の中で体感するように聴いていたってことですか。
ASH:かもしれない。とにかくガムシャラに死に物狂いで、人生を賭けて突き進み始めたってところなので。頭で理解して考えるよりも、まず心のままに、気持ちのままにってことが一番だったかなと思う。
▲WANI (Dr)
──アルバムに向かったときは、個々にプレイヤーとしてのテーマはありました?
Dhalsim:冒頭のギターソロの話じゃないけど、「Rain on the roof」以外には全部DJプレイを入れて、ほぼ全曲にDJが入ってるんです。だから自分の名刺にもなったし、今のスキルの全てを作品に落とし込めたと思う。例えば「New Revolution」ではフェーダーをメチャクチャ切っているし。
──2台のターンテーブルの音を素早く切り替えるテクニックを“フェーダーを切る”というんですか?
Dhalsim:そうそう、DJ用語で。切りまくってますよ。一番苦戦したのは「エゴイスト」のラップイントロのスクラッチ。これは、どのインタビュー取材でも言ってないけど、何回やっても、Naruさんから全くOKが出なかったんですよ(苦笑)。レコードを回して録って、Naruさんから「違うな」って言われ、また違うのを回して録って、「これも違う」と。100テイク以上繰り返して、“たぶんこれだ!”と思ったテイクも「違う」ってやっぱり言われ。また振り出しに戻ってというのをやっていたんで、「エゴイスト」の裏には100を超えるボツがあったわけです。
──キレのある「エゴイスト」のスクラッチプレイは、怒りのスクラッチでもあると?
Dhalsim:いやいや(笑)。
Narukaze:Dhalsimを引き出したかったわけですよね〜。
ASH:ボツになったテイクは、Dhalsimのエゴが足りなかったと(笑)。
Narukaze:そうそう。そんなもんじゃねえだろと。
ASH:遠慮してんじゃねーぞと。
Narukaze:メンバーをけしかけて、新しい爆発力を生むっていうのも、バンドの醍醐味だからね。たとえ憎まれ役になったとしても、けしかけるのも大事なんですよ。
▲ASH (Vo)
ASH:うちらの曲作りとかアレンジは、マジでずっとそんな感じだからね。「違う!」とか「そうじゃねえ」とか。「Dead or Alive」はどれだけ書き直してるかって感じだし。
Dhalsim:そうそう(笑)。
ASH:すごく何度も書き直しているから、そのタイトルになったんですよ。この曲を完成させられなければ、俺はもうやめるしかないなっていう。ボーカリストとして、作曲家として。
Dhalsim:そこまで(笑)?
ASH:いや、笑いごとじゃなくてね。俺は曲を作るとき、そんな覚悟や気持ちでいる。人生を賭けて曲や音楽を作ってるわけだからさ。人生を賭けるってのは命を賭けることで、“必死”というのは、必ず死ぬって書くでしょ。死ぬの? 生きるの? オマエはどっちだ?って。そんなヒリヒリ感を抱いたまま深夜に書き上げて。そしたらみんなから「いいね」って言葉が来た。ああ、良かった。俺はAliveできたんだって。そんな感じだったから。
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