DISH//、野外ワンマン<PLANET>開催「みんなが自由になれたライブ」

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撮影◎Ray Otabe

DISH//が8月27日(土)、山梨・富士急ハイランド コニファーフォレストでワンマンライブ<DISH// SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET->を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

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DISH//が8月27日(土)に、富士急ハイランド・コニファーフォレストにて、毎年の恒例となっている夏の野外ワンマンライブ<DISH// SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET->を開催した。

北村匠海(Vo,G)、矢部昌暉(Cho,G)、橘柊生(DJ,Key)、泉大智(Dr)からなる4人組ロックバンドのDISH//は、2019年8月18日(日)に富士急ハイランド・コニファーフォレストで野外ワンマンライブ<DISH// SUMMER AMUSEMENT’19 “Junkfood Junction”>を開催。雨が降りしきる中でスラッシャー(ファンの総称)を熱狂させた“伝説のライブ”を経て、2020年は新型コロナウイルスの影響で中止になり、代替公演として無観客のスタジオライブを生配信。昨年は5度目の緊急事態宣言の延長を受けて、8月28日(日)から10月17日(日)に振替。コロナ禍による延期といった試練を乗り越え、「ありとあらゆる物事や現象」という意味の四字熟語を冠にした野外ワンマンライブ<DISH//SUMMER AMUSEMENT ’21 -森羅万象->を開催し、この地球で出会えた奇跡を分かち合った。

そして、2年連続3度目となる今年のテーマは、“宇宙”。ステージから森に囲まれた空までを巻き込み、あらゆる場所から“宇宙”を感じることができるエンターテインメント性に溢れた空間を作り上げていた。

開演時間になると、スクリーンに映し出された映像によって、数億光年先まで広がる銀河を自由自在に駆け巡る“惑星間旅行”を楽しんでいるDISH//が、コニファーフォレストの上空に到着したことが知らされた。続いて、無骨ながらも全面にLEDスクリーンが設置された高さ10メートル×幅30メートルの巨大なステージの2階部分にメンバー4人が並んで姿を現し、地球外生命体が主人公のマーベル映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の日本語吹き替え版主題歌としてメンバーが書き下ろした激しく重いロックナンバー「Shout it out」で力強くライブをスタートさせた。音源よりも熱量の増したビートを打ち鳴らし、北村が悲痛な思いをシャウトすると、オーディエンスは早くも拳をあげての大盛り上がりとなった。北村は「こんにちは、DISH//です!」と短くあいさつし、過去2度の公演で雨を降らせた空を見あげて、「おい、コニファー!青空出ちゃってるぞ!」と笑顔で絶叫。盛大なクラップが沸き起こったメンバー全員が制作に携わったハードなミクスチャーロック「rock’n’roller」に続き、バンド結成10周年を記念したリテイクプロジェクト「再青」によって、バンドの“今”の音に生まれ変わった「FLAME」「JUMPer」とライブハウスで育ててきた人気曲を惜しげもなく連発。爆発的なシャウトを炸裂させる北村に加え、ハーモニーを重ねながら技巧的なギターソロを弾く矢部、アグレッシブなラップやスクラッチを繰り出しつつ、ショルダーキーボードを抱えてダイナミックにプレイする橘もステージを所狭しと動き回って観客を煽り、冒頭からオーディエンスを熱狂の渦に巻き込んでいった。

最初のMCでは、北村が「初めて雨が降ってないコニファーです。台風の中でやったりしてたから、これは歴史的な瞬間です。これだよな、野外って」と感慨深い表情で語ったあと、「ちょっと懐かしい曲をやろうかな。太陽も機嫌いいしな、昌暉」と呼びかけ、矢部が2016年に作詞作曲を手がけたラブソング「僕の太陽」を久しぶりに演奏し、甘酸っぱく爽やかな微風を吹かせた。泉から橘、矢部から北村とソロパートを歌い継ぐ「That’s My Life」では一人一人の歌声の個性を際立たせると、橘によるピアノのタッチによって、ゆったりとしたテンポへと移行。CMソングとして、北村が作詞、泉が作曲を担当したエールソング「ありのまんまが愛しい君へ」では、《大丈夫。他の誰でもない自分らしさを》というメッセージを届け、大ヒットしたバラード「猫」へとシームレスに繋いでいった。

