【インタビュー】長屋晴子(緑⻩⾊社会)、ミュージカル『ジャニス』を語る「エタの二面性を表現したいと思っています」

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■自分を愛してねって言ってあげたい
■肯定したいなと思います

──先ほど「ジャニスに共感する部分がある」とおっしゃっていましたが、同じボーカリストとしてリスペクトの気持ちも含めて、いろいろ感じるところもありますか?

長屋:そうですね。音楽はもちろん、自分の存在自体を受け入れてもらえないって、本人にとってすごく辛いことだと思うんです。時代も背景も違いますが、自分自身のことでいうと、リリースする曲が、全員に届いて受け入れられるわけではないので、欲しくない言葉をもらうと落ちてしまったり。

──SNSの心ない言葉だったりとか。時代や背景が違ってもフロントに立っているボーカリストのプレッシャーや悩みには共通したものがあると思います。壁にぶつかった時、長屋さんはどう対処してきたんですか?

長屋:現代はSNSが当たり前のツールなので、辛くなることもあるんですが、いい面もたくさんあって。応援してくださるファンの声がすぐに届くので、その言葉に助けられたりもしているんです。“ひとりじゃないんだな”と思えたり、“音楽をやっていてよかった”と思う瞬間がありますから。

──緑黄色社会は9月に日本武道館2DAYS公演<緑黄色社会×日本武道館 “20122022”>を開催しますが、長屋さんご自身はブレイクした状況をどう捉えているんでしょうか?

長屋:10年活動してきた中、自分たちでは同じ気持ちでいるつもりなんです。だけど規模が大きくなり、環境が変わっていくからこそ見える景色もあるし、背負わなきゃいけないものもある。守りたいもの、大事にしなきゃいけないもの、いろいろなものが増えてきているので、ちゃんと守れているのか不安になることもありますが、10年という節目に日本武道館に立てることには意味があると思っていて。これまで悩んできたことや目指してきた夢が全て繋がっていくような2日間にしたいと思っています。

──守りたいもの、貫きたいものとは?

長屋:いろいろな要因が重なってくると、“そもそも自分たちがやりたい音楽って何だろう?”ってたまに見失ってしまうことがあるんですよね。やりたいことがあるのに誰かの意見を気にして、“こうしたほうがいいのかな”って迷うこともあるんです。もちろん、周りのアドバイスは大事にしているんですが、そこばかりに囚われてしまうと自分たちが本来目指していたところに辿り着けないような気がするんですね。自分たちがワクワクするもの、トキめくようなものは失くしたくないなと思います。

──日本武道館もひとつの夢だったと思いますが、辿り着きたいと思っているところは?

長屋:高校時代から緑黄色社会として活動しているのですが、その頃は仕事という感覚もないし、とにかく楽しく音楽をやってきたんです。メンバーも友達以上家族未満という不思議な存在なので、そういう関係性をこれからもずっと育んでいきたいと思っています。同時に“国民的な存在になりたいね”っていう話をしながら活動してきたバンドなので、緑黄色社会という名前を知っていただけたり、曲を多くの方が聴いてくれる未来になったらいいなと思っています。

──そんな緑黄色社会が今の時代に届けたいメッセージとは?

長屋:最新アルバム『Actor』の表題曲「キャラクター」で歌っているメッセージでもあるんですが、さっきのSNSの話じゃないですけど、今の時代って見たくない情報も入ってくることがあるじゃないですか。例えば誰かのキラキラした生活が目に飛び込んできて、自分と比べて自信がなくなってしまったり。自分の存在価値が見出せなくなることがすごく多いんじゃないかと思っているんです。そういう人たちに“比べなくていいんだよ”とか“自分を愛してね”って言ってあげたいというか、それはバンドとして伝えたていきたいことです。

──亀田さんが長屋さんに「大丈夫だよ」と言ってくれたように。

長屋:本当にそうですね。肯定したいなと思います。

──では、最後に『ジャニス』への意気込みをお願いします。

長屋:私なりのエタ・ジェイムスを身体全体で演じたいと思っています。

取材・文◎山本弘子
撮影◎レスリー・キー

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■ブロードウェイミュージカル『ジャニス』

8⽉23⽇(⽕) 東京国際フォーラムホールA
8⽉25⽇(⽊) 東京国際フォーラムホールA
8⽉26⽇(⾦) 東京国際フォーラムホールA
open18:00 / start19:00 (各⽇共通)
▼出演
ジャニス・ジョプリン:アイナ・ジ・エンド
アレサ・フランクリン:UA
ニーナ・シモン/ブルース・シンガー/ジョプリナーズ:浦嶋りんこ
オデッタ/ベッシー・スミス:藤原さくら
エタ・ジェイムス:⻑屋晴⼦(緑⻩⾊社会)
ブルース・ウーマン/ジョプリナーズ/ザ・シャンテルズ:MARU
ジョプリナーズ/ザ・シャンテルズ:多和⽥えみ
ジョプリナーズ/ザ・シャンテルズ:菅⾕真理恵
▼バンド
⻲⽥誠治(B)、河村"カースケ"智康(Dr)、⼩倉博和(G)、名越由貴夫(G)、斎藤有太(Key)、⼭本拓夫(Sax)、⻄村浩⼆(Tp)、半⽥信英(Tb)
▼チケット
・SS席16,000 円(前⽅席保証)
・S席11,000円
・U-25席5,000円
※全席税込価格
⼀般販売:7/12⽕10:00〜
・イープラス︓https://eplus.jp/a-night-with-janis-joplin/
・ローソンチケット︓https://l-tike.com/janis-joplin/
・チケットぴあ︓https://w.pia.jp/t/janis-musical/
▼STAFF
総合プロデューサー:⻲⽥誠治
演出:藤倉梓 訳詞:森雪之丞 翻訳:丸⼭京⼦ 振付:菅⾕真理恵
歌唱指導:森⼤輔 演出助⼿/振付助⼿:柴崎咲⼦
ヘアメイク:⼭⽥信之介 ⾐装:⾦澤⾒映 宣伝:JOIND
ビジュアル撮影:レスリー・キー
脚本/オリジナル演出:ランディ・ジョンソン
オリジナル振付:パトリシア・ウィルコックス
主催:WOWOW/DISK GARAGE/ワイズコネクション/産経新聞社
企画・制作:WOWOW
Official Airline :United Airlines
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888

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