撮影◎Ray Otabe

撮影◎Ray Otabe

撮影◎Ray Otabe

撮影◎Ray Otabe

ここで北村は、「ようこそ、我がスペースシップへ」と一言、そして「僕らもこんな宇宙旅行ができると思ってなかったので、とても思い入れの強いライブになってます」と話し、現在放送中のTBS系火曜ドラマ『ユニコーンに乗って』のために、北村と泉のコンビで書き下ろした「しわくちゃな雲を抱いて」が、「ありのまんまが愛しい君へ」の続編であることを初めて明かした。「実はどちらの曲にも《大丈夫。》という言葉が入ってて。自分にも言ってるし、みんなにも向けた《大丈夫。》でもあって。こんな世の中で、どうなるかわからない毎日だけど、大丈夫だよっていう気持ちを与えられたらいいなと思って作りました」と真っ直ぐに語りかけ、雲が広がる空の下で、女性視点で始まる大人の青春ソング「しわくちゃな雲を抱いて」を熱唱。《大丈夫。ほら、やりたいようにやれば太陽》というフレーズを観客一人一人の心にしっかりと届けたかと思いきや、スクリーンには彼らが乗ってきたロケットが到着。BOOM BOOM SATELLITESの中野提供「FLASH BACK」ではエレクトロニックなサウンドを奏でながら銀河の果てへと向かうと、北村と矢部のツインギターがソロバトルを展開。ファンキーなベースラインと高揚感たっぷりのドラミングが混合するお祭りソング「Shall We Dance????」では観客を踊らせる、「HIGH-VOLTAGE DANCER」ではメンバーが楽器を演奏しながら踊り、軽やかなステップやキレのあるスピンを披露。まるで1曲ごとに異なる惑星へと旅をしているかのような変化を見せ、北村と泉コンビによる楽曲第1弾であるスペーシーでメロウなシティポップ「宇宙船」では、自転車のカゴに小さな宇宙人を乗せた北村が自転車をこぎながら場内を周回。その姿を見ているメンバーは破顔一笑し、やがて、北村が自転車を降りてステージに上がると、宇宙人はスクリーンの中へと移動し、自転車に引っ張られる形で空を飛び、宇宙へと帰っていくような映像が流された。

この曲の途中から、野外ライブ日和だった時間の終わりを告げるかのように雨が降り始め、北村がステージ上に戻って歌い終わった頃には大雨となっていた。北村は「雨、降ってんのかーい! なんなんだよ。全然いつもと変わらないじゃねーかよ」と肩を落とすなかで、急遽、楽器を守るためのテントを設置。その間を「夏の思い出」というテーマで繋いでいた橘が「おれ、花火がやりたくて。この人数に見られながら一人でやりたい」と言い出し、ステージの中央で線香花火に火をつけて一人で楽しみだした瞬間に打ち上げ花火が上がると、観客から驚きの声が沸き起こっていた。サプライズを成功させた橘は、自身が作詞作曲した、口笛から始まるチル系のラップソング「音花火」をドロップ。北村との2マイクで花道を練り歩いて観客を1つにし、「DAWN」では、眩い光をバックに新しい明日への希望を高らかに歌い上げ、曲中には北村が大雨の中で《時には雨だって降るし、晴れの日もあるし、曇りもある。心も浮き沈みを繰り返して、そういう毎日の積み重ねが、今や明日、明後日、10年後の未来につながっていくんだよ。自分を信じろ!!》と即興で本気のメッセージを投げかけ、「星をつかむ者達へ」「B-BOY」では、北村と橘のマイクリレーを中心に、バンド演奏のグルーヴを生かしたハードコアパンクとヒップホップを融合。初のコニファー公演のために作られた「NOT FLUNKY」では、矢部が「俺の時間だー!」と叫び、雨に濡れる花道へと全力で駆け出すなど大暴れすると、夏のライブナンバー「Seagull」ではファイアーボールが上がり、パワフルなバンドアンサンブルで観客全員をジャンプさせ、クラップを誘発し、心と体を踊らせるお祭り騒ぎとなった。

ラストナンバーを前に、北村は「雨、降っちまったな。本当に毎年、雨が降ってて。今年こそって思ってて、今日の朝、空を見上げたら晴れてて。歓迎されているなって気がして。でも、こういうトラブルがあるのがライブだし、生きていればいろんなことがあるし。このたった数時間で、それを感じて。DISH//が結成して10周年。いろんな紆余曲折があって。それが、全部全部、このライブに詰まっていたような気がします」と語ると、メンバーも深くうなずいた。ライブの最後に歌われたのは、“第89回 「NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部 課題曲”として制作されたメッセージソング「Replay」。北村は「今にしかない、一瞬一瞬を大事にしてほしい」という思いを込めて情感豊かに歌い上げると、「断言できます。最高の日でした」と胸を張ってステージを後にした。

撮影◎Ray Otabe

撮影◎Ray Otabe

撮影◎Tetsuya Yamakawa

アンコールでは、雨がやみ、ステージ上に設置されていたテントも撤去された。そして、スラッシャーの間では隠れた名曲として知られるピアノバラード「好きになってくれてありがとう」でファンに対する感謝の気持ちを伝えると、アニメ『僕のヒーローアカデミア』の第5期オープニングテーマとして制作された四つ打ちのピアノロック「No.1」では、北村は人差し指を立てた右手を空に高々と掲げ、ステージ前方からスターマインが上がった「愛の導火線」ではエネルギッシュでパワフルなパフォーマンスに会場全体が1つとなって踊り、大きな興奮と熱気の中で、DISH//の惑星間旅行は大団円を迎えた。

そして北村から、「“DAWN (in 2022)”がサッカー日本代表の応援プロジェクト“SAMURAI BLUE 新しい景色を2022”公式テーマソングに決定しました!」との発表。メンバー全員が「すげえよ!」「サッカー日本代表だよ!?」と口々に興奮を表した。あわせて、この楽曲が9月1日(木)にリリースされることも発表された。

最後に、北村は「すげえ1日でした。雨が降って心が折れた瞬間もあったけど、すげえパッションのみんなとスタッフがいて。最後、みんなが自由になれたライブができてよかったです」と素直な心境を吐露。終演後には夏の夜空に花火が打ち上がり、今年も夏の終わりが告げられた。

なお、DISH//は9月7日(水)にバンド結成10周年を記念したリテイクプロジェクト「再青」の2枚目のアルバム『青』をリリース。また、この日、初披露した新曲で、DISH//が作曲に携わり、北村匠海が作詞をした「Replay」が通算15枚目のシングルとして10月5日(水)にリリースされる。さらに、バンド結成11周年を迎える12月24日(土)、25日(日)には、大阪・大阪城ホールと東京・国立代々木競技場 第一体育館にて、初のアリーナ公演<DISH// ARENA LIVE 2022>を行う。

取材・文◎永堀アツオ

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■<DISH// SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET->2022年8月27日(土)@山梨・富士急ハイランド コニファーフォレスト セットリスト
1. Shout it out
2. rock’n’roller
3. FLAME
4. JUMPer
5. 僕の太陽
6. That’s My Life
7. ありのまんまが愛しい君へ
8. 猫
9. しわくちゃな雲を抱いて
10. FLASH BACK
11. Shall We Dance????
12. HIGH-VOLTAGE DANCER
13. 宇宙船
14. 音花火
15. DAWN
16. 星をつかむ者達へ
17. B-BOY
18. NOT FLUNKY
19. Seagull
20. Replay

En1. 好きになってくれてありがとう
En2. No.1
En3. 愛の導火線

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